第17話
ポムテルの土寄せも終わり、俺はその隣の区画に種を植えたシュワンの手入れを始めようとした。
しかし、昨日見た苗とは形が全く変わってしまい、それは地球でもよく見たことのある形をしていた。
外側に葉が広がるように生長したシュワンの中心には、葉が湾曲するように内側へ丸くなっている葉っぱがあった。
「これは……結球、って言うんだっけ?ということはキャベツとかレタスなんかに似た野菜ってことか」
まだ中心の葉は小さいが、キャベツなどと同様に生長していくと仮定すると、球状になった中心の葉は徐々に大きくなって葉が引き締まっていくはずだ。
しかし、意外と地球の作物に近いものが多くあるのはなぜなんだろうか?
苗の形や実の形も似ている部分もあるし、異世界なら全く違う作物ばかりと思っていたんだが……。
「とりあえずシュワンの周りにある雑草を抜くか。シュワンも収穫まであと少しかもしれないな」
以前『鑑定』で見た時にはシュワンは20日程度で収穫できると表示されていた。
10日ほどで収穫できると表示されていたコブルコが3日目で収穫できたし、単純計算で6日目には収穫できるはずだ。
それまで元気に育ってくれると良いななんて思いながら、俺はシュワンの周りに生えている雑草を抜き取っていた。
◇
ほかの畝の手入れも終わった頃には、すでに日は高く昇っていた。
しかし、昼食が支給される12時まではまだ少し時間がある。
すでにやることも無くなってしまったので、俺は一つ忘れていたことを思い出した。
「そういえば、コブルコの収穫も終わったことだしレベルってやつが上がってるはずだな。作物の収穫が経験値になるって表示されていたし……ステータスオープン」
俺はレベルが上がっているであろう自分のステータスプレートを表示することにした。
【名 前】 コーサク
【年 齢】 18
【職 業】 錬金農家
【レベル】 6(+5)
【体 力】 60(+50)
【魔 力】 30(+20)
【攻撃力】 40(+30)
【耐久力】 15(+5)
【素早さ】 20(+10)
【賢 さ】 60(+50)
【スキル】 農学者(レベル1)
錬金(レベル1)
鑑定(レベルMAX)
資材ショップ(レベル1)
【経験値】 372/385(収穫数)
「お、やっぱりレベル上がってるな」
表示されたステータスプレートを見てみると、俺のレベルは6に上がっていた。
ステータスも元々成人男性の平均と言われていた数値より遥かに高かった。
体力と賢さが他のステータスに比べるとかなり伸びていたが、これには何か理由があるのだろうか?
しかし、俺は元々の数倍のステータスを手に入れたとはいえ、1つ気に入らない点があった。
「耐久力が増えたのたったの5ポイントかよ!レベルが1つ上がるごとに1ポイントしか増えてない計算じゃないか!」
カミラはレベルを上げればモンスターが撃退できるなんて言っていたが、いくら攻撃力があっても耐久力がないんだったらモンスターに近づきたくもない。一度攻撃を喰らったら死んでしまいそうな気がする……。
正直、このステータスがどれくらいのものなのかがわからないが、耐久力がほんの少し増えただけでモンスターの攻撃に耐えられるようになるわけではないだろう。
「他の人たちがどんなステータスなのか見てみたいなあ……そのうち街に行ってみようかな」
他の人たちのステータスを見れば、自分がどれほどのステータスになったのかが比較しやすいはずだ。
俺は魔法の肥料を撒いた畝の作物を全て収穫してからでも、街に出かけてみたいと思うようになった。
ステータスを見て色々考えていると、補給ボックスの時計が丁度12時を差してアラームが鳴り始めたので、俺はとりあえず昼食を食べて少しまったりすることにした。




