表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/106

危険なモンスター

 五時間後、狭い通路を抜けると、僕の視界が広がった。


 その場所は天井が高く、発光する白い石が壁に埋まっていて、全体を淡く照らしている。

 僕は視線を落として、調査団の痕跡がないか調べる。


 人族の足跡は……ないか。となると、こっちのルートは外れかもしれない。


 その時――。


 小石が転がるような音がして、頭上から何かが落ちてきた。

 それは背丈が一メートル前後、赤黒い体で八本の脚が生えていた。八つの目は赤く輝いていて、黒い牙は鋭く尖っている。


「魔鋼蜘蛛だ!」


 キナコが叫んだ。


「こいつらは群れで行動する。他にも……」


 キナコが言い終える前に数十体の魔鋼蜘蛛が岩陰から姿を現す。


「キシャアア」


 魔鋼蜘蛛が僕の隣にいたアルミーネに飛び掛かった。


「『雷撃盾』!」


 僕は魔法のポケットに入れていた雷の効果を付与した紙を重ね合わせて盾を作る。

 魔鋼蜘蛛が雷撃盾にぶつかり、その体が感電した。魔鋼蜘蛛は地面に落ちて、びくびくと八本の脚を痙攣させる。


 この前買った魔法の本の知識が役に立ったな。そのおかげで金属の性質を持つ紙に雷の効果を付与できるようになったし。


「ありがとう、ヤクモくん!」


 アルミーネが僕の背後に移動した。


「なるべく素材は温存したいの。ここは三人で戦ってくれる?」

「まかせておくのだ!」


 僕の代わりにピルンが答えた。


 ピルンはマジカルハンマーで右側にいた魔鋼蜘蛛を叩く。金属同士がぶつかる音がして、魔鋼蜘蛛が真横に飛ばされた。


ピルンは狂戦士モードじゃない時でも並の戦士以上の攻撃力がある。これなら、僕も攻められるぞ。


 僕は正面にいた魔鋼蜘蛛に突っ込む。魔鋼蜘蛛は八本の脚を曲げて飛び上がり、下半身から白い糸を出す。その糸が僕の肩と腕に絡みついた。


 僕は魔喰いの短剣に魔力を注ぎ込む。青白い刃が長く伸び、その刃で糸を斬る。そのまま、魔鋼蜘蛛に駆け寄り、魔喰いの短剣を振り下ろした。

 キンと金属を叩いたような音がして、魔鋼蜘蛛の額に傷がつく。


 んっ? 予想以上に硬い。それなら、魔力を増やして……。


 魔喰いの短剣の刃がノコギリのように細かい刻み目がついた。

 僕は片膝をついて、魔喰いの短剣を真横に振る。魔鋼蜘蛛の脚が関節部分から斬れる。


 よし! この刃で関節部分を狙えば、楽に斬れる。


 視線を動かすと、キナコが三体の魔鋼蜘蛛を倒していた。


 さすが、Aランクのキナコだな。これだけ硬い魔鋼蜘蛛でも余裕で倒している。


 僕にはキナコみたいなパワーもスピードもない。でも、僕だけができる戦い方がある!


 粘着性のある紙をひも状にして……。


 僕は脳内で魔式をイメージする。


「『粘着網』!」


 左方向から迫る魔鋼蜘蛛たちの前に粘着性のある紙の網が具現化する。

 魔鋼蜘蛛たちは粘着網に捕らえられ、その動きが制限される。


 粘着網の具現化時間は約一分だ。でも、それだけあれば問題ない。その間に他の魔鋼蜘蛛をみんなで倒す!


僕は飛び掛かってきた魔鋼蜘蛛に向かって魔喰いの短剣を振った。


 数分後、動いている魔鋼蜘蛛はいなくなった。


 どうやら、全部倒せたみたいだな。


 僕は呼吸を整えながら、視線を動かす。


 予定通り、アルミーネの魔法を温存できた。僕の基礎魔力も700万マナ以上残ってる。キナコとの訓練のおかげで白兵戦のレベルも上がっているみたいだ。


「また、新しい技か」


 キナコが僕の腰を肉球で叩く。


「雷の効果がある盾に粘着性のある網とは。なかなか使える技だな」

「うん。研究してた紙で魔法のポケットにストックしてたんだ。上手くいってよかったよ」


 僕は魔鋼蜘蛛の死体を見回す。


 どっちも予想以上に戦闘で役立ちそうだ。ストックを増やしておいてもいいな。


 コンと小石を弾くような音が背後から音が聞こえた。


 振り返ると、そこには四人の男たちが立っている。


 あの人たちは……。


この物語を『面白い』『続きを読んでみたい』『作者がんばれよ』『応援してやるか』など思っていただけたら、ブクマ、評価などしてもらえると、作者が大喜びします。


また、私の作品以外でも、小説家になろうの中で気に入った作品があったら、同じように評価してあげてください。

作者は、こういうことで喜び、モチベがあがるので。


この文章の広告の下の☆☆☆☆☆が評価する場所です。


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