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水晶ドラゴン

 タンサの町を出て二日後、僕たちはメガド山の鉱山にたどり着いた。


 鉱山に人の姿はなく、しんと静まり返っている。人の頭ほどの大きさの『青鉄』が積み重なっている小山がいくつもあり、その先には大きな穴が開いていた。


「あの穴の中に水晶ドラゴンがいるのか……」


 僕は額の汗をぬぐう。

 隣にいたピルンが僕に顔を近づけた。


「顔が強張っているのだ。さてはドラゴンが恐いんだな」

「そりゃ、恐いよ。ドラゴンは最強のモンスターって言われてるし。水晶ドラゴンはその中でも強いほうに入るから」

「四人パーティーになったピルンたちだって強いのだ。今まで戦ったモンスターは全て瞬殺だからな」

「僕たちがパーティーで戦ったモンスターって、ここに来る途中で出会ったスライムだけじゃないか」


 僕はピルンに突っ込みを入れる。


「とにかく、油断できるようなモンスターじゃないよ。ドラゴンは」


「その通りね」


 アルミーネが僕の言葉に同意する。


「ドラゴン退治で全滅するパーティーなんて、山のようにいるから」

「作戦はあるの?」


 僕はアルミーネに質問した。


「重力系の魔法で水晶ドラゴンの動きをだいぶ抑えられると思う」

「たしかに。水晶ドラゴンは巨体のわりに動きも敏捷だから、動き回られると厄介だしね。あとは氷のブレス攻撃に気をつけておかないと。ブレスの範囲が普通のドラゴンより広いし、武器の斬れ味を鈍らせるから」

「ん? 詳しいんだね」


 アルミーネが驚いた顔をした。


「冒険者ギルドに資料があるモンスターの知識は頭に入れてるよ。いつ、どんなモンスターに遭遇するかわからないから」

「へーっ、勉強家なんだね」

「自分と仲間の命が掛かってるからね。自分にできることはやっておきたいんだ」

「仲間の命か……」


 アルミーネは僕をじっと見つめる。


「どうしたの?」

「ヤクモくんをパーティーに誘ってよかったなって思っただけ」


 そう言って、アルミーネは笑った。


「私たちのパーティーなら、きっと水晶ドラゴンを倒せるよ」


「まかせておけ」とキナコが言った。


「俺の爪は硬いドラゴンのウロコも斬り裂くことができるし、肉球パンチは体の内部にダメージを与えることができる」

「ピルンの『マジカルハンマー』も強いのだ」


 ピルンが腰に提げていたカラフルなハンマーを手に取った。


「これはアルミーネがピルンのために作ってくれたのだ。地属性の武器で与えるダメージがどかっと上がるのだ」

「それは狂戦士のピルンに合った武器だね」


 そう言って、僕は腰に提げた魔法武器の魔喰いの短剣に触れる。


 アルミーネからもらった魔喰いの短剣は魔力を使って刃の形状を変えることができる。僕の【紙使い】のスキルと組み合わせれば、いろんな戦い方ができるはずだ。


 まだ未熟だけど、全力で仲間のために頑張らないと。


 僕は決意を胸に秘めて、唇を強く結んだ。


 ◇ ◇ ◇


 鉱山の中の空気は冷えていた。壁には光る石が入ったカンテラが掛けられていて、僕たちの姿を照らしている。足音に反応したのか、数匹の『発光蟲』が六本の脚を動かして、通路の奥に消えていった。


 レールが敷かれた細い通路を進んでいると、水の流れる音が聞こえてきた。


「えーと……そろそろ地底湖かな」


 アルミーネが依頼主の鉱山の所有者からもらった地図を確認する。

「水晶ドラゴンの目撃場所はその近くだから、みんな注意して」

「アルミーネ!」


 先頭を歩いていたピルンが腹部を両手で押さえた。


「ピルンはお腹が空いたのだ。だから、ご飯休憩を希望なのだ」

「休憩は地底湖について、安全を確認してからね。ここじゃあ、見通しも悪いし」

「じゃあ、地底湖まで大急ぎで行くのだ」

「それもダメ。水晶ドラゴン以外のモンスターと遭遇することもあるんだから、慎重に行動しないと」


この物語を『面白い』『続きを読んでみたい』『作者がんばれよ』『応援してやるか』など思っていただけたら、ブクマ、評価などしてもらえると、作者が大喜びします。


また、私の作品以外でも、小説家になろうの中で気に入った作品があったら、同じように評価してあげてください。

作者は、こういうことで喜び、モチベがあがるので。


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よろしくお願いします。

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