転勤初日
転勤初日の金曜は、とりあえずご挨拶と備品やファイルなど場所の確認、そして仕事の引き継ぎ資料の確認など。
業務的にはあまり変化もないので問題はなさそう。
パソコンも大きく変更することなんてほぼないので、今まで通り。
雰囲気も可もなく不可もなく。
みんな仲間!仲良しだよー!みたいなところも付き合う距離がむずかしいし、かといって殺伐としているのも遠慮したい。
適度にコミュニケーションはあるけども、そこまで深入りしない適度な人間関係、みたいなところだろう。
もしかしたら中には、パーソナルスペースなんて知らないぜ★みたいな人がいるかもしれないが…。
「児谷さん、ごめんね、このご時世だから歓迎会とかはしないことになってるの」
なんて、横の席の人に謝られたけど、いえ業務時間外の飲み会はノーセンキューです。とは言えず、とんでもないです〜とだけ返事をしておく。
お酒は飲むし、居酒屋メニューも嫌いじゃないけど、それは気心知れた人と行くから楽しいのであって、仕事の延長では行きたいとは思わない。
それなら家に帰って缶ビールとスーパーの安くなったお刺身セットで乾杯したい。
ただ、できたらご飯が欲しい、というスタイルではあるので家でも基本は飲まないのだけど。
たまーに飲みたくなる日があるから、一応冷蔵庫にストックしとこうかと買っているぐらい。
それも最近は微アルコールなんて商品を見つけて、私これでいいな、と思う。
お昼ご飯もそれぞれバラバラで、今日はどうなるか分からないしとおにぎりと卵焼き、ウインナーとブロッコリーにきんぴらというシンプルなお弁当を持参。
広めの休憩室で食べられるらしいので、そこでゆったり過ごせるとわかり、これは外に行かなくていいなとお弁当生活を決意する。
お弁当しんどくなったら塩にぎりとインスタント味噌汁でいいしな…。
今日の帰りにホームセンターに行く元気はないので、帰ってご飯食べたら薬草採取してからお風呂入ろう。
午後の業務からゆるく仕事に取り掛かりながら周りを観察。
やっぱり前と大きな差はないなとモニターを見つめながらアイスコーヒーを口に運ぶ。
終業時間になったら帰る準備をする人も結構みえたので、そそくさと帰る。
残業?しなくていいならしない。
ノー残業。
今日のご飯は具沢山味噌汁と炊き込みご飯にしよう、と決めて、いやでもそうすると炊飯に約1時間かかるから、炊飯セットしたら薬草取りに行ってポーション作ってご飯かな…シャワーも浴びれそうだな??
「ただいまー」
帰宅して手洗いうがい。
そのまま雪平鍋にお水とだしパック入れて、カット野菜を適当に入れて火にかける。残りは冷凍庫。
あとお米を研いで、米1合にしょう油大さじ1と具材。
これも多めに作って冷凍保存するためお米2合分。
具材はキノコとお揚げさんだけでいいや。
ほい、炊き込みご飯モードでポチッと。
ふと足がそんなに疲れてないな?と歩数を確認したら7000歩ほどだった。まぁ通勤だとこんなものか?電車だしな…。
そして前日、あちこちノーラの世界をうろうろしていたから1万5000歩。
健康になるわーこれ。
下っ腹引っ込んでくれたらラッキーだわー。なんて思いながらお腹を触るとまぁぷにっぷにですわ!
クローゼットの扉の向こうの天気を確認して、沸いてた雪平鍋の火を止めて、カバンとガーデニングハサミを持っていざノーラの世界。
さて、薬草をと見渡すとこちらを見る豚っぽい生き物。
見た目豚。大きさは牛。
ええ、で、でかくなーい…?
これは…?とスマートウォッチを見たら、モンスターでピグモウというらしい。
え?なに?ピッグと牛の鳴き声か?ん?
そしてお肉は美味しいと。
よしきた!今晩のメニュー!と、考えてちょっと思いとどまる。
普通に日本に生きてきて、のうのうと暮らしてるわたし解体とか無理では…?
いや間違いなく無理だ。食事に関しては生き物ありがとう!ではあるけども、じゃあ解体してね、なんてできるわけが無い。
ホルモンだいすきだけどそれは食べられるように加工されてるからであって…。
これはどうしたものか〜と草をもぐもぐしているピグモウを眺めていると、スマートウォッチが通知をお知らせしてくる。
「…カバンは親切設計…」
なるほど?
ということは、とりあえずカバンに入れたらなんとでもなるよ!ということか。
いやそのカバンに入れるまでよぉ…スプラッタに近寄るのは嫌よ〜と思ったが、それさえも親切設計の可能性?ある?
私が攻撃したことによって討伐したらカバンに収納出来るのでは?
…やってみるしかあるまいよ。むしろ親切設計とはそこまでしてこそだからな!?
「よーし」
気合を入れて、いけかまいたち!
シュパッと風の刃がピグモウにあたり、いけたか?とおもった瞬間目の前から消えた。
ということは?スマホを見ると、カバンの中にピグモウ1。
ほう、ほうほう?
