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十二英雄

 数分後、僕たちは全ての骸骨兵士を倒した。


 額に浮かんだ汗をぬぐいながら、僕はミルファに声をかけた。


「大丈夫? ケガはない?」

「う、うん。平気」


 ミルファは深く息を吐き出した後、視線を僕と合わせる。


「また、あなたに助けられたわね。ありがとう」

「そんなことより、どうして、君がこんなところにいるの?」

「私、月光の団の団員で、地下都市で調査団を捜してたの。その時に、こいつらに襲われて」

「月光の団だったんだ?」

「あなたは聖剣の団?」

「いや、おまけで参加しているパーティーのメンバーだよ。リーダーが錬金術師の」


 僕は骸骨兵士の死体を調べているアルミーネを指さす。


「君一人で行動してたの?」

「ううん。三人で調査団の痕跡を探してたの。その時、骸骨兵士に襲われてバラバラになっちゃって」

「危なかったわね。この骸骨兵士……普通じゃないから」


 アルミーネが割れた赤い宝石の欠片を手に取る。


「パワーとスピードをこの宝石で強化してるみたい。武器と防具も特別製ね」

「誰かが強化したってこと?」


 僕はアルミーネに尋ねた。


「その可能性は高いかな」

「ならば、魔族だろう」


 キナコが低い声を出した。


「魔族は特別な秘術を使ってモンスターを改造することがあるからな。骸骨兵士の曲刀も魔族の武器と特徴が似ている」


 そう言って、キナコは落ちていた曲刀に視線を向ける。


 魔族という言葉を聞いて、僕の体温が下がった気がした。


 もし、調査団の事件に魔族が関わっているのなら、この依頼、予想以上に危険かもしれない。強い魔族はSランクでも倒すのが難しいと聞くし。


「気をつけたほうがよさそう」


 そう言って、アルミーネは町を見回した。


「とりあえず、遠話の魔道具で地上にいるフランクさんに伝えておくよ。そうすれば、他の団にも情報が伝わると思うし」


 その時、建物の陰から骸骨兵士が現れた。

 骸骨兵士は近くにいたミルファに背後から襲い掛かる。


 まずいっ! 紙の壁を具現化して……。


 そう思った瞬間、青白く輝く球体が骸骨兵士の側頭部に当たった。ガラスが割れるような音とともに骸骨兵士の頭部が砕ける。

 頭部のなくなった骸骨兵士の体がゆっくりと傾いて倒れた。


 今のは光属性の攻撃魔法か。一体誰が……。


 視線を動かすと、数十メートル先に見た目が十二歳ぐらいの少女が立っていた。


 あの子が魔法を使ったのか。


 少女は長い銀色の髪をツインテールにしていて、左右の耳がぴんと尖っていた。服は水色で金の刺繍がしてあり、茶色のベルトにはSランクの証である金色のプレートがはめ込まれている。


「シルフィール様!」


 ミルファが銀髪の少女……シルフィールに駆け寄った。


「私を捜しにきてくれたのですか?」

「当たり前でしょ。あなたは月光の団の団員なんだから」


 シルフィールはミルファの腕に触れながら、視線を僕たちに向ける。


「ユーリたちと戦っていた骸骨兵士も全部倒したから」

「よかった。ユーリたちも助かったんですね」

「で、あなたたちは?」


 シルフィールは視線を僕に向ける。


「私を助けてくれたパーティーです」


 ミルファが答えた。


「……ふーん。助けられたんだ」


 シルフィールは僕に歩み寄った。


「それなら、礼は言っとかないとね。感謝しておくから」


 シルフィールは小さな唇を動かす。


「私はシルフィール。月光の団のリーダーでSランクの魔法戦士よ。そしてゲム大陸に十二人いる英雄の一人。知ってると思うけど」

「はい。あなたを知らない冒険者はいないと思います。あなたの似顔絵はいろんなところに飾ってあるし」


 僕はシルフィールを見つめる。


 銀髪は月のように淡く輝いていて、肌は透き通るように白い。瞳は濃い緑色で貴族の女の子が持っている高級な人形のような美しさがある。

 ハイエルフは美形が多いからな。しかも長寿で老化しないし。


「で、あなたたち、パーティーってことは、サポートメンバーはいないのよね?」


 シルフィールは周囲を見回す。


「はい。僕たちは四人だけです」

「なら、これを渡しておくから」


 シルフィールは直径三センチの立方体を僕に渡した。


「危険な目に遭ったら、それで私に連絡しなさい。一度だけ、あなたたちを助けてあげる」

「一度だけですか?」

「そう。ミルファを助けてくれたから。私は義理堅いの」


 シルフィールは薄い胸を張った。


「まっ、気をつけることね。この事件、魔族が関わってるから」

「やっぱり、そうなんですね」

「やっぱりってことは気づいてたの?」


「はい」と僕の後ろにいたアルミーネが答えた。


「骸骨兵士が強化されてたから、その可能性はあるかなって話してたんです」

「そこまでわかってるのなら、上の階層に戻ったほうがいいんじゃない? 私が魔族を倒すまではね」

この物語を『面白い』『続きを読んでみたい』『作者がんばれよ』『応援してやるか』など思っていただけたら、ブクマ、評価などしてもらえると、作者が大喜びします。


また、私の作品以外でも、小説家になろうの中で気に入った作品があったら、同じように評価してあげてください。

作者は、こういうことで喜び、モチベがあがるので。


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よろしくお願いします。

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