表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
害獣認定  作者: みっど
第一章 害獣認定
3/7

1-3 威嚇

「お巡りさん、こっちです!」

 さっきレセプターが見逃したガードマンが、数名の警察官を連れてスタジオに入ってきた。

「おい、お前たち、自分が何をしたのか、わかっているのか!」

 最初から拳銃を構えて、白い男を威嚇する警察官。

 白い男の前には、番組のスタッフと思われる人達が数名、床に倒れている。


「フム、近くにいた警察官を呼んできたか……意外に早かったな」

 白い男は、さも当然のようにガードマンと警察官の方を向き、呟く。


 スタジオには、大型ビジョンに映っていたレセプターの後ろに、二人の男女も立っていた。

 一人はチャイナドレスを着た、若い女性。

 もう一人はスキンヘッドで、褐色の肌のゴツイ大男……なぜか目を包帯で巻いている。


 レセプターを最影していたテレビカメラが、警察官の方を向く。

 どうやらカメラマンも、レセプターの一味らしい。

 渋谷の大型ビジョンにも、拳銃を構えた警察官たちが映し出される。



 レセプターはその場で立ち上がり、警察官の方を向き、二・三歩歩く。

「う、動くなっ!」

 警察官は、拳銃をレセプターに向けて構える。

 拳銃を持つ手が、ブルブルと震えているのが、大型スクリーン越しにもわかる。


 レセプターはその場で止まり、ゆっくりと口を開く。

「確か日本の警察官が拳銃を撃つときは、『拳銃を撃つことを予告する』、『威嚇射撃を入れる』などの手順が必要だと聞いたが……いいのか?」


「事態がひっ迫している時は、その限りではない!」

 拳銃を構えている警察官が、震える声で即座に答える。


 レセプターの口元が、一瞬緩む。

「そうか、では撃つといい」

 レセプターは、両手を広げて警察官たちを挑発する。


「わ、私達が、本当は撃てないとでも思っているのか!? ほ、本当に撃つぞ!」

 警察官の、拳銃の引き金を持つ指にチカラが入る……


 レセプターが、右腕を動かそうとする仕草をみせる、その時――

「うおおーー!」

 ダンッダンッ!

 テレビ局のスタジオに、乾いた銃声がこだまする……


 拳銃の弾は、レセプターの後ろ髪をかすめる。


「惜しかったな、次だ」

 余裕を見せるレセプター……その口元には、笑みも零れている。


「くっ……」

 ダンッダンッダンッ!

 三発の銃声……しかし、弾はことごとく外れる。


「残念、どうした、外したぞ」


「そんな、なぜ当たらない……?」

 警察官は、まるで狐にでも化かされたような顔で、レセプターを見る。


「お前の目線や銃口の向き、腕や指の筋肉の動きなどで、『弾道』は容易に推測できる」

 警察官の眉間に、しわがよる……

「そ、そんなことが……?」



 レセプターは、何事もなかったかのように、右腕を下から上に振り上げる。

「フッ……、人身掌握術・ヒトキリ!」

 ザシュッ! ザシュッ!

「がっ……」

「ぶへっ……」


 一瞬だった……

 レセプターが、言葉を発したと同時に、複数の『真空の刃』が飛び出す。

 真空の刃は、その場にいた数名の警察官を、一瞬でバラバラに切断した。

 空中に、腕や足、首が飛ぶ。


「ひっ、ひいいぃぃぃ……」

 腰が砕け、その場に座り込んでしまったガードマンの足元に、警察官たちの大量の血が流れてくる。



 上に振り上げた右腕を降ろし、バラバラになった警察官と、恐怖に怯えるガードマンを見つめるレセプター。

 口元には笑みがこぼれる。

「この『人身掌握術じんしんしょうあくじゅつ』は、地球が我々に与えた、旧人類を『駆除』するための『技術』……

 死にたくなければ、躊躇せず撃った方がいい。もう遅いがな」


 レセプターは、そのまままた元いた椅子に戻る。

 テレビカメラも、レセプターをそのまま追うように映す。

 二人の男女も、その場でピクリとも動かず、立ったまま。


「このままこのテレビ局を、我々の『要塞』として使わせてもらう。

 文句のあるやつはいつでも来るといい、相手してやろう」


 レセプターは椅子に腰かけ、足を組み、不敵な笑みを零す。

「お前たち『旧人類』が好きな『拡散』も頼むぞ、世界中に発信してくれ」

 レセプターは、カメラの前で見ているだろう『旧人類』に話しかける。

 まるで、この後に起こるであろう惨劇を、すでに知っているかのように……




 このまま旧人類は、新人類によって『駆除』されてしまうのだろうか……?

 ……

 ……

 ……

 ……


『否』!



 ◆場面は変わり、太平洋のどこか、日本の護衛艦『しきなみ』の甲板……

 ザザザァ……

 護衛艦のディーゼル音が、広い海原にこだまする。



 ギイィィ

 甲板の鉄の扉が開き、中から青い海上自衛隊の制服を着た青年が出てくる。

 甲板の手すりに寄りかかり、遠く、日本の方角を見据える……


 奥の方からもう一人、若い海上自衛官が駆け寄ってきて、青年の前で敬礼する。

「北上三等海尉、海上幕僚監部より入電です。

 至急日本へ帰還、そのまま首相官邸へ『出頭命令』です」


「了解した」

「失礼します」


 若い自衛官はそのまま艦内へ

 北上三等海尉と呼ばれたその青年は、自分の右手を開き、見つめる。

 その手の平には、『ヒューマンスレイヤーの紋章』が輝く……

 ヒイイィィン……


「巨大な『波』が、迫ってきているのを感じる……

 果たして俺は、その『波』に飲み込まれるのか? それとも飲み込むのか……」


 ガランガラン……

 遠くで時鍾の音が響く。


 青年は右手を太陽に向け、握る。


 世界はまだ知らない――、これから起こる本当の惨劇を。

 世界はまだ知らない――、自分たちが積み上げた罪を、清算すべき時が来たことを……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