〜Mission07:『〈神龍〉起動』③〜
コウヤが〈神龍〉の起動試験をしている時を同じくして、太平洋洋上に浮かぶ〈メナス〉戦艦では補給を終え、先日ムルゥから『手緩い』と指摘されたアーシェが出撃の準備を進めていた。
『お忙しいところ失礼します。アーシェ今回はどこを攻めるおつもりですか?』
何もなかった宙に通信モニターが表示され、女性の〈メナス〉シィネが映し出される。
「シィネか。今回の攻撃目標も極東にある地球人が”日本”と呼ぶ島国だ。そこにある敵基地を襲撃する」
シィネの問いにアーシェが、攻撃目標が関東支部だと答える。
『そうですか。あの島国は2周期前の襲撃時、地球人の新兵器と思われるの〈M.M〉が確認されていますが……』
シィネが2年前の襲撃時に対峙した〈龍〉のアーキタイプの事を引き合いに出す。
「分かっている。だから今回の敵基地襲撃は偵察も兼ねている。攻め落とせるのならば其れは其れでよし……」
アーシェがシィネの言葉に目的が襲撃だけではないことを答える。
『私も一緒に出撃しましょうか?』
フードを目深に被っており表情は確認できないが、〈龍〉を不安視しているシィネが襲撃同行を申し出る。
「大丈夫だ。万が一があれば俺の〈セディリウス〉を出す」
アーシェがシィネの申し出を断り、何かあれば自分で出撃すると言い返す。
『〈セディリウス〉……、〈レヴィーサ〉を出さずとも私の〈ベレフェゴ〉で……』
「諄いぞシィネ。俺は大丈夫だと言った」
食い下がるシィネの言葉をアーシェが途中で遮る。
〈セディリウス〉、〈メナス〉の幹部クラスに与えられた〈M.M〉であり、その性能は〈ゾルダート〉や〈ビオロギヌス〉を遥かに凌ぎ、〈E.D.F〉の〈龍〉と同じく個々の特性に特化した機体が存在する。
シィネの言う〈レヴィーサ〉、〈ベレフェゴ〉はその個々の機体に付けられた機体名である。
「お前の申し出はありがたいが、俺も〈レヴィーサ〉もたまには出撃せんとな」
言葉を遮ったことを悪く思ったのか、アーシェがシィネを気遣う。
「分かりました。それでは私の艦は他の大陸攻略のため、今から地球に降下します」
これ以上食い下がってはアーシェの機嫌を損ね兼ねないと察し、シィネは素直に引き下がる。
「了解だ。お前も務めを果たせよ」
アーシェにそう言われ、シィネは「はっ!」と答え通信を終え、宙に表示されていたモニターが消える。
『アーシェ様。〈M.M〉の出撃準備完了しました』
シィネとの通信が終わってすぐに別のモニターが宙に表示され、下士官と思われる〈メナス〉がアーシェに準備完了の連絡を入れる。
「よし。〈M.M〉を順次発進させろ。攻撃目標は”日本”敵基地だ」
アーシェが通信をしてきた下士官に出撃命令を出し、関東支部への襲撃を開始した。
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