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エピローグその1

 聖剣の団の屋敷の一室に、キルサスと幹部のエレナ、そしてガルディがいた。

 イスに座ったキルサスは机の上に黄白色の紙を置いた。


「報告書を読ませてもらった。失態だったな、ガルディ」

「い、いや、待ってくれ!」


 ガルディの声が微かに震えた。


「そこに書いてある通り、ダグルードの強さは六魔星に近いレベルだった。しかも強化された骸骨兵士が百体以上もいて、俺とアドルが生きて帰れただけでも奇跡なんだよ」

「六魔星に近いレベル……か」


 キルサスは人差し指でトントンと机を叩いた。


「そこまで強い魔族だったのなら、なぜ、月光の団はそいつを倒せたんだ?」

「それは……十二英雄のシルフィールがいたからだ」

「銀月のシルフィールか。たしかに彼女なら、強い魔族を倒すこともできるだろう」

「あ、ああ。それに魔族殺しのキナコもいたんだ。あいつらが協力して、ダグルードを倒したんだろう」

「どうして君も協力しなかった?」


 キルサスはじっとガルディを見つめる。


「十二英雄のシルフィールと協力すれば、君は楽にその魔族を倒せてたはずだ。そうすれば、二十八人も団員が死ぬことはなかっただろう」

「それは……」


 ガルディの頬がぴくぴくと動いた。


「君は戦闘スキルを三つも持っているAランクの冒険者だ。戦闘能力を疑う必要はないが、パーティーをまとめるリーダーとしての資質は疑問だね」

「疑問だと?」

「そうだ。僕なら、月光の団といっしょに行動して、シルフィールとダグルードが戦っている時に参戦するね。そうすればリスクが軽減され、リターンが大きい。特にキナコもいたのならな」


 キルサスは淡々とした口調で言葉を続ける。


「君がシルフィールやキナコといっしょにダグルードを倒していれば、聖剣の団の評価は上がったはずだ」

「だが、月光の団と出会う機会がなかったんだ。俺たちが出会ったのはキナコたちのパーティーだけで」

「ならば、そのパーティーを利用する手もあった。キナコのパーティーなら、それなりの実力があるだろうからな」

「いや、あのパーティーは生意気な錬金術師の女がリーダーをやっていて……そっ、そうだ。このパーティーを追放された男もいたぞ」

「追放された男?」

「ああ。たしか……ヤクモだったかな」

「ヤクモ……」


 キルサスの眉がぴくりと動いた。


「ヤクモがキナコのパーティーにいるのか?」

「あ、ああ。それで俺も奴らと協力する意味がないと思ったんだ。あんたが追放した男がいるようなパーティーなんだから」

「……それは関係ない。パーティーに役立たずのヤクモがいたとしても、キナコがいれば、そのパーティーのレベルは平均以上になるからな」

「だ、だが……」

「言い訳はいい。君の失敗で聖剣の団の信用が落ちたのは事実だ。それを否定することはできないだろ?」

「ぐっ……」


 ガルディは反論できずに両肩を震わせた。


「ガルディ……」


 キルサスがイスから立ち上がる。


「君の給料を一年間半分にする。文句はないな?」

「はっ、半分だと?」


 ガルディの目が丸くなった。


「ふざけんなっ! そんなに減らすつもりなのかよ!」

「妥当な金額だと思うがね。君の指揮で二十八人もの団員が死んでしまったのだから」

「……ぐっ……くそっ!」


 ガルディは舌打ちをして、部屋から出ていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 半分か…三分の一程度が妥当だと思うなぁ。 だって、遺族にも少しは出さなきゃいけないのに、その程度で賄えるのかな? 実質、ヤクモ達も協力して倒したんだし…。
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