バーベキュー大会
ワニ3体の解体は、バイス君が街から応援を呼んできた。冒険者ギルドから緊急依頼でメンバー集めて、大人数で一気に行った。
肉は、食用になるし皮やら爪やら骨なんかは、素材として価値がある。
「肉は、どうするか?数日は持つだろうが…。」
ギルド長が、自ら来て陣頭指揮を取っていた。
俺とナナコとセブも解体を手伝っていたが、ギルド長が、
「勇者様達は、休んでいてください。」
と言ってくれていたので、今は、木陰で休んでいる。
確かに、人数もいるし国境の街だけあって、手練も多く解体班の手際も良い。
周りには、野次馬たちも集まってきている。
エンペラークラスの魔物である。珍しいのだろう。かなりの人数がいる。
「ギルド長。肉が余るんですか?」
思案しているギルド長に聞いてみた。
「はい。他の部位は素材で使えるんですが、肉は腐ってしまいます。この量ですので、保存の加工も難しく…。」
「じゃあさ。街の皆に配ってくれても良いよ。」
基本的に素材の取り扱いは、討伐した俺達に決定権がある。
「良いんですか?みんな喜びます!」
なんか、俺が言い出すの待っていたみたいだけど、まぁ良いか。
「よし。じゃあここでバーベキュー大会やろう。余った肉は、持ち帰り自由で。」
思いつきだったが、顔の広いバイス君が街へ走り更に人を集めてきた。
「カンパーイ。」
「勇者様、ばんざーい。」
なんか良くわからんが、盛り上がってる。
飲みものは持ち寄り、肉は、各自切り取って焼いて食うって言うチョットワイルドなバーベキュー大会だが、かなりの人数が集まり、肉の消費ができた。
「うん。意外とアッサリした肉だな。美味いけど。」
ナナコとセブと3人で、エンペラークロコダイルの肉を食う。
「おいしいね。」
「きゅー」
魔石を食べちゃったセブだが、肉もモリモリ食ってる。成長期かな?
「俺達が倒したんだし、遠慮はいら…。」
ないね。うん、言われなくても食ってる。
ナナコも沢山食べてるな。成長期かな?
俺もめちゃくちゃ食った。オジサンだけど、成長期だよ。
あ、あまりお腹は成長せんで欲しいが。
「ウィー。」
誰かが酒を持ってきてしまったようだ。皆、酔っ払ってやがる。
解体作業もほぼ終わって、解体班もバーベキュー大会に加わって大盛り上がりである。
食い終わった俺達は、木陰で休んで、皆が楽しんでいる所を見てた。平和で賑やかで良いもんだ。
「流石は、勇者エイトだよ」
「おぉ。勇者エイト最強だな。」
ってたまに聞こえてきて、ナナコがピクってなってしまうので、
「大丈夫だよ」
って、即解除してあげたりした。ナナコも自分で解除できるけど、なんか今は、親としてやってあげたかったんだ。
勇者呼び禁止って触れ回って、それからはなくなったけど。
「やっぱ、早く解決したいよなぁ」
一人ごとのように呟いてしまった。
「うん…。」
あ、シンミリしちゃった。強敵を無傷で討伐出来て嬉しい時なのに。俺も酒でも飲むかな。
なんて思ってたら、
「ぎぅぅ。」
「どうしたセブ?苦しいのか?」
セブの体が光りだした。
これは、もしかしてリチャードが言ってた脱皮?ってやつか。




