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第36話

 『錬金』を発動した際の発光も収まり、テーブルの上にはエドラ草から作り出した低級回復薬のような粉末が出来上がっていた。

 しかし先ほど作り出した低級回復薬とは違い、その色はオレンジ色のようだった。


「おお、今回も一応成功したっぽいな。色は全然違うけど。品質はどうだろうな……『鑑定』」



◯状態異常回復薬(レベル2)◯

 水に溶かした物を飲むと、軽い状態異常を治し体力を5ポイント回復する事ができる。



 出来上がった粉末を『鑑定』すると、表示されたのは少し特殊な回復薬のようだった。


「へえ、状態異常なんていうのもあるのか。この森にもそういう攻撃をしてくるモンスターもいるのかもしれないな……。そう考えると森に入るのも少し怖くなってくるな」


 状態異常を回復できる薬を作り出す事ができたのは良かったが、これを使わないといけない状況は絶対に避けなきゃいけない。

 そもそも俺の耐久力は紙のようにペラッペラだし、一撃を喰らうと死んでしまう可能性が高いのだ。


「もう少し安全な場所で農業がしたいな……。土地と新しい体を用意してもらってあまり文句は言えないけど」


 今度カミラに少し相談してみるとするか。

 今更何かを変えることはできないかもしれないけどな。


「しかし……この粉末はどうやって保存すればいいんだ?『資材ショップ』に袋のような物ってあったか……?」


 回復薬を作り出せたのは良かったが、これを持ち運びできないと、いざという時に使えない。

 俺は『資材ショップ』を発動して出てきたタブレットで、回復薬を入れるための袋を探すことにした。


 『資材ショップ』の商品を見ていると、すぐに目当ての袋のような物を見つける事ができた。


「野菜の包装袋か……。サイズが少し大きい分にはいいけどな……こんな透明な袋この世界にあるのか?またアルベールさんが騒ぎ始めるんじゃないか?」


 収穫した野菜を包装するための袋は、透明なビニール製のものだった。

 プリシラが素材を入れてくれたのも布のような物でできた袋だった。

 今日街に行った時に商業地区を訪れたが、レジ袋のような物を持っている客は1人もいなかった。やはり、俺が地球で生きていた頃よりも文明の発展が少し遅れている可能性は高いかもしれない。


「他に使えそうな袋は……あった!米袋だったら紙製だし、ビニール製の袋よりはマシだろう」


 俺が『資材ショップ』で他の袋を探して見つけたのは米袋と呼ばれる、茶色い紙でできた頑丈な袋だった。

 幸い、サイズも1キロ用から30キロ用まで5種類ほど分かれていたので。俺は1番小さい1キロ用の米袋を購入することにした。

 50枚入りで100ポイントと価格もそれほど高く無かった。


 購入すると、商品の入っている木箱はいつも通り空中に現れたので、俺は床に落下しないように受け取った。


「これなら粉末状の回復薬も入れられるな。魔力が無くなるまでは普通の回復薬だけ作ることにするか」


 『錬金』で低級回復薬を作るのは魔力の残量から計算するとあと14回だ。魔力が0になる手前で終わるにはあと13回しか発動できない。

 俺はまた魔力切れで倒れるのは嫌なので、あと13回分の低級回復薬を作ることにした。


 その後も順調に『錬金』を発動する事ができ、予定の13回が終わる頃には素材であるエドラ草も、ちょうど使い切る事ができた。


「ふう……ようやく終わった……。米袋の半分くらいまでは作れたみたいだな」


 毎回低級回復薬を作るたびに『鑑定』を発動させて品質をチェックしていたが、どれもレベル2だったので、俺は袋を分けることはせずに1袋にまとめていた。

 

 スキルレベルが2に上がったせいなのか、低級回復薬の品質はレベル2で安定していた。

 やはり、普通の素材だと品質の高いものはそう簡単に作る事ができないようだった。


「『錬金』もこれだけ作業を続けると疲れてしまうな……。今日は早めに休むとするか」


 翌日もいつも通りの農作業が控えているし、もしかしたらポムテルとシュワンも収穫できるかもしれない。

 

 そう考えた俺はいつもより少し早めに体を休めることにした。

 

 余談だがパプリも布団に入れろと言うように、横になった俺の上でピョンピョン跳ねてうるさかったので、俺は諦めてパプリと一緒に寝ることになった。

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