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皇剣 〜ローマ戦乱記〜  作者: 辰桃
第一章 北の狼、ドナウに吠える
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第十話 補給路防衛戦

第十話では、補給路を巡る防衛戦が開幕します。

霧と太鼓の音、そして複数の攻撃方向という戦術的な状況で、読者に緊張感を与えることを狙いました。

物語は長期戦の幕開けです。

西暦176年、初春。

ドナウ川沿いの補給路は、ローマ軍の命綱だった。

ここを失えば前線は飢え、戦わずして崩れる。


カエソたち百人隊は、木柵で囲まれた小さな前哨地に配置されていた。

東には川、北には深い森、そして南からは補給船がやってくる。

だが、その船を狙う敵が、森の向こうで牙を研いでいた。


「視界が悪いな……」

マルクがつぶやく。

春先の霧が川面から立ち込め、森と陣地の間を白く覆っている。

その霧の奥で、かすかな太鼓の音が響いた。


「来るぞ! 盾を前へ!」

ウルスの声が響き、百人隊がスキュタムを並べる。

次の瞬間、霧を裂いて矢が飛び込んできた。盾を叩く音と、矢羽が風を切る音が交錯する。


矢が止むと同時に、森の影から丸盾を構えたゲルマン戦士たちが突進してきた。

「第一列、槍を突き出せ!」

鋭いピルムが飛び、数人が倒れる。だが後続は怯まず、死体を踏み越えて迫る。


カエソは盾で敵の衝撃を受け止め、短剣で脇腹を狙う。

血が飛び散り、足元の霜を赤く染めた。


だが敵は正面だけではなかった。

「左翼に敵! 回り込まれる!」

見張りの声とともに、霧の中から別動隊が現れる。


クラウディアが即座に命令を飛ばした。

「補給船を守る部隊を残して、左翼を援護! 船を奪われたら全てが終わる!」


ウルスは短く頷き、カエソとマルクを含む二十人を率いて左翼へ走る。

霧の向こう、そこにはアールヴの姿があった。

冷たい青い瞳が、まっすぐカエソを射抜く。

この補給路防衛戦は、戦術と個の戦いが交錯する重要な戦いになります。

アールヴとの再会、クラウディアの指揮、ウルスの戦術眼など、見どころを多く用意しています。

次回は防衛戦の第一波を突破する戦闘シーンを中心に描きます。

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