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Material Generation  作者: 深村美奈緒
第1章『〈神龍〉機動』
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〜Mission04:『起動試験を開始する』〜

長官室までの通路でコウヤは高校時代の同級生、アヤネ・ヒヨクと再会する。

アヤネはコウヤの上官になり、新造戦艦の艦長に就任したと話す。


そして、ついに対〈メナス〉の切り札〈神龍〉の起動試験が開始される。

 食事を終え、キサラギから指定された時間に長官室に向かうコウヤは、目前の通路で女性士官とぶつかってしまう。

 コウヤとぶつかりバランスを崩して倒れそうになる女性士官をコウヤは倒れる寸前で抱き止める。

 

 「すまない。ちゃんと前を見てなかった」

 「いえ、すいません、こちらもぼ~っと歩いていました」

 コウヤと女性士官はお互いに謝る。


 「もしかして、ヤガミ君?」

 「?」

 女性士官はコウヤの顔を見て笑顔になるが、見覚えのない士官に名前を呼ばれコウヤは首傾げる。


 「アヤネ・ヒヨクです。お久しぶりです」

 女性士官のアヤネが自分の名前をコウヤに名乗る。


 「ヒヨクってあのヒヨクか!?」

 覚えのある名前を聞きコウヤは驚きの表情を浮かべる。

 アヤネ・ヒヨク。彼女はコウヤの通っていた高校時代の同級生だ。

 

 「あっと!す、すまない」

 アヤネを抱き止めていたことを思い出し、コウヤはアヤネから離れる。

 アヤネから離れる際、軍服の襟首についている階級章がコウヤの目に入る。


 「た、大佐!?ヒヨクが!?」

 アヤネの襟章は金糸で3本線が入り、その上に星マークが3つ並んでいた。


 「え?あぁ、そうなんです。ヤガミ君が復隊する前に特別昇級で大佐に昇格しました」

 そう言ってアヤネが恥ずかしそうにコウヤに話す。


 「特別昇級?」

 コウヤは戦績が評価され、若干18歳にして大尉まで昇格しているが、軍隊の特別昇級で大佐まで昇格するのは異例中の異例だろう。

 

 「この度、アテリアル特別部隊。専用運用戦艦〈神舞〉(しんぶ)の艦長に就任しました。この度の特別昇級もそれに合わせたものです」

 コウヤの正面でアヤネが姿勢を正し敬礼し、特別昇級の理由も話す。


 「ヒヨクが上官で〈神舞〉の艦長!?」

 アヤネが新規発足される部隊の戦艦神舞の艦長に就任したと聞いて、コウヤは再び驚きの表情を浮かべる。


 「ヤガミ君もここに居るって言うことはキサラギ中将に呼ばれているんですよね?中将を待たせてはいけないので一緒に行きましょうか」

 アヤネがそう言って長官室の方へとコウヤの先を歩み始める。

 コウヤは頭の整理が追い付かないままアヤネの後を追う。

 

 「ヒヨク大佐、とヤガミ大尉です」

 長官室の前に立ったアヤネが入り口の呼び出し端末に手を付け訪問者である自身の名とコウヤの階級を名乗ると、長官室の扉が自動で開く。

 

 「ヒヨクとヤガミ大尉ただいま参りました」

 扉が開き長官室に入室したアヤネが敬礼をし、アヤネの後ろから入室したコウヤもアヤネに遅れながらも敬礼をする。


 「2名ともご苦労。まぁそう硬くならずに、気楽にしてくれ」

 迎え入れられたコウヤとアヤネは、キサラギの座っているデスクに近寄る。


 「2人揃って来るとは思わなかったな。そこで会ったのならもうお互い紹介し合っているかもしれんが、ヒヨク大佐は新造戦艦〈神舞〉の艦長。ヤガミ大尉は新設部隊の隊長だ」

 キサラギが面識のある2人の紹介をする。


 「ヤガミ大尉、改めてよろしくお願いします」

 アヤネがそう言ってコウヤの方に手を差し出し握手を求め、コウヤは「は、はぁ……、よろしくお願いします」と答えアヤネと握手をする。

 コウヤとアヤネの挨拶が済むと、キサラギは机にある端末を操作する。

 すると、2人の手首についているパーソナル・デバイスが電子音を鳴らし、机の端末から送信されたものを受信する。


 「今送ったのが両名の今後の辞令だ」

 「拝見します」

 コウヤとアヤネはパーソナル・デバイスを操作する。

 すると、それぞれの目の前にA4サイズの電子ディスプレイが浮かび上がり、それを操作して2人は受信された内容を確認する。


 「今日の議会で君たちが今後所属する新部隊の承認され可決された。そこに書かれている様にヒヨク大佐は明日広島の呉軍港に飛んでくれ。ヤガミ大尉に関してはこの後オールナー技師長の所へ」

 2人が確認している指令の内容をキサラギが口頭で伝え、コウヤとアヤネは電子ディスプレイを閉じ、目の前のキサラギに視線を向ける。


 「呉軍港ですか……。〈神舞〉の竣工はまだ先だと聞いていますが?」

 アヤネは自身が呉に行くのは〈神舞〉竣工後とキサラギから聞されていた。そのため今回の辞令で呉に赴く理由をキサラギに問う。


 「竣工の予定が1か月遅れているという連絡を受けてね。そこでヒヨク大佐には現地に行って〈神舞〉の今の現状確認と作業者のケツをひっぱたいて来てほしいと言う事だ」

 それを聞いたアヤネは「なるほど」と理解を示す。

 

