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皇剣 〜ローマ戦乱記〜  作者: 辰桃
第二章 帝都の影
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第四十八話(第65話) 氷雪の激闘

今回は雪原の激闘!

巨人のようなゲルマン戦士に、カエソたちが必死で食い下がる様子を書きました。

戦場の息遣いや血の匂いを感じてもらえたら嬉しいです。

雪原に響く鬨の声。

ゲルマン戦士たちは巨体を揺らし、木製の盾と長大な斧を振りかざして迫ってきた。

白い吐息が空を覆い、まるで獣の群れが帝国を喰らおうとしているかのようだった。


「崩れるな! 盾を組め!」

カエソの声が陣を走る。

兵たちは寒さで震えながらも、テストゥドを組み、矢の雨を耐えた。


だが、ゲルマンの戦士は恐れを知らない。

矢が突き刺さろうが進軍を止めず、鉄壁の陣形に体当たりを繰り返した。

「ぐっ……押し返される!」

兵の叫びが響き、盾列がきしむ。


——


「前へ!」

カエソは剣を振り上げ、最前列に飛び出した。

巨人のようなゲルマンの一人が戦斧を振り下ろす。

轟音と共に盾が割れた瞬間、カエソの剣が閃き、その喉笛を断ち切った。


鮮血が雪を染める。

兵たちが吠えるように雄叫びを上げた。

「帝都の狼だ! 隊長に続け!」


——


ヴァレリアもまた舞う。

彼女の細身の剣は、巨体の脇腹を突き破り、矢のように敵の間を駆け抜けた。

「弱点は筋肉の隙だ、恐れるな!」


クラウディアは背後から矢を放つ。

「狙うは膝と目! 奴らの巨体を支える場所を射抜け!」


ルキウスが盾を支えながら咆哮した。

「お前ら、狼の群れだ! 一人も退くな!」


——


戦場は血煙と氷雪の地獄と化していた。

だが、ローマ兵の規律と、カエソらの奮戦は徐々に敵の突進を鈍らせていった。


そしてついに、狼の遠吠えのような号令が響く。

「反撃だ! 帝国の誇りを示せ!」


雪原に血と鉄の嵐が巻き起こる。

この戦いは、ただの防衛戦ではなく――帝国の未来を賭けた激闘へと変わっていった。


——


【解説】

ゲルマン民族との戦いは、ローマにとって常に「規律と膂力」の衝突でした。

蛮族は鎧を持たずとも、勇猛な突進力でローマ軍を脅かしました。

史実でもマルコマン戦争(2世紀末)やゴート戦争(3世紀)は帝国を揺るがす大きな脅威でした。

こうした寒冷地での戦いは兵にとって厳しく、補給線の維持もまた難題だったのです。

久々の本格的な戦闘シーン、やっぱり熱が入りますね。

帝都の陰謀とは違い、戦場は「規律と勇気」がすべて。

次回はいよいよ戦いの趨勢が決まり、北方戦役の大きな転機となります。

カエソの名がさらに広まる瞬間を、どうぞ楽しみにしていてください!

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