表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/21

二足のわらじ


足を踏み入れた瞬間実はホログラム的なものでアイキャンフライになるんじゃないかと足だけ出して地面を確認して踏み出した扉の先はやっぱり草原で、ピクニックにもってこいだなと周りを見渡してみる。

風も音も匂いもある。すごい。

あの風の谷のお姫様の世界のようだわ…。

いや、あのでかい虫たちは御遠慮いただきたいけれども…。自分よりでかい虫なんて倒れる自信しかない。


遠くに壁が見えるから、あれは街かな〜とキョロキョロ。たぶんモンスター対策だろうな。

ということは近くに街がある草原。ここは街の外。

そして振り返ったら扉はない。おー…なんということでしょう…。

まぁホームと言えば帰れるのでね。

むしろ見えたままだったら誰かが急にクローゼットからこんにちはってな。

無理無理。


そしてちょっと緑の濃いこの草はなんだろう?と群生している葉っぱを見つめると、ブー!とスマートウォッチが反応した。

圏外とかかとおもいきや?なんのお知らせですかね?と視線を落とすと、『薬草』と書かれていた。

なるほどこれが!そして鑑定してくれてるのね!ならば取るしかない。

取るしかないけど…むしっていいの?ブチッといってしまっていいの?

いやでも根っこごといってしまうと今後生えないと困るよね…。



「うん、…ホーム」



その瞬間視界が揺れて気がついたら家にいた。すごい。不思議。

そしてクローゼットの中のお道具箱からガーデニングハサミを取り出してまた扉を開ける。

そして先程見つけた薬草をガーデニングハサミでパチンと切ってすぐにカバンに入れていく。

一旦ほかの草を同じように切って入れてみたら『雑草』となったし、これは使えない気がするけど容量あるからそのままにしておこう。思い出したら捨てよう。もしかしたらなにか使うことがあるかもしれないしね??


黙々と薬草採取をしていたら、視界にふよふよと動くゼリーが目に付いた。

半透明のゆるめのゼリー。

カタツムリかな?な速度で移動している。



「これは…うわさの…」



『スライム』

やっぱりかーとスマートウォッチにうんうんと頷く。

定番ですよね分かります。

これ、攻撃の練習のチャンスでは…!!


ええ、やってやりましょう。

ここで初級魔法といえばのファイヤとかの火。

だけどここは草原。火事になりそうだし、水はむしろ喜びそうだし…風…風…風の攻撃…

かまいたち?的な?


シュパッ



「…えぇ…」



思うだけで発動する系ですか…

こう、風の刃がスパーンと飛んでくのを想像したけどね!?

技の名前言わないといけないとかなるとちょっと恥ずかしいからよかったけども!!

そして肝心のスライムはデロォと溶けてジェルボールのようなものが残った。

おお…南無。

カバンに入れると『スライムの核』とのことなので、ひとまず見つけたらさっきのかまいたちでサクッと攻撃して核をカバンに入れながら、薬草を採取。



カバンの薬草が99をこえて、100になってもその項目が二つに分かれなかったので、一旦中断。

ほら、ゲーム的な感覚だと上限あったりね?

ふーと腰を伸ばして肩と首をぐるぐる回しながらカバンから塩にぎりをひとつ取り出して食べる。

うん、うまい。外で食べるごはんって、なんか美味しいよねぇ…。

思うだけで発動するのならと指先に水の玉を思い浮かべたら、まるで無重力状態のようにふよふよと水の玉が浮かんでいる。

つくづく不思議世界だなぁと感心する。


『楽しんできてください』


と、書かれていたので、私が楽しいと思うことをすればいいわけだとして…なんか使命とかないのかな?

激重な使命とかならあれだけど…即座にクローゼット封印して引っ越すけど…。

楽しむのが使命ということにしよう。

あの説明書にも書いてあったけど、冒険者が立派な職業として存在しているなら、ある程度自由がきく冒険者登録をするしかないですよね〜と街の方に足を向ける。

とりあえず地図にもないド田舎から冒険者になるために出てきたということにしておこう。

というかことばの問題…

説明書日本語だったからなんも考えてなかったけどわかるのかしら?

英語も喋れない人ですけど?

いざとなれば身振り手振りで切り抜けるしか?


