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ヤクモの強さ

「ちょっと、ヤクモくん!」


 アルミーネが僕の腕を掴んだ。


「何、あの人たち。すごく失礼なんだけど」

「僕が最初に組んだパーティーの仲間なんだ」

「じゃあ、聖剣の団の?」

「新人だよ。全員、複数の戦闘スキルを持ってて、なかなか強いと思うよ」

「なかなか強くても、失礼すぎるよ」


 アルミーネの頬が風船のように膨らむ。


「第一、ヤクモくんのほうが絶対、あの人たちより強いから」

「そうかな?」

「当たり前でしょ。今のヤクモくんなら、一対三で戦っても余裕で勝てるから」

「それは難しいと思うよ」

「難しくないからっ!」


 アルミーネがピンク色の眉を吊り上げる。


「前から思ってたけど、ヤクモくんは自己評価が低いよ。最近はキナコとの模擬戦だって互角に戦ってるでしょ」

「でも、最後にはいつも負けてるし」


「それは当然だ」


 無言だったキナコが口を開いた。


「俺はAランクの格闘家だぞ。模擬戦とはいえ、そう簡単に負けてたまるか」


 キナコは白い爪で頭をかいた。


「だが、最近のお前の強さは俺の想像を超えている」

「そうなの?」

「ああ。お前は戦闘センスがいいし、瞬時の判断が速い。こっちの予想を外す攻撃を

仕掛けてくることもある。お前の強さはホンモノだ。俺が保証してやる」


「ほらーっ!」


 アルミーネが僕の肩をパンパンと叩く。


「私たちの目を信じなさいって!」

「……うーん」


 僕は腕を組んで考え込む。


 たしかに僕は強くなったと思う。頭をケガしてから思考速度が速くなって、戦闘時に正しい選択を瞬時にできるようになっている。


 それに【魔力極大】のおかげで、基礎魔力が常人の三千倍以上の730万マナもあるから、【紙使い】の能力を存分に使うこともできる。


 今の僕なら、Bランクの冒険者が手こずるような強いモンスターもソロで倒せるだろう。


 だけど、その程度で強いと言えるんだろうか?

 この世界には多くの強者が存在する。

 AランクやSランクの冒険者の中には、ソロでドラゴンと戦える者がいる。


 それにゲム大陸最強と言われている十二英雄は、町や村を滅ぼす災害クラスのモンスターや多くの魔族を倒している。魔王ゼズズの幹部である六魔星ガルラードでさえ、十二英雄のリムシェラに倒されたんだ。


 それぐらい強くなれたら、お金をたくさん稼げる。孤児院の土地を買い取ることだってできるんだ。


もっと強くならないと!


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