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第38話

 俺は続けてシュワンの収穫に移ることにした。

 ポムテルを収穫している最中に気が付いたのだが、シュワンはかなり巨大化していた。

 50センチはあろうかという、キャベツのような見た目をしたシュワンがゴロゴロ地面に育っているのはかなり違和感があった。


「何でもかんでも大きすぎるだろう……。まあ、収量も品質も上げる魔法の肥料で、作物が大きく育つのは当たり前なのかもしれないな」


 果たして、こんな作物を持っていってもアルベールさんは買い取ってくれるのだろうか?……大きすぎて買取できないと言われたら全部カミラに上納すればいいか。とんでもない肥料を作らせたんだから、全責任を取らせよう。


 そんなことを考えていた俺は、結球と呼ばれる葉が球状に育っている部分を手で軽く押してみた。

 シュワンの結球はすでに固く締まった感触があった。俺は葉物野菜の知識も軽くしか知らないが、キャベツの場合はこれくらいが収穫適期……だった気がする。


「まあ、これも試しに1つ収穫してみるか。異世界野菜の育て方、みたいな教科書があればいいのにな……」


 異世界の作物は地球の作物と栽培方法も似ているが、果たしてこれが最適解の育て方なのかは俺にとっては知る由もないのだ。


 俺は一度家に戻って、キッチンに最初から1つ常備されていた刃渡りの短い果物ナイフを持ってくることにした。

 

 キャベツの収穫方法しか知らないが、とりあえずはそれに倣ってシュワンの株元に包丁を入れて、芯を切るように収穫した。


「よいしょ……っ!痛え!シュワンってこんなに軽いのか!?」


 俺は少し気合を入れて収穫したシュワンを持ち上げた。

 しかし、想像よりシュワンは軽くて勢い余って尻餅をついてしまった。


「あ、ステータス上がったせいなのかも。攻撃力がそのまま普段の力になったってことなのか」


 ステータスが上がると感覚が変わってしまって、少し不便に感じてしまうものなんだな。


 収穫したシュワンが果たして本当に収穫適期だったのか少し不安になり、俺は『鑑定』

を発動させた。



◯シュワン◯

 食べ頃に収穫されたシュワン。生食も可能なので、幅広い料理で使用される事が多い。



「お、やっぱり収穫は今がちょうど良いみたいだな。そういえば前に『鑑定』で見たポムテルとシュワンの栽培日数も同じだったな」


 『鑑定』が食べ頃だと言うのなら、収穫しても間違いない……はずだ。



「ポムテルも少し乾燥させないといけないし……よし、急いで収穫してしまおう。早くしないと朝食の時間が遅れてしまう」


 起きて早々に農作業をしているので、すでに俺の腹はペコペコだった。


 その後、俺はシュワンを急いで収穫しようとしたが、とりあえず株元を果物ナイフで切るだけにした。

 シュワンの保管場所を考えなければならなかったのだ。


「家の中に入れるにしてもパプリがいるしなあ……。そろそろ起きてるんじゃないか?」


 俺は家の中にいるパプリの様子を見にいくことにした。

 先程果物ナイフを取りに行った時にはまだ布団の上にいたが、少し動きが活発だった気がする。


 玄関の扉を開くと、そこには家の中を元気に跳ね回るパプリがいた。

 

「……朝からなんでそんなに元気なんだよ……。とりあえず確保!」


 俺は跳ね回るパプリを捕まえて外に連れ出すことにした。

 シュワンの目の前に行くと、朝ごはんと勘違いしたのかパプリは大はしゃぎするように俺の脇から飛び出ようとしていた。


「お前の朝ごはんじゃないからな?捕まえておいて正解だったな。絶対こうなると思ったんだよ」


 俺はパプリを脇に抱えたままシュワンを家に運び入れた。

 力が増えたとはいえ、シュワンはとても大きかったので片手に持てるのは1個だけだ。


 結局俺は全部のシュワンを家に運び入れるのにかなりの時間を要してしまったのだった。

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