おもったより近かったらしい街の壁沿いに足を進めると門が見えた。

門番らしき鎧を着た人が立っていて、中世の騎士みたいだなとおもう。第1街人発見!



「あの」


「どうした?」



日本語だ!!

いや、そう聞こえるだけかもしれないけど言葉の壁突破ですありがとう!



「あの、この街に入りたいんですけど」


「身分証明書はあるか?」


「え、と…あの、田舎から来たので、なにもなくて、冒険者になりたくて」


「ああ、なら仮証を渡すからそのまま真っ直ぐ進んだでかい建物に行って登録をしてくれ。そこでこの仮証を返却してくれたらいい。それをせずに街中に滞在するようだったら、取り締まることになるから寄り道せずに行くように。」


「あ、はい」



クレジットカードのようなものを渡され、指示通り真っ直ぐ進むと一際大きい建物が目に入った。

大体が平屋か2階建てくらいしかないから、ぱっとみて5階建てくらいあるのは目立つ。

街並みはそこまで大きくはないようだけど、それなりに賑わっているし、人間以外も見かける。

すごい、本当に地球上の世界ではないんだ…。

ほう、と思わずたちどまりそうになって、いや邪魔だわと足を動かす。

この視覚情報の多さ…いくら日本の大きな駅の人の多さに慣れていても知恵熱でそう。



そっと大きな建物に入ると、登録はこちらと書かれた看板があったのでそこに並ぶ。

受付してくれたのはたぶん、人間…かな?

見た目で判断できない種族もいそうだからわからないな?



「ようこそ、冒険者希望ですか?」


「あ、はい。これ、仮証…」


「はい、確かに。ではこちらの水晶に触れてもらっていいですか?」



おぉ、占い師が使うような水晶に手を触れると、ピカっと光って、カードが出てきた。え?どこから?

そこには伝えていない名前が記載されていて、これが魔法!!!と、感心してしまう。



「ええと…アキ・コタニさんですね」


「あ、はい」



冒険者は別に細かい決まりがある訳では無いが、依頼を達成してランクをあげることができる。

または冒険者としての業績でもランクがあがるらしい。

冒険者なりたてのルーキーは簡単な依頼から進めるのが死なないためだと説明される。

無茶をするとそれだけ死が近いぞと。

GからA、そしてS。なんだかゲーム的な…いやわかりやすくてとてもいいと思います。

簡単な依頼はやはり薬草採取とスライム討伐らしく、スライムの核は10個で100レン

薬草は10個で500レンだった。

これが高いのか安いのか…。


とりあえずスライムの核を50個で500レン

薬草も50個で2500レンを受け取る。

常駐依頼だから素材さえ出せば依頼達成扱いをしてくれるらしい。

そしてポーションはどこで売ってるか聞いたら、ここでも取扱があると言うのでひとつ購入する。

ポーションはひとつ100レンだった。

缶ジュースと変わらないと考えて、効果は…ちらりとスマートウォッチをみたらCとでてた。

詳細はスマホでわかる気がしたけど、いまここで見ない方が良さそうだなと判断して建物を後にする。

キョロキョロ見回してみてもやっぱりスマホの様なものを使ってる人は見当たらないので、そりゃそうだよなぁとおもう。

ふと服装も気になったけど、様々な種族がいるからか服装もバラバラ。

同じ服を着ようとしても種族的に適さない人もいるからね。

それこそ鎧の騎士から、着物っぽい服もあるし、身なりの良さそうなのはお金持ちか貴族とかそういう人達か。

ふむ…最近お気に入りのバンドカラーシャツとストレッチのきいたズボンにハイカットスニーカーでいるけど、特に問題は無さそうだ。



ひとまずカバンに購入したポーションを入れて、門から出て草原に向かう。

人気が無くなったのを確認してから、ホームと呟けば我が家にたどり着く。



「不思議だ」



さて、さっそくスマホで先程購入したポーションを確認しようとしたら、新しい項目が増えていた。

どうやら電子マネーのようだが、なぜ?と思ったら、先程発生したお金のやり取りかと納得する。

作ったばかりの冒険者カードにお金入れられるらしく、どうやってんだろ?と不思議には思っていたが…。

そしてそれが更に不思議なことに、円に変換できると書いてある。

なんてこった。どんな原理。

日本円として使えるの?まじで?どうして?

