これからの方針。
「まずは、これからのことを決めたいと思います。」
昔、よくやった作戦会議だ。作戦会議をして方針を決めないと、アリスと俺が、突っ走って困る。ってリチャードがよく言ってた。
「誰が、お前らのケツ拭いて回ってると思ってんだよ!」
リチャードさん。キレると怖いんだよな。普段は王族っぽくて、紳士なんだけどね。
あいつは、背後に常にバラが咲いているようなヤツだよ…。
それは、おいておいて。
「まずは、呪いだが、解呪には3通りの方法がある。」
「かいじゅ?」
「うん、呪いを解いて、ナナコを自由にすることだよ。」
「じゆう?からだがかってにうごかない?」
「そ、俺が誰かって言われても大丈夫になる。」
「それなら、うん。かいじゅしたい。」
「呪いの術式を解読するって手もあるんだが、何度か解除魔法したけど、解呪までは難しいと思った。」
いろいろと魔法使って、探ってはみたが、難しかった。王都にいる聖女様なら可能だろうか?
「そうなんだ…。」
ナナコをがっかりさせてはダメだ。
「で、他の方法なんだけど、ナナコにこんなの呪いをかけた悪い魔法使いを探しだし。」
「さがす?」
俺はナナコに向かって頷いて
「お仕置きして、解呪させる。」
殺しちゃっても良いんだけど。
人を呪えば穴二つ。呪いの術は、術者に必ず跳ね返る。
呪い返しできれば、解呪せざるを得ないはず。
殺しちゃったら、万が一それで解呪できなかった時に、詰んでしまう恐れがあるしね。
「おしおき?」
「うん、ナナコに悪いことした奴だからね。おしおきしよう!」
「うん。おしおきする。」
ナナコは、俺の言ったおしおきって言葉を繰り返す。
気に入っていただけたようだ。笑顔までもう少しだろうか。
「でもな、簡単には見つからないと思うんだ。」
「みつからない……。」
モルドさんが、怪しい黒い服の男がどちらに向かったか、調べてくれている。でも、そんなに簡単に尻尾は掴めないだろう。
「だから、まず、その呪いによる発動を抑えるために、ナナコに魔法を教える。」
この小さい身体で、あのスピードとパワー、自爆魔法の威力。ナナコの潜在魔力はかなり高い。
だから暗殺者に選ばれたのだろうが、解除魔法を覚えさせれば、自力で解除できるようになるかもしれない。
俺を頼ってくれなくなるという寂しい予感はするが…。
それはいい。ナナコのため、どうすれば良いかだ。
「どうだ?魔法、覚えてみるか?」
「まほう、おぼえたら、かってにからだうごかない?」
「やってみないと解らないけど、ナナコは意識あるんだよな」
俺を襲いながら、泣いたり、逃げてって言えたりする。だったら可能性はある。
「いしき?わたし、ちゃんとわかる。」
「うん。」
「だから、かなしい…。」
お……、と。泣きそうになるな。
この年頃の女の子なら、お菓子が少ないとか、髪を切りすぎたとか、お母さんが弟ばっかかまうとか?
他にも、お友達がいぢわるする。とかかな。
そんなことで悲しくなるべきだと、俺は思う。
頬を生暖かいものが、つたって落ちるのを感じた。
……、泣いてる?俺が?
「どうしたの?かなしい?」
あ、ナナコに心配させたのか?
「大丈夫だよ。なんでもない。」
「でも、」
ナナコは、俺の頬を涙が流れたのを見たようだ。
「ナナコ。涙ってのはね、悲しいときだけに出るものじゃないんだよ。」
「でも、ナナコは、かなしいときに、なみだがでる……。」
そっか、俺を刺そうとしたとき、悲しかったんだね。優しいコだ。
「そうだね。それは間違ってないけど。いつか、ナナコが嬉しすぎて泣いちゃう事があればいいなぁ!」
「うれしくて、なくの?なくのイヤかなぁ。」
「ま、今のは、ナナコが娘になってくれて嬉しいってことで!」
「パパ、うれしい?」
うん。そのパパって呼んでくれるのすごく嬉しいな!
「話を戻すんだけど、意識があるなら、ナナコが魔法を使えたら、呪いによる行動を解除する事ができるかもしれないんだ。」
「?」
ん、ちょっと話が難しいか
「ナナコのからだがかってに動かなくなるってことだよ。」
「え、じゃあ、ナナコ、まほう、おぼえる。」
「頑張れるか?」
「うん、がんばる。」
「じゃあ、これから、頑張ること。一つめ!」
人差し指をたてる。ナナコも真似をして
「ひとつ!」
「ナナコが、解除魔法の魔法を覚える!」
「まほう、おぼえる。」
指を2本たてて
「二個目!」
「にこ。」
「王都へ行こう。聖女様にあって、呪いを見てもらおう。」
呪いが解けないまでも、何かてががりが、わかるかもしれない。
「せいじょさま?」
あ、ナナコに言ってなかったか。
「うん。聖魔法で、もしかしたら、呪いを解いてもらえるかもしれない。」
「じゃあ、せいじょさまにあう!」
「うん。次、三つめ!」
「みっつ」
指を三本たてる。ナナコが真似をする。指を見てちゃんと三本立てられているか確認してる。こんな仕草も、…か、かわいいっ!
「ナナコに呪いをかけた奴を見つけ出して…」
「みつけだして…?」
「おしおきじゃー!」
「おしおきするー!」
お、最後声が被ったかな。良いコンビになれそうだな。
ナナコの頭をトントンする。嫌がったらどうしようかと思ったけど……。
まぁ、満更でも無さそうな感じ。
良かった。ホント、もう少しで笑ってくれそう。
と、思ってナナコを見て、冷静になった。
……服が汚れている。昨日の俺とのバトル、朝の農作業、朝食……。元々ボロボロだったし。
これ、どうしよう。
ここまで読んで、頂きありがとうございます。
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とはいえ、おねだりするほどPV無いのが悲しいところ。
ナナコちゃんに負けないよう、もうちょっと頑張りたいですね。