ジブル枢機卿
枢機卿。
教会の実務を司る貴族で、実質的にイリアス聖国の最高権力者。
イリアス聖教を国教として成り立ち、イリアス聖教の為の組織であるイリアス聖国は、教皇をトップとして、教会を運営する貴族がおり、武力としての聖騎士がいた。
彼らが、この2重の壁の内側に住み教会だけじゃなく国をも運営している。枢機卿とは、彼ら貴族の中の一つの役職名である。
教皇は、名目上は聖イリスの子孫が継いでいて、お飾りのトップになっているため、この国で権力を握っているのは、ナンバー2の役職であるこの枢機卿だった。
現在の権力者であるジブル枢機卿は、聖騎士上がりの実力者であり、魔族を恨み、魔族を滅ぼす為なら人族の犠牲も厭わない。また,、必要であれば自分の身も捧げるような人間らしい。
以上、ミュールから聞いた。
「私が、魔族の捕虜の治癒をしようとしても、絶対にダメだって話を聞かないの。本当に融通の効かないやなヤツ。」
って言ってた。
「お待ちしていましたよ。勇者エイ、、」
踏み込む。俺の剣の間合いに入り緊張が走る。
「もう言わせねえよ!」
ナナコからホッとしたような、気持ちが伝わってくる。
「もう一度、解除するところを見たかったのですが、まぁいいでしょう。大体わかりました。」
丁寧な言葉使いだが、一切の敬意は感じないところが腹が立つ。
「世間話をする気はないよ。俺の用件はただ一つ。ナナコの呪いを解いてほしいということ。」
「ナナコとは、その娘7番のことですか?」
「もう、この娘を番号で呼ばせない。俺の娘だ!」
「その娘は、暗殺者として育てられたんですよ
普通の子どもでは無いのです。親子ごっこをするつもりか」
親子ごっことは?
俺と、ナナコは一緒にいたのは、まだ数ヶ月だけど、いろんな経験をして、父と娘になったんだよ。
だが、コイツにはわからないのだろう。もう、わかって貰わなくてもいい。
「ナナコの呪いを解いてくれれれば、対価は払う。」
「…。対価ですか?わかりました。表へでましょう。ついて来てください。」
ジブルは、俺の横を通り過ぎて外に出た。あっさりと間合いが破られた。こちらが殺気を発していないとはいえ、やはり只者ではない。
最初に降り立った広場にやって来た。少し明るくなったのか、薄暗いものの見渡せば周りが見えた。
意外と広いな。何かの行事を行う場所だろうか?
広場の真ん中で、ジブルは立ち止まった。今度はジブルから殺気が漏れている。
ナナコは、俺の服を掴んで後ろをついてきていたが、何かを感じたのか、掴む手に力が入る。
「対価は、そうですね。勇者エイトの命ではどうでしょうか!」
呪いが発動する。気を取られたその時だった。
ヒュン。
突然槍が出てきて、ジブルが突いてきた。
空間魔法か、何処からか出した槍を掴んでのジブルの突き。槍使いとしては、最強レベルのスピードと圧。権力を握っても優秀な聖騎士が、鍛錬を欠かさなかったと言うことか。
俺を、俺を殺すために…。
「くっ!」
ギリギリで躱す。服が切り裂かれ、本当にギリギリだった。後ろからも何か来る。
やばい、一旦距離を取らないと。間合いを図るため飛び退くが、小さな影がついてくる。
ッキンッ!
剣で受け止めると、それはナナコのナイフだった。
「とまらない。パパ、ごめんなさい。」
受け止めた剣で不意にナナコを払い除けてしまったが、すぐに体制を立て直して追撃がくる。
っ。どういう事だ。ナナコが自分で解除できないのか?
平日だが、今日も投稿できた。
読んでくださり、ありがとうございます。




