転生者と転移者。
ダイチ・オガサーラ
本当なら、小笠原 大地って言うんだろうな。
聖女と教会騎士の長男。
…ホントの父親かは微妙だけど。でも、お父さん(レグス)は、強くてカッコよくて、そして優しい。普通の子どもらしく、お父さんに対しては、大好きな感情が溢れてくる。
あ、多分なんだけど俺、いや僕は異世界からの転生者なんだよな。元の世界のこと、ほとんど覚えてないんだけどね。
お母さん(ミュール)に相談したこともある。
不思議な世界のこと。断片的にだけど、憶えてることを。
お母さんは召喚された転移者らしいから、理解してくれた。お腹の中にいるときに、お母さんから記憶が移った可能性もあるって言ってたけど。
「赤ちゃんにしては、賢いと思ってたんだよ。」
僕の話を聞いて、お母さんは、妙に納得した感じだった。
それから、あまり、その、おっぱいをくれなくなって、触らせてもくれなくなっただよな。離乳食食べれるようになってたから大丈夫だったけど、僕、まだ小さいから甘えたかったな。寂しかったな。
でも、ある日、ちょっと泣きたくなることがあって、我慢してたら。
「あー、でも、ダイチはダイチ。私のかわいい息子だ!」
って言ってくれて抱きしめてくれた。それからは、時々甘えさせてくれるようになった。お母さんはお母さんで悩んでたんだね。
ごめんなさい。
でも、記憶があるからって、僕は、やっぱり幼児で、出来ないことばっかりで、すぐ涙がでる。お漏らしもしちゃうし…。
お母さん。大好きなんだよ。
エエ身体してんなー。げへへ。なんて思わないから心配しないでね。
で、僕が転生者かどうかなんて、この物語には何の意味も無い。ただの設定なんだけど。
そんな感じで、僕はもうすぐ5才になる。
読み書きソロバン。ここでの計算問題なんかソロバン3級の僕の敵じゃない。後は、剣術、体術なんかの戦闘技術はお父さんが教えてくれる。まだ幼児だけど、それなりに頑張ってる。両親からの愛のある教育で自らの成長を感じられる。他の子ども達に比べたらチートだぜってね。幸せな今生です。
「ダイチぃ。エイトの娘のナナコちゃんって言うんだけど、学校へ来るから、迎えに行ってあげて。」
ある朝、お母さんに言われた。
「はい。わかった。」
その時は、公爵令嬢かよ、悪役令嬢みたくワガママだったらヤダな。くらいに思ってたんだけど…。
ナナコちゃん。
…かわいいっ。生まれ変わって良かった。かわいい幼馴染み、リア充デビューだぜって。
読み書き計算は、前世の記憶も手伝って、僕のほうができる。
「ダイチくん。スゴイね。なんでもしってる。」
か、か、か、かわいいっ。
尊敬の眼差しだ。もっといっぱい教えるから、もっともっと僕を凄いって思ってね。かわいい幼馴染みのいるリヤ充になるんだ!
………。
ま、負けた。それも運動面全部で。僕より小さいのに。
僕だって3才の頃から、お父さんと頑張ってきたのに…。
む、ムダのない動き。あ、またやられた。
僕への尊敬がぁぁ。音を立てて崩れていく。
でも、呪いが発動したナナコを止められて良かった。ちょっと難しかったけど。
「ダイチは読み書きソロバンすぐ出来るようになったから、聖魔法教えておくね。」
ってお母さんから教えてもらっておいて良かった?
あらかじめお母さんから、注意しておくように聞いてたから。聖魔法でなんとかなることも教えてもらってたから。
迎えに来たナナコのお父さん。勇者のエイトさんがいた。
「ダイチくん。ありがとうね。」
エイトさんがお礼を言ってくれた。なんか圧が強いんですが…。
お母さんの元彼らしい。もしかしたら、この人が、本当の父親なんだろうか?もの凄い、得体の知れない力を感じるけど。でも、イヤじゃないかな。
あ、お父さん(レグス)がエイトさんと話してる。あ、やっぱり僕のお父さんは、レグスだ。お父さんとエイトさんだと、僕の心の中の親しみを感じる量が全然違う。
俺のナナコに手を出すなって無言の圧力が凄いんだけど…。
僕、子どもだからわかんないってことにしよう。
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以上は本編とは、何の関係もない話だ!
ダイチくんは、単なるモブキャラのはずだ。はずだ。
俺は、そう強く思う。
一瞬だが、ダイチくんとナナコが俺とリゼに子どもを見せにつれてくる絵が浮かんだが、知らん。断じて許さん。
ナナコが欲しけりゃ俺を倒してからだ!
そう世界最強の俺を。
…。でもあの聖魔法。あの年でナナコと張り合える運動能力。もしかして、ま、不味いか?
俺もちょっと鍛えんとだな。
ナナコの婿候補一人目は、息子かもしれない転生者でした。。2人目の王子様とか、3人目とかもいるんですが、本編には出てこないでしょう。
エイトさんも、これ以上、ナナコと仲良くさせん!
と仰っておられるし…。




