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皇剣 〜ローマ戦乱記〜  作者: 辰桃
第二章 帝都の影
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第七十四話(第91話) 帝都を狙う刃

さあ、影の同盟の“最後の牙”がついに剥かれました!

複数の要人を一夜で狙うなんて、めちゃくちゃスリリングな展開になってきましたね。

帝都の広場に穀物が配られた夜、街の空気はわずかに安堵を取り戻していた。

子どもたちは久しぶりのパンをかじり、老人は涙を流しながら感謝を述べた。

「帝都の狼が……本当に守ってくれたのだな」

「この人こそ、我らの英雄だ!」


だが、その熱狂の影で別の闇が動き出していた。


——


帝都の地下回廊。

湿った空気の中、黒衣の一団が松明を囲み、囁き声を交わす。

「狼が民を掴んだ……これ以上は危険だ」

「ならば、次の一手を打つまで。

民の熱狂ごと、刃で切り裂いてしまえばいい」


一人の刺客が口元を歪めた。

「今度は穀物でも噂でもない。鮮血だ。

帝都の要人を次々に斬り伏せ、街を再び恐怖に沈める」


「標的は?」

「皇帝派の有力議員、軍司令官、市民評議会の長老――一夜にして首を並べてやる」


低い笑い声が響き、松明の火がゆらりと揺れた。


——


翌朝、兵営に駆け込む兵士の声が響く。

「報告! 影の同盟が帝都の要人を狙うとの情報あり!

すでに刺客が街に潜入している模様です!」


ルキウスが顔を歪め、怒声を上げた。

「またか! 奴ら、今度は暗殺か!」


クラウディアは冷静に地図を広げ、要人たちの屋敷や役所を指差した。

「標的は複数。護衛の手を分散させれば守り切れない。

だが一つでも血が流れれば、“狼が止められなかった”と噂されるわ」


ヴァレリアは剣を肩に担ぎ、不敵に笑った。

「全部守ればいいだけの話だ。

影の同盟? 数が多かろうが、この牙で噛み砕いてやる」


——


カエソは黙って皆を見渡し、静かに言った。

「影の狙いは要人の命だけではない。

“帝都の混乱”そのものが奴らの目的だ。

血が流れれば、英雄も獣に落ちる……」


拳を握りしめ、カエソは宣言した。

「狼は群れを守る。たとえ敵が帝都全土に潜んでいようとも、俺は必ず守り抜く!」


その言葉に仲間たちの目が燃えるように輝いた。

「「応ッ!」」


——


その夜、帝都のあちこちで火が上がった。

刺客たちが同時に動き出し、要人の屋敷を襲撃する。

悲鳴と怒号が夜空を裂き、帝都は再び戦場と化した。


狼と影の最終決戦の火蓋が、切って落とされたのである。


——


【解説】

ローマ史では「暗殺」が日常的に行われました。

特に元老院議員や将軍は常に命を狙われ、政敵を葬る手段としても使われました。

同時多発の暗殺計画は都市全体を混乱に陥れ、権力争いの武器とされたのです。

帝都を舞台にした最終決戦が始まります。

狼と仲間たちが、影の刺客をどう迎え撃つのか――次回は血と炎が帝都を覆います!

いよいよ第二章のラストバトルです。お楽しみに!


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