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皇剣 〜ローマ戦乱記〜  作者: 辰桃
第二章 帝都の影
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第三十二話(第49話) 決死の突撃

今回はカエソがついに最前線に飛び出し、正面から敵騎兵に挑みました。

鉄槌の突撃に立ちはだかる姿は、まさに「隊長が兵を引っ張る」象徴の場面です。

彼の無謀さに仲間たちが呼応していく流れも熱く描けたと思います。

敵の鉄槌が再び迫る。

砂を巻き上げ、地鳴りのような轟音を響かせて、数千の騎兵が一直線に突進してくる。

その光景は、まるで砂漠そのものが怒り狂い、押し寄せてくるかのようだった。


「全軍、構えろ!」

カエソの号令に、兵たちは必死に盾を重ね合わせる。

だが、疲弊した身体は限界に近く、盾列は次々と揺らぎ始めていた。


「もう……持たない……!」

兵士の悲鳴が漏れる。

盾ごと弾き飛ばされ、槍がへし折られ、鉄槌の圧力が容赦なく迫る。


——


その時、カエソが剣を振り上げた。

「俺が行く!」


彼は盾列の前へと躍り出て、正面から突撃の奔流に身を投じた。

「カエソ様!?」

兵たちの叫びを背に、カエソは吼える。


「狼は狩られぬ! 狩るのは我らだ!」


剣が閃き、突進してきた騎兵の槍を叩き折る。

そのまま馬上の兵を斬り伏せ、さらに一歩踏み込む。

重い衝撃が全身にのしかかるが、彼の眼光は揺らがなかった。


——


「ふざけんな! 隊長一人に死なせるかよ!」

ルキウスが吼えて飛び出す。

巨大な盾で馬を弾き飛ばし、腕力で騎兵ごと地面に叩きつけた。


クラウディアも矢を放ち、敵の目を射抜く。

「立て続けに射て! 止めろ、止めるのよ!」


ヴァレリアは影のように敵陣を駆け抜け、槍を突き立てる兵を次々と斬り倒す。


仲間たちが次々とカエソの後ろに続き、突撃の波を少しずつ削っていった。


——


サフラは遠くからその光景を見つめていた。

「正面から突撃を受け止めるか……無謀だが、兵の心を繋ぎ止めるには最も効果的だ」

彼はわずかに目を細め、口元に笑みを浮かべた。

「だが……その命、いつまで持つかな」


——


突破口はまだ開かれていない。

だが、カエソの決死の突撃が、兵たちの心に再び炎を灯していた。

疲れ切った兵たちがなお戦うのは、隊長が最前線に立ち続けているからだった。


血と砂にまみれながら、カエソは吼えた。

「死にたくなければ、俺の後ろに続け! ここが生死の境だ!」


その声は戦場全体に轟き、兵たちの脚を再び動かしていった。

敵の鉄槌はまだ終わらない。

サフラは兵を駒のように動かし、何度でも圧力をかけてくるでしょう。

その中でカエソがどう切り抜けるのか、そして仲間たちがどう支えるのか。

次回はついに「決着」の兆しが見えてきます。

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