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パパのおてほん

「あいすー。」

可愛い声が響くと、小さな氷の塊ができた。

「うん。そうだよ。で風魔法で飛ばすんだ。」

ナナコに遠距離魔法の一つアイスバレットを教えている。


教え方はリゼのを真似してみた。一つ一つ順番に理解させていくやり方。

ナナコはすぐにアイスバレットが撃てるようになった。


天才かね。うちの娘は!

教え方も良かったのかな?

天才かね。オレの嫁は!

…。まだ嫁ではないけど。良いよね!


水中の魔物からはイラつきは感じるもののまだ出てこない。

川に向かって、ナナコがアイスバレットを連打する。


「あいすー、ばれっとー。」

あー、魔法を放つ声までカワイイ。ってのは以前やったな。

「ナナコ、それだけ連続して出すと、もはやマシンガンだな」

「?じゃあー。あいすーましがん…」

噛んだ?それすらカワイイな。

でも、それなりに威力のある氷の弾丸が川の中に飛んでゆく。


セブも、

「きゅー。ぶーーつ」

と、ドラゴン固有スキルのブレスみたいなんを出してる。


今のセブの大きさはナナコと同じくらい。

翼を持っているので飛竜だとは思うが、騎竜にするにはまだまだ小さい。

でも、ナナコ一人ならギリギリ乗れそうかな。乗れれば、立体的に陣形を展開できて、作戦の幅が広がる。


「セブ。もうちょっと溜めて吐くと良いかもしれんよ。」

ドラゴンのブレスは、溜めて吐くって感じだったと思う。コダちゃんも溜めてから吐いてたよね?


昔、強烈なブレスを吐く竜と戦った事がある。

えっ、どっちが勝ったって?俺は、世界最強の勇者だぜ。竜王にだって負けねえよ!

…引き分けだったかな。いや戦略的撤退というか…。

めちゃくちゃ強かったんだからしょうがないよ。

今思えばあれは、竜王だったのだろう。

そういえばあの竜、セブに似てるような…。


ところで水底の魔物だが、だいぶヘイト溜まってきたかな。

怒って川から出てきたワニを陸地で叩く作戦なんだが…。

多分、俺達がもう少し水辺に近付くのを待っているんだろう用心深いヤツらだ。


でも、これ以上近付くと濡れちゃうからヤダなぁ。

氷の塊が水底にいるワニに届いていないのかもしれない。


「ナナコ。水辺の魔物はかみなりに弱いんだよ」

電撃なら水底まで届いて感電させられるだろう。昔これで魚取って食べた事がある。

電撃魔法を教えようとするが難しい。


「さんだぁー。」

声と仕草の可愛さは合格だが、稲妻はでない…。雷系魔法の難度は高い。


「ビリビリって感じだよ。」

「うん」


「さんだぁ!」

やっぱり出ない。

…。教え方が悪い?

その通りだよ。知ってる。でも、かみなりを順序立て教えるの難しい。

ナナコが悪いわけないしね。助けてリゼ。愛してるから。


と言っても、ここでは埒が明かない。

「うーん。じゃあちょっと見てろ!」

やはりここは俺が、見本を見せないとだな。

「うん。どうするの?」


「俺がお手本を見せてあげよう!」

「パパのおてほん。」


「ナナコ、セブも下がっていろ!」

ナナコとセブがオレの後ろに下がる。あ、バイス君は?って遥か後方で木の影に隠れてた。


…。君、確かタンクだよね。前衛職…。

聞けば、レッドGクロコダイルには以前やられて命からがら逃げた事があるらしく

「トラウマなんです…。」

って。


「おう。お手本だ。良く見ておいてね!」

小さな稲妻をだして見せよう。と思ってたんだけど。


「パパのおてほん。…パパのまほう。ゆうしゃえいとのほんき…あ、すとっぷ。きゃんせる。…。」


セルフで呪い発動、解除?…。なにやってるん?

でも、なんかキラキラした期待を込めた視線だな。


あれ、テキトーに小さな稲妻じゃあダメなんか?

いや、娘にいいトコ見せんとアカンよな!!!


なんて考えてると、練ってる魔力が半端なくデカくなってきた。


コレなら、ギガ系の極大魔法撃てるかな?

ナナコのキラキラした期待に満ちた顔が見えた。


いくべな。


極大雷撃ギガサンダー


聞いたことのない程、デカい雷鳴を伴い、これも見たことない程デカい稲妻が川に落ちる。


色々プカプカ浮いてくるかな?でも、ワニが居るから生き物は少ないはず。



暫くすると、10mはある赤いワニが2体水面に浮いてきた。


…。レッドGクロコダイルだ。2体いる。倒しちゃった?


あちゃー。やりすぎた?


「パパ。すごぃ…。」

ナナコが呟く。

振り返り、ナナコを見て


「倒しちゃった??ごめん、やりすぎたな。」

「もぅ、パパ、すごすぎだよぉ!」

ナナコとセブに戦闘経験つけさせる計画が…。


まぁ、倒しちゃったもんは仕方ない。

ナナコと笑い合ってると。


やっぱりナナコの笑顔は最高だー。

なんて思ってたんだけど…。


水しぶき?

こんなところまで、水しぶきが飛んでくるほど川が荒れている?

水底の大きな魔力の気配は、消えていない!


ザブーン。

凄い川面が波立ってる。


「ナナコ、セブ。」

振り返りナナコとセブを見る。ナナコ達にも緊張が走っている。


目を合わせ頷きあう。

「何か来る。」

脇に浮いている巨大な魔物が、小さく見える程の…。

何かが水面から出てきた。



パパのおてほん。読んでいただき、ありがとうございます。

土日お休みなので、明日も投稿できると思います。


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