冒険者の情報網
邪魔が入ったが、一件落着したので、三人で、ご飯を食べる。
3人ってのは俺と、ナナコとセブ。
オッサン?知らないよ。邪魔だからどっか行ってもらってる。
セブの分なのだが、さすがは国境の町。魔物の肉も豊富にあった。
魔物の肉を生のまま出してもらい、魔法の籠からセブを出して、食わせてみた。
川の向こうにいるイノシシ型の魔物の肉だそう。
危険度は低いものの、狩るとなると手強く、農作物への被害が出るので、開拓の際には邪魔になる魔物だ。
とはいえ肉は美味く、農地と交通が整備されるまでは、開拓民の貴重な食料ともなる。
この魔物がいれば、開拓は進まないが、いなければ開拓する人々の食料問題がおきる。何だか存在意義がややこしい魔物だな。
魔物に存在意義があるのかどうかはさておき。
「セブ。おいしい?」
ナナコがセブの頭を撫でながら聞く。
「きゅー!」
セブも満足そうだ。
二人で、高級S定食を食べる。
「おいしい。でもちょっと。」
一悶着あったせいで、料理が冷たい。
「冷めちゃったね。でも味付けは美味いな」
「うん。おいしいよ。」
ワガママ言わない、いいコだ。
「すみません。これはサービスになります。」
白衣を着たオジサンが話しかけてきた。料理人かな?
「良いの?ありがとう。」
「はい。ウチの冒険者がご迷惑をお掛けしました。作り直すべきかとも思うのですが、」
温かいスープだ。飲んでみる。
「うん。美味い」
「おいしい。ありがとうございます。」
ナナコの笑顔が、料金ですっ。
「さて、お腹も満足だし、どうするかな。」
まずは、情報集めだな。この辺の実状とこれからの道程を調べんと。
「きぅ」
セブも、食べ終わったようだ。まずは聞き込みかな。
「ナナコ様」
冒険者のオッサンが声をかけてきた。食事が終わるのを何処かで見てたのだろうか。
…こえぇよ
「なに?えっと」
名前も聞いてなかったな。
「バイスと申します。」
バイス?前絡んできたオッサンはベイスだっけな。
兄弟か?
まぁ、どうでもいい。
「バイスさん?」
「はい。オレ、冒険者の中でも情報収集が得意だったりするので、何かあれば言ってください。」
確かに、ナナコにはついていけてなかったが、スピードや気配のコントロールはまぁまぁだったな。
斥候型のタンクかな?
耐久力のタンクと、器用で俊敏な動きをする斥候は相容れない能力ではあるが、最前線を張るという意味では、立ち位置が似ている。俺は、ある程度の耐久力が優秀な斥候には必要だと考えてる。
タンクにも、もし俊敏性と器用さがあれば、戦闘の幅が格段に広がる。
て言うのは、俺の理論だが、俊敏で器用を持ち合わせてるリチャードが、最強のタンクとして証明してくれている。
とはいえ、アイツは何でも一流以上なんだが…。
アタッカーとしても、回復職にしても。攻撃魔法だけが苦手だっけな。
バイス君、…オッサンとはいえ俺より年下だった。
バイス君に色々教えてもらえた。実は素直ないいヤツだった。
国境の川を渡れば辺境の地となっている。
1日に2回渡し船で向こう岸に渡れる。
向こう岸には、小さな拠点があって、そこにギルド支部がある。そこで依頼も受けられる。
向こう岸は、開拓民の村が点在している。
川に橋を掛ける計画もあるが、魔物がいて工事が進まない。
開拓も魔物が多くほとんど上手くいってない。
などの情報。
イリアス聖国は、交流が絶ってしまっているが、川を、渡って10日程歩くと着くらしい。
船だと一度外国へ出て、それからイリアス聖国の友好国に行き、その後船を探せば行けそうとのこと。
色々聞けたし、イリアス聖国のことまで知ってるとは。情報通だったんだな。バイス君。
うーん。どうしようか…。
バイス君じゃなくて、きれいで澄んだ声が聞こえた。
「もし、お急ぎでなければ、川の魔物を退治して欲しいんですが…。」
ギルド受付嬢より提案があった。可愛いコの言う事は聞くよ。
「困ってるんなら仕方ないか。受けよう。」
ナナコを見る。依存は無いようだ。
依頼は、レッドGクロコダイルの討伐。
以前ナナコが、討伐したレッドGグリズリーのワニ版だな。
依頼ランクはAランク。報酬も良い。ナナコ中心でやらせて見るかな。
奇跡の連日投稿。
この調子や!