これはノーラの世界でもお金稼ぎが出来たら私の生活は楽になるのでは…?

まぁ労働には変わりないけども、デスクワークしてるよりは…いやこのご時世副業もありなんだし、いっそ副業冒険者…いける。

レートは1レンは1円だからとってもわかりやすい。

ノーラの世界の物価をあまり確認できていないけれども、これは冒険者を頑張ってみればいいのでは。


試せることは試そうじゃないか。

冒険者というが何も戦うだけが全てではないはず。

運動なんて体育の授業なくなってからしていませんが?

近接?無理よ。剣?ふったことないわ。弓?当たる気がしない。

後衛の魔法をやってみるしかない。

無理なら生産しようじゃないか!


さて、そうとなればまず説明書に書かれていた通り、適当な大きな布、これは家にあった私の風呂敷。結構便利。それに、そのままの薬草ひとつと新品のペットボトルの水を置いて、包んで魔力を流す。どうやって…?

ええい、ままよ。流れろ魔力。


そして開くとあら不思議、どこから現れたのか瓶に入ったポーションがひとつ完成。

そしてペットボトルの水は少し減ってる。

この量減ったということは…と、薬草4本と残りのペットボトルの水でもう一度魔力を流すと、やっぱりポーション4つと空っぽのペットボトルがあった。


ふむふむ。

では購入したポーションは…


『ポーション(C)浅い傷が治り、軽度の状態異常も治る。味は苦め。』


え、苦いの?いやまぁ草だし…青汁的な?

では自作したポーションは


『ポーション(C+)浅い傷が綺麗に治り、軽度の状態異常も速やかに治る。味は苦め。』


やっぱり苦いんか。というより品質は良さそう。

これはペットボトル未開封の清潔な水という所がよかったのかな?

ならば次。この薬草を乾燥して粉末にしてからポーションにしてみよう。


乾燥させるには水分を抜くということで薬草を手に持って薬草の水分を蒸発させるイメージをするとあっという間に薬草がミイラ化した。

それを適当な空き瓶に入れて蓋をしてから、瓶の中にかまいたちを発生。

これでもかって言うほど粉砕したものと、ペットボトルの水。

先程のポーションひとつ100mlを考慮して薬草は5本分。

布で包んで、よいっしょー。


やっぱりどこから出てきたのか小さい瓶に入ったポーションが5つ。

さっきのよりは色が濃い…かな?


『ポーション(B)傷が治り、状態異常も治る。味は少し苦くてややざらつく。』


なるほど、粉末が入ってるからざらつくのか。

味は少し苦いになったので、改良できそうだなと考える。

できたら苦味さようならした方がいいと思うのよね。

ぐびぐび飲めるを基準にしたらスポドリかなぁと買ってストックしている粉のスポドリをさっきのポーション作りに追加して布で包む。

そうすると


『ポーション(B)傷が治り、状態異常も治る。味は飲みやすいが少しざらつく』


よし、これはいける。

ぶっちゃけ傷が治り、状態異常が治る。って言われてもピンとこないけど、売ってもらったものよりは値打ちがある。

状態異常とか、状態異常全般に効くのかさえわからないし、たぶん特定の状態異常に特化したポーションがあるんだろうなぁとも思う。

ゲーム的に言うと例えば石化の状態異常にこのポーションが効くとは思えないし。

いやもしかして効くのかな…?

考えるのやめとこ。わからないものはわからない。うん。


ノーラの世界でたぶん1時間くらい薬草狩りをして、街で登録をして大体全部で2時間ほど過ごしたけど、こちらの時計はやはり一時間程度しか進んでいないので、それも不思議な感覚だなぁと思う。

さて、このままペットボトルのゴミが増えるのはさすがにいただけないので、家にある2リットルのペットボトルでポーションを作ることにしよう。

そしてふと思う。

これ水道水に魔力通して浄化とかなんかこう、そういう綺麗にする的なの出来るのでは…?

このポーション作ったら実験しよう。そうしよう。



書いてから修正したり追加したり…

そんなことしてたらこれだけ文字数増えました。

あれれー?おかしいなー?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