シルフィール
「いや。魔族は俺が倒す」
アルミーネの背後にいたキナコが口を開いた。
キナコの姿を見て、シルフィールの銀色の眉がぴくりと動く。
「魔族殺しのキナコか」
シルフィールは僕たちを見回す。
「変なパーティーね。あなたなら、もっとランクの高い仲間を集められるんじゃないの?」
「俺はこのパーティーのリーダーじゃない。リーダーは錬金術師のアルミーネだ」
キナコは白い爪でアルミーネを指さした。
「それと、俺の仲間をランクで判断しないほうがいいぞ。将来のSランクがいるかもしれないからな」
「……言うじゃない」
シルフィールは片方の唇の端を吊り上げた。
「とにかく、私たちの邪魔だけはしないで。行くよ、ミルファ」
「は、はい」
シルフィールとミルファは僕たちに背を向けて、去っていった。
あれが十二英雄のシルフィールか……。
見た目は強そうに見えないけど、彼女は白兵戦の腕前が超一流で、六属性全ての魔法が使える。災害クラスのモンスターを何体も倒していたはずだ。
「さすが、Sランクはオーラが違うね」
アルミーネが肩をすくめる。
「彼女がいてくれたら、魔族はなんとかなるかな」
「シルフィールを当てにする必要はない。魔族は俺が倒してやる」
キナコが白く尖った牙を鳴らす。
「まあまあ」
アルミーネがキナコの頭部の耳に触れた。
「今回の仕事は魔族を倒すことが目的じゃないから。まずは調査団の人たちを捜さないとね」
「ふん。わかっている。だから、耳を触るのを止めろ」
「ごめん、ごめん。でも、キナコの耳はふわふわで触り心地がいいからさぁ」
アルミーネは謝りながらもキナコの耳を触ることを止めない。
「次からは耳じゃなくて、肉球にするから」
「肉球はもっとダメだ!」
キナコは不機嫌そうな顔でアルミーネの手を払いのける。
「で、調査団はどこらへんにいるのだ?」
ピルンがかかとを上げて、地下都市を見回す。
「この町は広すぎるのだ。端が見えないし、建物もいっぱいあるのだ」
「それでもやるしかないでしょ」
アルミーネが頭をかいた。
「調査団の人たちを少しでも早く見つけてあげたいしね」
「そうだね」
僕は骸骨兵士の死体を見つめる。
強化された骸骨兵士が他にもいる可能性があるから、個別に動くのは難しい。これは時間がかかりそうだな。
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