いい副業です
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「お待たせいたしまして申し訳ございません!」
「あ、いえ、お気になさらず」
戻ってきたその手にはお盆があったので、お茶取りに行ったのか、と納得。
紅茶っぽい色合いだなー?と飲んだら味も紅茶で、知ってるもので安心感がある。
うん、おいしい。ふだん紅茶あまり飲まないけど、こうやって飲むと茶葉買おうかなって思うんだよねぇ…。
「今回は本当にありがとうございました。」
「あぁ、いえ。助かったのならよかったです。」
話を聞く限り、若いあの4人は、同世代より少し強いらしい。
らしいなのであれだけど、同世代のグループよりもランクが上なのだとか。
なので若さ故の過ちというか、俺たち強いんだぜぇって感じに調子乗っちゃって、俺たち最強ウェーイとなって、今回に繋がったと。
俺たちでもいけるっしょ!ヨユーヨユー!と、森の中に突撃したらしい。
街から草原をぬけて進むと森があるらしく、そこには強めのモンスターがいるらしい。
彼らの実力で見ると、草原でがんばれ!ていうところらしいので、あー…である。
たぶんだけど、10代半ばかな?高校生くらいに見えたからね…。
あるよね、自分は最強で万能と思い込むことって。うんうん。…だとしてもDead or Aliveのこの世界でそれはいかんでしょうけどね。
今回のことで懲りてくれたらいいけども…。
世の中そんなに甘くない。
「とりあえず、C+のポーションを買取していただけますか?忘れそうで」
「ありがとうございます!少々お待ちください!」
自分の要件、とりあえずC+だけでも買取してもらおう。
20本あるから、6000レンになると思うんだよね。
戻ってきた…ええと……名前聞いた記憶が無いな?
「…すみません、お名前お伺いしても?」
「あ!申し訳ございません!│狼人のレックスと申します。」
というわけで、戻ってきたレックスさんの手には前回も見た測定器があって、テーブルに並べていたC+のポーションをのせて、確認している。
冒険者カードを渡すと、20本ですね、確かに。といって、お金を入れてくれた。
スマートウォッチに6000レンと出たので、確かなのだろう。
おいしいです。
あ、そう言えば…
「あの、レックスさん。」
「はいなんでしょうコタニさま」
「えぇと、…他にもモンスターの皮とかって買取して貰えますか?」
「もちろんです、拝見させていただいても?」
とりあえずピグモウとカウカウの皮、あとピグモウの牙をテーブルに出すと、ニッコニコしている。
そりゃあもうしっぽちぎれませんか?なぐらい揺れてるし、大喜びです!!!と全身で表現している。
狼人と言っていたけれど、これは…わんこ…
「素晴らしいですね!状態もとてもいい!」
「そうですか、それはよかったです」
「それにとてもいいマジックバッグですね!容量が大きくて使いやすそうです!さすが薬師さまですね!他には何がございますか?」
「他…あぁ、えーと…塊肉とかしか」
「あぁー!素晴らしい!」
「あ、はい」
接客の鏡と言うべきなのか褒められまくってる気がする。
自画自賛大好きだけど、他者から褒められ慣れてないからとてもむずがゆい。ええ、とてもそわそわしてしまう。
マジックバッグらしいカバンも特に珍しいものでもなさそうだから、まぁいいや。
ただ塊肉に対しての反応は純粋に肉食いたい!ていう反応な気がしないでもないぞ…。
とりあえず、ピグモウの塊肉を8つとカウカウの塊肉を2つ、さっと用意された紙の上にのせる。
なんだろう?ドリップ吸うやつみたいな感じかな?
