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洞窟

 一時間後、僕たちはダズルが見つけた洞窟に向かって出発した。巨大な木の幹に緑色の苔が生えた薄暗い森の中を進む。


 歩いていると、周囲にいる冒険者たちの声が聞こえてくる。


「意外と早く神殿が見つかったな」

「ああ。これなら明日には町に戻れるかもしれないな」

「聖剣の団の奴らには感謝だな。最近、大きな依頼に失敗したようだが、今回はしっかりと手柄を立てた。さすがだぜ」

「そうだな。あいつらはEランクみたいだが、戦闘スキルを複数持ってるようだし、将来、有望ってところか」


 視線を動かすと、先頭にアルベルたちがいるのが見えた。ダズルが隣を歩いているメルトと何かを話している。その表情は自信に満ちあふれていた。


 数時間後、僕たちは垂直の崖の下にいた。

 目の前には多くの巨岩が積み重なっている。


「あそこです」


 ダズルが巨岩を指さした。


「あの岩と岩の間に洞窟の入り口があります」

「わかった。グレッグ!」


 メルトは副リーダーのグレッグに声をかける。


「リッケルたちに探らせろ」

「わかりました」


 グレッグはBランクの冒険者三人を呼んで、指示を伝える。

 三人の冒険者が周囲を警戒しながら、岩と岩の隙間に入っていった。


 十分後、炎龍の団の団員が後方にいた僕たちに走り寄った。


「今から、洞窟の中に入ります。準備をしてください」

「神殿があったのか?」


 キナコが団員に質問する。


「いえ。それはまだわかりません。ただ、中は相当広いようです。それに信者が使ったテントも見つかりました」

「ならば、神殿がある可能性は高いか」

「はい。なのでメルト様は一気に信者たちを制圧するつもりです」


 団員の言葉を聞いて、周囲にいる冒険者たちの表情が引き締まる。


 洞窟の中はどうなってるかわからないし、信者の数もわからない。こっちにはSランクのメルトやAランクの冒険者が複数いるけど、用心しておかないとな。


 僕は唇を強く結んで、腰に提げた魔喰いの短剣に触れた。


 さらに十分後、僕たちは岩と岩の隙間から洞窟に入った。

 洞窟の中は空気が冷えていて、青白く発光する苔が周囲を照らしていた。

緩やかな斜面を下りていくと、通路が二つに分かれている。


 先頭にいるメルトが指示を出すと、炎龍の団の団員たちが二手に分かれて、通路の中に入っていった。


 やっぱり、炎龍の団の団員はしっかりしてるな。動きに無駄がないし、戦闘慣れしているのがわかる。聖剣の団の団員たちも才能ある人たちが多かったけど、それより、全体のレベルが高い。


 そんな強い団が仲間だと、安心感があるな。


「全員、左の通路を進むぞ!」


 グレッグの声が聞こえて、冒険者たちが動き出した。


 ◇ ◇ ◇


 書籍化作品です。現在2巻まで小説が発売中!


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