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ニルヴァルクの詩:第十二章 六節 【もう一つの伝説】



『世界に種が墜ちし時、

それは共に現れた。


種より出たるけがれを通り

顕現したるは

女神ティアマナシアであった。


やがて女神はその身を霊水へと変えた。


それ以来、世界は穢れと霊水と共に

あり続けている。』



それがメルティリナが

アシュナスに語った

もう一つの神話であった。



アシュナスは驚愕した表情を浮かべ、

そして自分なりの理解と共に

「それはつまり…」と言葉を発した。



「女神はヨルグナを通って

やってきた。と

私は解釈しています。」


「あくまでこの神話では。

ということになりますけど。」



とメルティリナはアシュナスに言った。



それは今しがた聞いた

もう一つの女神神話に対する

アシュナスの理解と一致した。



そしてそれは

アシュナスの中に

ある確信にも似た感覚が

浮かんだ瞬間でもあった。



アシュナスの目に

僅かな光が灯ったように

メルティリナには見えた。



アシュナスは

浮き足立つ気持ちを抑え、

席を冷静に立とうとした。





アシュナスの意志は

自身の村である

エニファル村のゼイゴウ邸に

安置されているキアンディナの元に

向かっていた。



その時、

賢者キトがアシュナスに

おもむろに告げた。


「そうだ。今しがた…タラトットの出現を

感知したよ。それも

これは…とんでもない数だね!

タラトットの群れが現れるんだよ。」





大量のタラトットの出現を

アシュナスに告知した賢者は

額の紋様に

しらじらしく手をかざしながら、

続いて


「大量のタラトットが

出る場所は…ああ……」


「エニファル村だよ。」

とにこやかに言った。



「何だと!?」

アシュナスは

キトに言い返した。


そしてキトを睨みつけた。



キトはアシュナスに言う。

「あぁ、そうだ。

タラトットは強い意志に

惹かれるらしいから

強烈にタラトットに

執着してる者が

エニファル村の

関係者にいたりして。」



アシュナスは

「今に分かったことではないだろう。

それがわかっていて

俺をエニファル村から遠ざけたのか!?」




キトは「まさか…!

でもアシュナスが死んじゃったら

これから狩りの地で

他のフディアト達が大変だし、

ひとまず避難出来て良かったね。


きっとエニファル村で

散々暴れた後

飽きたらどっかに行くよ!」

とアシュナスに告げた。



アシュナスはキアンディナごと

棺を破壊するタラトットを想起し

その思念をすぐに振り払った。



アシュナスは

「ふざけるな!」


と言い放ち、

すぐにエニファル村に向かう姿勢を

見せた。







キトはアシュナスに

かまわず話を続けた。


「だけど不思議だったよね。

キアンディナちゃんの

ヨルグナは殆ど侵食が進まなかった。


まるで

加護によって

守られていたみたいだよね。


毎日祈っていた人でも

いたのかな?」と

ニコニコと言った。



キアンディナの見舞いに

一度も訪れたことなど無い

賢者はまるで見てきたように

持論を語り、視線をアシュナスに

向けた。



アシュナスは

一瞬驚いた表情を見せ、

すぐに意識を目的地たる

エニファル村に向けた。


そして笠の端に手をやり、

メルティリナに向けて少し傾けた。


メルティリナも事態を察し、

軽く会釈をした。



アシュナスは

レキファト村の舟着場に

足早に向かい、

石舟で自身の村である

エニファル村に向かった。





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