21/21
王立マギアルス学園17
理解が追いつかないまま、ユキナは生徒の腕に治癒魔術を使う。
術式を構築する中で思考を巡らせる。
一瞬。
確かにシオンは顔を殴られたはず。
だが、実際起きていたのは、この生徒がナイフで腕が千切れるぐらい刺していたことだけ。
それにこの刺し傷はすぐに出来たもの。
血が固まらず、溢れ出ているところからそれだけは確証を持てる。
シオンは何も使えないはず。
だが、誰かに干渉されていたのなら、気づかないはずがない。
◇
目が覚めるとそこは、書斎だった。
壁一面の本棚。
そして、部屋の中央には、光沢のある黒の大きな机と椅子。
壁の本棚に近づくと、そこにあったのは、本棚ではなく、アルバムだった。
触れようとすると、
「触るな!」
と、大声で何者かに怒鳴られた。
声がした方に目を向けると、自分と瓜二つだが、少し荒々しい風貌の青年がいた。
「君は?」
「答える必要はない」
「ここは?」
「そのうち目覚める」
「答えになってない……」
「そんなにどこか知りたいのか?」
「うん……あ、ユキ姉が────」
「安心しろ。そいつは無事だ」
「そ、そっか」
シオンはそっと、胸を撫でおろし、安堵の表情を浮かべる。




