表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/74

第74話

「おーい!コーサク!」


 すでに冒険者ギルドが見える所まで近づいた時、俺に気がついたジャンが大きく手を振って俺を呼んでいた。


 その周りにはアンネ、クロード、そして彼らに依頼するために向かったアルベールさんが立っていた。


「アルベールさんから話は聞いたか?」


「ああ、俺たちも遠くに出るような依頼を受けていないし、アルベールさんの依頼を受けることにするよ。って言っても、お前の家まで行くだけなんだろう?そんなことで報酬がもらえるんだったら誰でも飛びつくぞ」


 そう言うジャンはニンマリとした笑顔を浮かべていた。そんなに浮き足立つということは報酬がそこそこ良かったのだろうか。


「コーサク様、こちらの都合で急遽このようなことになってしまい大変申し訳ございません。ジャン達の報告を受けた後、すぐに王宮に報告させていただきますので」


「それは仕方ないですよ。未開の地にすぐ向かおうとする人なんて居ないでしょうからね。ただ、きちんと交渉してくれないと困りますからね?」


 俺が釘を刺すようにそう言うと、アルベールさんは額に汗を浮かべていた。

 

 俺と王宮との板挟みなんだろうが、そんなことはもう知らん。アルベールさんには頑張ってもらわないといけない。

 それに、農業都市開発計画がうまくいけば、アルベールさんの商売も繁栄するかもしれないからな。


「ジャン達はもう準備できたのか?」


「ああ、食材も用意したしほかに準備もいらないからな。早く行こうぜ」


「なんだ、自分達の飯も準備するのか。大変なんだな冒険者って」


 クロードが肩に背負っていた袋には、野菜や干し肉のようなものが入っていた。どうやらこれが彼らの夕食になるそうだ。


「それじゃ俺の家に帰ることにするか。アルベールさん、それじゃこの辺で失礼しますね」


 そうして俺とジャン達はアルベールさんには別れを告げて、魔の森の中にある俺の家へと向かうことになった。




 俺の家に向かってしばらく経った頃、日没から少し時間が経過し辺りは暗くなり始めた。


「……もう日が暮れてかなり暗くなってきたな。こういう夜も冒険者は活動するものなのか?」


「いや、大抵は日が暮れるまえに自分達の拠点の街へ戻るのが普通だ。もし遠い場所へ依頼を受けに行くなら、日が暮れる前に野営の準備をして夜は体を休める」


 ジャン達も夜に行動することはあまりらしい。

 まだ魔の森沿いを南に向かって歩いている途中だが、魔の森からは聞いたことのない鳴き声が聞こえていた。夜行性のモンスターもいるのかもしれない。


「お、見えてきた。あそこに木の棒のようなものがいくつか地面に刺さっているのが見えるか?あそこから魔の森に入るぞ」


「……お前、本当に魔の森に住んでるんだな……。バケモノかよ」


「アルベールさんから聞いているんだろう?俺の家の周りはモンスターが近づいてこないようになっていて安全だから俺も無事に生活できるんだぞ?モンスターが多くうろつく魔の森で普通に生活できるわけないだろ」


 俺が本当に魔の森に入るつもりなのを見て、ジャンは変なものを見るような目でこちらを見ていた。


「一応戦闘準備のようなものがあればして行った方が良いかもしれないな。俺も夜中にこの森を歩くのは初めてだから何が出てくるかわからないんだ」


 俺はジャン達に向けてそう言った。

 朝と夜で生活リズムが違うモンスターがいるかもしれないし、万が一に備えておくことに越したことはない。


「ああ、少し慎重に進まないとな。アンネ、クロード、装備なんかの確認を済ませておこう」 


 そうして、ジャン達は魔の森に入る前に戦闘準備を始めた。

 俺も斧を手に持ち、いつでもモンスターと接敵してもいいように備えることにした。


「よし、行くぞ……」


 そうして俺たちは真っ暗闇の魔の森へと足を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 続きが読みたいです。更新を楽しみにしてます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