「はぁぁ…素晴らしい、このお肉、とてもいいやつです…」
うっとり、という表情そのもの。
やっぱり肉が好きなのだろうか…。
たしかに、美味しかった。これはカウカウのお肉も期待出来るやつですね。
ガツンとステーキもいいけども、牛丼も捨て難いよね。なんなら焼いて焼肉のタレ。
焼肉のタレ万能だからね、あれはうまい。
ご飯にワンバンさせて、はぁ…お腹すいた。
お肉の良さは、倒し方に現れるらしく、傷まみれだと肉の品質も素材の品質もやはり落ちるらしい。
かまいたちで瞬殺なのでそこら辺はいい品質がとれているのかもしれない
ピグモウのお肉はひとつ1500レン、カウカウはひとつ5000レンとなった。わお。1キロの塊肉だからね。
ピグモウは日本でもまぁわかる値段。なんなら大きいからもう少し安くなるかと思いきや、上質なお肉ということで、これでも高め設定らしい。
そしてなんとカウカウ。
これがいい値段に化けたなぁとおもう。
日本では上を見ればキリがないけども、グラム換算したらいいお肉です。ありがとうございます!
どう食すかとても楽しみです。
改めてお肉を見たら輝いて見えるわ…。
あと、ピグモウの皮が30000レンとカウカウの皮が20000レンに、ピグモウの牙が5000レン
毛皮いい値段するな〜とおもったら、防具にも防寒にも使い勝手がいいらしい。
というわけで、ピグモウの肉が1500レン×8で12,000レン
カウカウの肉が5000レン×2で10,000レン
皮とかが90000レン
しめて112,000レンです。
ありがとうございます。とてもいい稼ぎです。
仕事辞めれる。余裕で。こっちがメインで仕事が副業になりそうです。まぁ2足のわらじ生活するけどね!
クラウチングスタートされた時にはどうなるかと思ったけども、結果オーライ。
積極的に狩っていこうか。
全て冒険者カードに入金してもらい、ホックホクである。
あ、うーん。
ポーションBのものは今度にしよう。うん。
あとは…
「レックスさん、」
「はいなんでしょう」
「ええと、こちらで取り扱っているポーションの種類一覧とかありますか?できたら材料もわかると有難いのですが」
「あぁ、コタニさまは薬師さまでしたね。ご自身のものは…?」
「あー…口頭伝授のみで…ええと、みなさん普段から親しまれてる材料で作られたものの方が安心できるかなぁ…なぁんて…」
いやこれ苦し紛れすぎる?ねぇ無理では?
とっさに考えたにしては頑張ったけど無理では!?
おとなしく説明書読んでおくべきだったかな!?
「なるほど!たしかに地域によって取れる薬草が違うこともありましょう!噂の飲みやすいポーションというのもオリジナルなものなのですね!」
「はは、は…え?うわさ?」
「ええ、飲みやすくて回復力も素晴らしいと!いま一覧お持ち致します!」
なんてこった。
いやー…広まるスピードの速さよ。
思わずここでは無い遠くを見つめてしまうわ。
面倒なことは巻き込まれたくはないからなぁ…やっぱり自衛の手段は必要だな…。
何かあったらバチッと強めの静電気流しときますね〜。
気分は有名な電気ネズミです!
あのあとレックスさんがポーションの種類一覧と使われている材料をまとめたものを用意してくれたのでありがたく頂戴する。
その時に、ぜひ飲みやすいポーションも卸して欲しいと言われたので、じゃあと取り出す。
43個あったので、とりあえず30個。
通常のものなら800レンらしいが、飲みやすさは大事らしく、ひとつ1000レンとのこと。
1000レン×30個で30,000レン
思わずにやけそうになっちゃうね!?
そしてこうなると、薬草1本50レンだったので、購入してしまった方がサクサク作れてしまうと。
だがしかし、それでいろいろ大丈夫なのなを確認しないといけないね。
「ポーションは、普段から手に入りやすいものですか?」
「そうですねぇ…この街に薬師がいなくなってしまったので、行商の方がきて一定数卸してくれるんです。ただ、苦いので…」
「あぁ…」
「一応聖人がおりますが、まぁ…難がある方で…」
ごにょりと濁されたが、聖人はやはり回復魔法等使用出来るんだろう。が、難がある。
関わりたくないやつだなーこれ。
薬師がいなくなったのもそれ関係ありそうじゃなーい?
