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皇剣 〜ローマ戦乱記〜  作者: 辰桃
第一章 北の狼、ドナウに吠える
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第十六話 包囲を破れ

包囲された状態からの突破戦は、常に命懸けです。

今回は「どこを破るか」の判断と、その一点に全力を注ぐ突撃の緊張感を描きました。

そして突破口を守る最後の壁として、アールヴが立ちはだかります。

矢の雨は止む気配がなかった。

盾を頭上に重ね、輪陣を組んだカエソたちは、四方から押し寄せる敵の叫び声に包まれていた。

樹上からは石と矢、地上からは斧と槍──森全体が敵の武器となっている。


「このままじゃ全滅だ!」

マルクの声が焦りを帯びる。

カエソは盾越しに周囲を見渡し、瞬時に判断した。

「西側だ……あそこだけ、敵の密度が薄い!」


確かに、西の斜面は木が少なく、敵もまばらだった。

だがそこに至るには、斜面を守る二十人ほどの精鋭を突破しなければならない。

「全員、突撃の準備! 槍を構えろ!」

ウルスの声が鋭く響く。


「カエソ、先頭はお前だ」

その言葉に、カエソは深く頷いた。

盾を前に、ピルムを構え、一歩踏み出す。


「突撃──っ!」

掛け声と共に輪陣が解かれ、ローマ兵たちが楔形に展開する。

最前列のカエソは槍を投げ、敵の一人を貫いた。

続けて盾で二人目を弾き飛ばし、グラディウスで三人目の腕を切り落とす。


「押せ! 押し切れ!」

兵たちの叫びと金属音が混ざり、包囲の一点が崩れ始める。


しかし、その突破口に立ちはだかったのは──アールヴだった。

金髪を乱し、血に濡れた槍を構え、冷たい目でカエソを見据える。

「この森からは、誰一人逃がさん」


二人の間に、空気が張り詰めた。

周囲の戦いの音が遠くに感じられるほど、互いの意識は相手だけに集中していた。

森の奇襲戦もいよいよ佳境です。

次回はこの斜面での一騎打ちと、包囲突破の成否を決める瞬間が描かれます。

第一章は、この戦いが終わった時にひと区切りとなります。

面白いと感じたら、ブックマークや評価で応援してください。

物語はさらに熱くなります。


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