それを選ぶと、部位ごとに解体しますか?と。
その際不要な部位は破棄されます。
なんて親切設計!!!!そう!こういうことよ!!
YESをポチッと押したら、お肉と牙、皮に変わった。
お肉は塊肉が5つ。
どういう原理かわからないけども、解体しなくて済むのならとてもありがたい。
見かけたら倒しておこうと考えながらとりあえず薬草をせっせとカバンに入れていく。
2リットルのペットボトルで考えて、水1本につき20本の薬草が必要。
3回分として60本ぐらいかな〜とサクサク入れていく。
結構普通に群生してるものなのね、薬草。
途中スライムとピグモウを見つけたのでそれもさくっと。
このお肉…ちょっと興味あるよねー。
そろそろお腹すいたし。
「焼いてみよっかね、ホーム」
ただいまマイホーム。
再び手洗いうがいをしてから、ごそっと塊肉をイメージしてカバンから出てきたのは、1キロほどのブロック肉。
おお…。こんなの肉屋さんでしか見たことないよ。
とりあえず…切るか。え?切れるかって?お店のような薄さは無理だとしても努力すれば!
あんな高速回転する刃のついた機械ないしね。
うーん、薄めと厚めと…角煮とかカレー用ってところかな。
まず半分。そしてそれをゴロゴロサイズにしたものを半分に分けてそれぞれ密封。
あとは薄めと厚め。生姜焼きとトンカツかトンテキかな。
ノーラで1時間ほどいたようでまだ30分しか経ってないから、お肉を冷凍庫にしまったらポーション作り。
とりあえず、C+とB、B+を作る。
それぞれ20本。
うんうん、いいねぇ。
すぐできてしまうから、シャワーを浴びよう。
上がったらご飯も炊けていい頃合いだろうから、そしたらお肉を焼きながら味噌汁を完成させたら完璧だ。
さて、シャワーを浴びてお肉を焼いて、いざ実食してみたら、確実にいい肉でした。
歯切れ良く、筋が残るようなこともない。
適度な脂身でそこまでしつこくもない。
冷しゃぶにも生姜焼きにもトンカツにもどんとこーい。
もちろん炊き込みご飯もいつも通り美味しいし、具沢山味噌汁もばっちり。
味噌汁いいよね、ふっと一息つける感じ。
明日の朝も食べられる。
炊き込みご飯はおにぎりにして冷凍庫とカバンに。
これでいつでもお家でレンチンで炊き込みご飯。
ノーラの世界は常にあったか炊き込みご飯。
しかしつくづく不思議なカバンだ。
「さて…どうしたものか」
寝るにはまだ早い気がするんだけどなー?と、もう一度扉の向こう側へ行こうとしたら夜だった。
なるほど?
いやすごい満天の星空!!!
ほー…素晴らしいね。日本ではなかなか見られない光景。きらっきら。
思わず写真を撮ってしまうというものですよ。
夜空を綺麗に撮れるアプリというものがあってね、こうして、こうして…こう!
はい、綺麗。すっご。
SNSに…いやまてまて?綺麗だな〜で終わればいいけど、何だこの星!みたことないやつだ!とかなったらどうしよう?大袈裟な〜とか思う気持ちと、いやでも…うん、やめよう。
そして目線を上から草原に向けると、なにかがふよふよと浮いている。
なんというか、ボロ布を纏った半分透けてる…?
「おばけ…」
まさにゴースト。
これはあれでしょう。
属性的に考えたら闇だから光が勝つ。きっと。
光…ひかり…もうあれじゃん…光る剣じゃん
フォンフォンいいながらあのBGM流して戦わなきゃじゃん。
May the Force be with you
ってやつですねわかります。
まぁそんな剣持ってるわけないし近寄るなんて無理に等しいので、遠くから攻撃しましょう。
光の玉でも作って飛ばそうか、いやいっそ矢の形にしたらカッコイイのでは?
手のひらの上に手のひらサイズのキラキラしている矢が現れたけど…このサイズならいっそ弾丸…
お、おぉ形変わった。
よしこれを…念の為3つ用意して、連続で飛ばせるようにしておこう。
すっと片手を上げて、その上に宙に浮いた光ってる弾丸。
え、やだなに今のこの図わたしかっこいい…?
心の中二が沸き立つけども、冷静にどこを狙うべきなのか…
念の為頭らしきところかな?うんうん、無理なら体ど真ん中。
よし、いけ!
「おー…よかった倒せた」
指ひゅってしたら飛んでく弾丸。
かっこよすぎか?わたし。
でもあんな感じのがいるなら、骨とかもいそうだよね。ゾンビとか。
ゾンビの映画は見るけど目の前に現れるのはご遠慮いただきたいね。
いやでもこれ、こういう練習がきっといざとなった時にすぐ動けるようになるはず…たぶん。
かまいたちでも同じようなことできるのかな?
でも夜だしな、街がある方を見てもやっぱり夜であまり明かりもないし、今日は早々寝てしまおうか。
うん、明日は朝から買い物だしそうしよう。
そそくさと自宅に戻り、さくっと布団に潜っておやすみなさい。