魔物の気配
レッドGクロコダイル討伐の準備だが、水際で休んでいるところを攻撃すると言うことで良さそうだ。
前、湖でワニの魔物を退治した時は、水着を着ていたが…。
あの時から少し季節が進んで肌寒い。水着のナナコはカワイイのだが…。着せたいのだが…。
ナナコ風邪をひいてはイケナイ。他の方法を考えよう。
…。寒い?
ワニは寒さに弱いから放置していてもいいんじゃないの?冬が来たら動けなくなるんじゃないんかな?
「駄目です。ヤツは何処かで冬眠してまた春に戻ってくる。ここ何年もそれでやられているんです。」
あと冬眠前には、食欲が増して被害が拡大するので、今退治出来れば助かるらしい。
高位の魔物は、魔力が強く寒さも暑さも問題なくなるって聞いたことあるしね。
ま、放置はダメだな。
「ナナコ。遠距離魔法って出来るか?出来れば雷撃か氷系のヤツ。」
最初にリゼとの特訓で風を出すことは出来ていた。
「かみなり?こおり?」
ナナコはキョトンとしてしまっている。やったことないのだろう。じゃあ、まぁ、いいか。
「じゃあ、今回は俺が、かみなり出してワニを川から追い出すから、陸に上ってきたところを倒そう。」
「うん。わかった。でも、ナナコもかみなりだしてみたい。」
おぉ、そうか。
「じゃあ、練習してみようか」
「うんっ」
元気なナナコの笑顔。コレだよ。
ワニがいる場所は、街から上流に1時間ほど歩いた場所。ワニは、街の方までを活動範囲にしており、数日に一度被害が出るそうだ。
バイス君が案内してくれた。バイス君と言っても、ゴツいオッサンなんだが…。
「ここらへんにいます。」
川を指差しながらバイス君が言う。
俺とナナコ、セブが川の方を見るが、川辺にちょうど良い平地があった。
ワニが通った後なのかもしれないが、いい具合に川からはなれているq.うん、丁度いい。
シートを広げ、お弁当を出す。
「ナナコ、お茶お願いするよ。」
「はーい。」
ナナコは、リチャードから貰った籠からお茶をだし人数分淹れる。
うん。上手だ。お弁当はパンとハムだけだが、ナナコの入れてくれたお茶だ。文句なく美味い。
「きゅー」
ハムを頬張るセブも満足そうだ。
「おいしいね。バイスさんもどうぞ。」
おぉ、気遣いができるナナコ。うん、良いぞ。
ただ、ナナコの顔はあまり晴れない。
少し前に、ワニに襲われて壊滅した集落を見たからだろう。
「レッドGクロコダイルか、絶対に倒そうな!」
「うん、ナナコ。がんばる。」
少し元気出たかな。
その集落での目撃情報からワニは、3体。
10m位のが2体、その倍はありそうなのが1体らしい。
レッドGクロコダイルは10m位だから、だいぶ盛ってるなと思った。
まあ、恐怖で実際よりも大きく見えるんだろう。仕方ないか。
レッドGクロコダイル1体と取り巻きにノーマルのレッドクロコダイル2体というところか。
取り巻きは、俺が片付けて、メインをナナコにやらそう。
うん、それがいい。
川の中に意識を向けると、大きな魔物の気配が3つ。ここに間違いなくいる。
俺達が、のんびりご飯にしているのも実は意味がある。
ヤツらに対してここにいるとアピールだよ。少し川辺から離れたこの場所で戦いたいからね。
…。だって濡れたくないじゃん。
ナナコを水着にできず残念でしたね。




