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クッキー効果

20


ゾロゾロと人が滝に向かって行ったので、一旦時間を開けようか、とその場に留まる、

うん、だって今行ってもね…。

ナッツさんは時間なんていくらでもある、ということで引き続きクッキーを食べだした。

気に入っていただけて何よりだけども、あんま食べたらぷよぷよになるよ…。

……立派なシックスパックですから大丈夫なんですかね。



「しかし薬師殿は話題に尽きない人だな」



うんうんってシノノメのパーティ全員で頷いてるけど、嬉しくはないね。

ちなみにシノノメは帰るところらしい。

ダンジョン制覇するぞー!ていう勢いのものではなく、倒して宝箱回収してなにかいいものでないかなー?らしい。

シノノメいわく、当たり前だけれども上には上がいて、そうなると制覇だ!と意気込むパーティもいる

らしいけど、正直どうなんだろうな?と。



「どうなんだろうな?とは」


「ほら、私達は自由気ままにしてるけど、王都にいるような、所詮強いと言われるパーティは国王様からの指示で行くこともあるみたいよ」


「へーえ?」


――あれだな、スタンピード対策であろう――



すたんぴーど。

なんだっけ?というのが顔に出ていたのか、説明してくれた。

要するに魔物の氾濫。あぁそうだった!

前そんな話あったなー。

もしそんなことになったら大変だものね。




――うむ、決めた。――


「なにを決めたのナッツさん」


――お主について行く――



へ?

あ、わたし?え、クッキーに釣られた?

仲間をゲットだぜ★

だがしかしあなたの姿はなかなかに目立つしわたし普段はこの世界にいないしどうしたもんかねって思ってナッツさんの方をみたら、人間がいた。

何言ってんだって話だけど、直前まで腕4本のうち2本はカマキリだったし下半身ヘビだったのに、いまは人間がいた。

目は黒白逆転してるけど。あと美白ぅ!ていう肌。

ついでに服は何故か私の着ているスタンドカラーシャツそっくりだけど。



「…ナッツさんって変身できるの」


「うん?おかしいとこあるか?」


「え?あ、目かな。」


「ぬ?こうか」



これにはシノノメも目が点になってるよ!

あれだね、鳩が豆鉄砲くらった顔ってのはこのことですね!!

この世界だと…変身できる人がいてもまぁ不思議じゃないのかな〜?

なんてことはなかった。

声にならない叫びで身体をがたがたと揺すられて正直吐くかと思ったよね。


姿かたちを自在に変えられる人というのはそりゃあもうとてもとても強い幻獣なのだとか。


幻獣。人間じゃないやん、やっぱり。

え?なに伝説の生き物なの?妖怪?



「す、すまん、取り乱した」


「ぅ、ん…ナッツさんすごい人なんですね」



揺する腕をバシバシ叩いて解放してもらったけど、酔うわ…。

三半規管が……!


なんであんな腕カマキリで下は蛇だったのかっていうと、単純に色々試してたらしい。

強い生き物とは?組み合わせたら?とか。

そのタイミングで冒険者が部屋にバーン!と乱入して荒らすもんだからそのまま追い払ってたらあぁなったと。

そりゃナッツさんからしたら賊もいいとこだよね。


仲間……いや、でもうーん…。

まぁこの話はシノノメがいないときにしよう。

わたし実は別世界の人間なのって…言ってもいいものか?



「滝に行かんのか?」


「あ、行きまーす」



すっと立ち上がって思ったけど、ナッツさん高身長イケメンだな〜。

蛇の時は正直身長と認識してなかったもんね、全長は長いなとは思ったけど。

そしてなんだこのキリッとしたイケメン。

もしかしなくても髪色は私に合わせたかな?目も似たような色してる。

うーん…目立つ!!どのみち!目立つね!!

なんか既視感と思ったらあれだね、韓流な感じ。

最近ほら、流行ってるじゃん?グループとか。

ごめんなんも詳しくないんだけど。

あの感じ。なんかイケメン。というかモテそう。

いやー、日本に連れ帰ったらモデルになれるね。


ただ別に目立ちたい訳では無いので、ね!



「ナッツさん、これ被っててね」



私の愛用していた黒キャップ提供。

うん、と素直に被ってくれたんだけど、前髪かきあげながら被るとか…。

はー、美!!!

心得てるぅ。なんかこの美を知ると他が霞む。

今の仕草を動画にして投稿したらハート飛び交いそう。



「じゃあ俺らは一旦帰るわ。備品補充したいしな 」



ひらひら〜と手を振りながらシノノメは去っていった。

たぶんそのうちまた会うんだろうな…。

でも、いたら話できないから丁度よかったかな。



「あ、ナッツさんの攻撃方法って?」


「なんでも。魔法でも武器があるなら武器でも。」



オールラウンダーってやつですね。

そりゃ強いよな〜。

強くてイケメン。天は二物を与えずって嘘じゃん。



「お主も強かろう?この世界の者ではないし」



………

え?なんて?え?ん?



「……」


「一瞬クッキーでわからんかったが、不思議な匂いがするし。魔力もかなり持っておるし。あ、そこ抜けたら滝だが」



脳内フル回転!!

情報量過多すぎて追いつかないんですが?

ナッツさんしれっと爆弾投げるスタイルー。

普通に返されたけど、普通なの?

え?ねぇ普通に日本人他にもいるの??

聞きたいけど滝に近づいてきたからなのか、他に冒険者いるし大人しくついて行こう…。

ってか、このまま進むとずぶ濡れコースじゃないのよ。



「この裏に次のフロアがある、ほれ」



ひょいひょい進むねぇ…。

いやまぁトレッキングシューズだからある程度は大丈夫だけどね!



「あ、階段」


「降りたら次だからな」



降りても変わらぬこの景色…!

洞窟の中に入って草原に来るってよくわからないけど、そんなもんだと思うしかないね!

どうにも人が多くいるようなので、ナッツさんの提案でさっさと抜けてしまおうということになった。

道案内は任せろと言うのでありがたく任せてるけど、ちょいちょいなんか倒してるな??



「うーん、お主は魔法使いよな?」


「たぶん?」


「じゃあ次からは長物(ながもの)を使うかな」



そして気がつけば持ってる刀。

刀だねぇ…なんか長い。

ひゅんひゅん振り回してるけど、風きり音がすごいね!?

あとなんかエフェクトかかってない?

ひえー!かっこよ!!



「うん、まぁいける。お主」


「あ、それ。わたしアキっていうの」


「ふむ、ではアキ。つぎのボスまで行って倒してしまおう。わかりにくいがもういい時間だからな」



さくっとエスコートされて到着しました、どデカいトビラ。

なんかナッツさん途中からバージョンアップしたの?ってくらいスマート!

ジェントルマンですよ!


で?

中にはボス。



「今回のボスは、蜂だ」



げぇ。普通にいても怖くて避けるやつ。

しかも団体さまいらっしゃ〜いな状態。

小さい蜂は凍らせてしまえばOKとのこと。

任せて!雪女になるわ!

でも小さいのはってことは?



「女王蜂はたたっ斬る」



あ、はい。

あれこの人、斬鉄剣でも手に入れたのかな?

とりあえず役割分担で、わたしは小さいのを片っ端から凍らせていく。

ナッツさんは女王蜂たたっ斬る。

わかりやすい!!


うんうん、じゃあさくっといっときますか!



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― 新着の感想 ―
[一言] 規格外、規格外と出会う スタンピードはダンジョンの話聞いたときに聞いた話として出てましたから「何か」は知っているはずです
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