 「了解しました。それでは私は先に失礼します」

 アヤネはキサラギに敬礼し、踵を返した先に居るコウヤにも敬礼をして「また今度お話ししましょう」と笑顔をコウヤに向け退室していく。


 「……」

 コウヤはアヤネが退室した長官室の扉を無言で見つめる。


 「久しぶりだなコウヤ。身体の調子はどうだ?」

 キサラギに話しかけられ、コウヤはハッとして正面のキサラギに視線を戻す。


 「中将!何故彼女が軍に居るんです!」

 コウヤは怒りの形相でキサラギに詰め寄り机をバンッ!と両手で強く叩く。


 「何故……、か。理由はお前にも分かるんじゃないのか?それにこれは彼女が望んだことだ」

 そう言ってキサラギは席から立ち上がり窓に近づき外に視線を向ける。

 キサラギの言う通りコウヤにはアヤネが軍に起用されたことに察しがついていた。

 だからこそコウヤはアヤネが軍に入ることに反対だった。

 

 「だからってヒヨクを……!」

 「ヤガミ大尉!これは貴官直属の上官である私の決定だ!」

 コウヤに向き直ったキサラギはコウヤの言葉を遮り、抗議してくるコウヤをキサラギの怒気を含んだ言葉が制する。


 「お前には悪いと思っている。だが、彼女にはお前と同じ力が、ALLマテリアの力がある。新造戦艦〈神舞〉はヒヨク大佐の力なくして動かせん」

 キサラギは申し訳なさそうな表情をするが、すぐに視線を窓の外に戻し「それに」と続ける。


 「身内の知り合いだからと言って贔屓はできん。それでなくても今は人員不足なのだ。軍に志願するのなら受け入れる」

 それを聞いたコウヤは悔しそうに歯を食いしばり「そう……ですか」と声を絞り出す。

 コウヤは踵を返し長官室から出て行こうとする。


 「コウヤ、ヒヨク大佐が心配ならお前が彼女を守れ」

 キサラギがそう言って出て行こうとするコウヤの背中に声を掛ける。

 コウヤは扉の前で一度立ち止まり、キサラギの方へ振り向く。


 「言われなくてもそのつもりです」

 コウヤは敬礼をしてそう言い残し長官室から退室していく。




 長官室を退室したコウヤは、支部の地下にある新兵器の開発ドックへと向かう。

 開発ドックに着いたコウヤは、早速技師長の姿を探す。

 技師長の姿を探してドック内を見回していると、端末を操作して他の作業者に指示を出しているアレックスの姿を見つける。


 「アレックス!」

 遠くで端末操作しているアレックスに聞こえる声量でコウヤがアレックスの名を呼ぶ。


 「おぉ!中将のとこにはもう行ってきたのか?」

 コウヤに呼ばれたアレックスが端末操作を止めコウヤに歩み寄る。


 「あぁ……。まぁ」

 「ん?なんだ、どうした?」

 歯切れの悪いコウヤにアレックスが問いかける。


 「いや、何でもないんだ。それよりシドさんは?」

 コウヤは歯切れの悪さを誤魔化すように、シドと呼ばれる人物の居場所をアレックスに聞く。


 「ん?あぁ、今コックピット周り見てるよ」

 アレックスはそう言ってブームの伸びた移動式高所作業車のバスケットを指差し、コウヤはアレックスに「ありがとう」と一言礼を言い高所作業車近づく。


 「お久しぶりです、シドさん。ヤガミです」

 コウヤはPDを操作し上に居るシドに連絡を取る。


 『おぉ。久しぶりだな!今下に降りる』

 シドがパーソナルデバイスに応答を返し、高所作業車のブームが短くなり地上に降りてくる。


 「よぉ!久しぶりだなこいつ!元気か?」

 シド・オールナー。〈E.D.F〉屈指の技術士官でアレックスの上司に当たり、新開発されている〈龍〉の開発責任者である。

 シドが高所作業車のバスケットを降り、コウヤに歩み寄り頭を小突く。


 「はい。元気ですよ。それよりこれが〈神龍〉ですか。完成したんですね……」

 コウヤはそう言って目の前にある新兵器〈神龍〉を見上げる。

 

 「そうだ。あとは起動試験なんだが……。復帰早々で悪いがお願いできるか?」

 シドにそう言われコウヤは「はい」と返事をする。


 「まぁ、試験だけだからホルダー・スーツは着なくてもいいだろう。それじゃ早速搭乗してくれ」

 コウヤの返事を聞いたシドはコウヤと一緒にバスケットに乗り、〈神龍〉のコックピットハッチのある腹部までブームを伸ばす。

 コウヤはバスケットから〈神龍〉のコックピットに乗り移りシートに腰掛ける。


 「操縦の仕方やらはアーキタイプと同じだ覚えてるか?」

 「大丈夫です」

 コックピットシートに腰掛けたコウヤに〈神龍〉の操縦方法を教え、その後シドがブームを下げて地上へ戻る。

 コウヤはシートにある半球形の操縦桿を操作すると、ディスプレイが目の前に浮かび上がり、それを操作してコックピットをホルダー離脱モードからホルダー搭乗モードに切り替える。

 すると、コックピットハッチが閉まり、操縦席が胸部中央辺り、人間でいう所の鳩尾まで上がる。

 コックピット内の計器類が点灯しモニターにコックピット外の景色が映し出され視界が開ける。


 『どうだ、コウヤ。問題ないか?』

 正面に通信ディスプレイが表示され、下に居るシドから通信が入る。


 「電圧、計器類正常です」

 コウヤがシドの通信に応答し、左右の半球形の操縦桿に手を乗せる。

 

 『よし。それじゃ『起動試験を開始する』』

 シドは通信を切り、外の端末から〈神龍〉の機動シークエンスを開始した。

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投稿頻度が遅いですが、読んでいただけると幸いです。

次回投稿がいつになるかわかりませんが、よろしくお願いします。

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