ただそういうことならば遠慮しなくていいだろう。
自重?グッバイ!
私のお金儲けのためです。はい。
最近は電子マネーで大体のものが買えるからね。
コンビニはもちろん、スーパーやドラッグストアは基本的に電子マネー決済可能。
病院とかは無理だけど…。
「そうですか、ええと…薬草を購入したいのですけど、販売はどこでされてますか?」
「こちらでもしてますよ!隣の冒険者ギルドでも!依頼で溜まっている薬草は行商の方が買い取るくらいなので、問題なく沢山あります!」
買ってくれるんですか!!としっぽが高速で揺れてるのを見ながら、とりあえず…何本?100本とか?
んん…いや!今回は買うとして、行商の方が買いとる分なくなるのはダメじゃないのかな…
とりあえず在庫が少なくなりそうだったら、私から薬草採取依頼を出してみるか。
とりあえずだしね、うんうん、
「では、とりあえず200本、いただけますか?」
しめて10,000レン
ありがとうございます。作ったら持ってきますね、と席を立つと、入口までわざわざ見送りに来てくれた。
歓迎されてるなぁ。
しっぽと手をぶんぶん振ってるレックスさんと別れ、帰ってポーションつくろうかなー、それともこのリストの薬草探そうかなー?
門番の人達に、ポーション卸してきましたよー今後ともご贔屓にーと声をかけて外に出る。
マップ機能に敵の位置とか薬草の位置とか欲しい情報を表示してくれないかなー?
なんて願えば…?叶う!素晴らしい!ブラボー!
スマートウォッチにレーダー探知機のようなものが出て、自分は中心。そして前方の赤いのが見えてるピグモウ。
後方の緑の4つ…は?
ぐるんと振り返るも姿は見えない。あら、かくれんぼかね。
ピグモウを避けて歩くとやっぱり後方の4つもついてくる。
付けられておる。やだストーカー。
…まぁ4つだし、若輩者の4人組じゃないかな、たぶん。
お礼を言うなら隠れる必要なんてないだろうって感じなので、文句でも言いたいのかな…。
えー、めんどくさいぞー…。
悩みながら適当に歩いていると、緑の4つのさらに後ろ、赤いのがでてきた。
おや?と、振り返れば遠くにカウカウ。
すでにクラウチングスタートの姿勢だけど…?
はい、走りました!
はやい!とてもはやい!風のように猛ダッシュしてくる豚サイズの二足歩行の牛!
素晴らしいフォームで草原を駆け抜けております!
脳がバグりそうです!
これは!?
飛んだー!高く飛びました!長い滞空時間!ここから!?どうする!?
これは!!飛び蹴りの姿勢になってー!?!?
「ぎゃ!!」
「カウカウだ!」
やっぱり人がいたようで、4人が急に現れる。どんな原理だろうか?と離れたところから観察。
というか4人もいたのに周辺警戒とかしてなかったのかな。それダメなやつだね。
そういうところが怪我に繋がるんだよ。
そしてカウカウよ。
4人相手に格闘技のような攻撃をしていて、正直脳がバグる。
飛び蹴りの威力は強そうだし痛そうだった。
そんなカウカウを倒せない4人。不意打ちされたからではなく…どうにも連携が下手くそに見える…な?
うーん…助けるべきかなー。
でもなー?
「助けは必要ですかー!?」
「こんぐらいいらねぇわ!!」
「はーい」
いらんと言われたので、じゃあいいや。
そもそも後ろつけられてたんだから助ける必要も無いよねー。
がんばって戦闘してる姿が見えなくなってから自宅に戻りましょう。