ダイチくんとナナコ。
協会に入ると、広場であの、レグスさんが、子ども達を遊ばせている。
ちょっとドキドキするけど、俺も克服しなきゃな。
見ていると、上手いこと遊ばせている。
腕に子ども達をぶら下げたり、皆の体当たり受け止めたり。子ども達が、怪我しないように気遣いながら。
優しい人なんだよなぁ。
ナナコとダイチくんも一緒に遊んでる。二人は他の子ども達と明らかに動きが違う。ダイチくんもなかなかやる。レグスさん、大丈夫か?
お、流石は、歴戦の戦士。ナナコやダイチくんがレグスさんに掴まれて、グルグル回されてる。
…ナナコ。めっちゃ笑とる。よ、良かったな。
俺も、こんどグルグルしてやろう。
ナナコが俺に気付いたようだ。
風よりも速く、俺の前に来た。お、寂しかったの?
「パパ。。きてくれたんだ。」
満面の笑顔。か、かわいいっ。寂しかったって感じではないが。
でもこの笑顔。迎えに来て良かった。
「どうだった?楽しかった?」
ナナコにも普通の子どもみたく、同い年くらいの子ども達と遊ぶ機会があっても良いよな。
呪いじゃなんじゃあるけど、ここには聖女もいるんだし、安全だしね。
「うん。スゴくたのしい!でね。ダイチくんって、すごいんだよ。」
あー、男の話は聞きたくないかな。でも俺は父親だ。ちゃんと聞かないとだな。
「そっか。」
「うん。けいさんとか、じもかけるし。」
「あ、でも、ナナコ。すぐにおぼえて、すごいよ。」
ダイチくんが口をはさんできた。
…ナナコ?呼び方?
ずいぶん仲良くなったんだな。
「それに、かけっことか負けちゃったし。こどもにはじめて負けた。」
ダイチくん。君も子どもだけどね。
「僕、ナナコに勝てるようがんばる。」
ダイチくん。ナナコのライバルとしてなら認めよう。
でも、これ以上仲良くなったらダメだからね!
「あ、パパ。もうちょっといてもいい?」
「もちろん。俺はここで見てるよ。」
ナナコにとって、楽しい時間だ。
「あのコね。同世代のコに初めて負けたのよね。」
ミュールに声をかけられた。
「お、ダイチくんのことか?」
「うん。私には過ぎた子どもでね。ちょっと心配してた。」
広場では、ナナコとダイチくんが勝負してる。運動能力は、ナナコの方が断然高い。でも、ダイチくんも子ども離れした動きだ。
「あんなムキになってるダイチ。初めてだよ。」
「ナナコは、俺でも本気ださんとダメだからね。プラチナ冒険者だしね。」
「ナナコちゃん。すごいね。よくあそこまで…。」
ミュールが涙ぐんでる。
…ミュールは最初、イリアス聖教の教会で召喚された。だから、イリアス聖教のことはよく知っている。
イリアス聖教会の実態を知って、このリベルトに亡命を決意した。その脱出の途中、追手から俺が助けた縁がある。
レグスさんは、その頃から聖女に付き従っている。や、優しい人なんだよな。ホントは。
レグスさんには戦場で、俺の背中を任せたくらいの…。
攻撃力は、それほどだけど、攻撃を捌く能力が高かった。今は、子ども達の全方位攻撃に対応している。
とある戦場で、聖女を二人で力を合わせて守りきって、ガッチリと握手したこともある。
その時、名乗ってくれなくて、護衛さんとかお兄さんとかって呼んでた。今思えば失礼だったよね。
あ、それ見たミュールが、俺たちがお似合いだと。
…忘れよう。うん、それが良い。
娘がお世話なっているんだ。いつまでもトラウマとか言ってられん。
人の親っのは、大変だな。苦手とか、有無を言わさず克服しないと駄目なのか?
「あ、エイト様。ナナコちゃん、良いコですね。」
「様はいいよ。レグスさんも元気そうで。」
ちょっと汗がでるけど、握手。ナナコが良いコなのは、普遍的事実だからな。
なんか、艶かしい視線を送る聖女がいるが無視しよう。
「ダイチには、いつも挑まれていてね。だいぶ鍛えれたから強くなったと思ってたけど、ナナコちゃん。流石は、【勇者エイト】の娘だ。」
…。
聴こえたかな。
ナナコがまっすぐと、向かってくる。
解呪は?
遊びすぎて魔力切れ?
ダイチくんが、間に入ってきた。
あ、危ない。俺なら大丈夫だから逃げてくれ!
ダイチくんを守ろうとすると、
ダイチくんから、聖属性魔力?
ナナコの動きが鈍くなる。聖女のようにはいかないけど。呪いが止まった?
すごいな。
「ウチの息子もやるもんでしょ?」
ミュールが誇らしげに言う。最初からダイチくんが止めてくれると信じていた?
レグスさんには、事情を説明した。
ミュールからは、レグスさんに説明していなかったこと謝れたけどね。
ナナコのダイチくんを見る目が、ちょっとね。尊敬の眼差しってヤツか。
「ダイチくん。ゴメンね。」
「謝らなくてもいいよ。当然だからな」
なんか男前だな。
当然?よくわからんが、ナナコを守るのは、俺の仕事なんだが。
そうこうしているうちに、夕方になる。帰る時間だ。
通いの他の子ども達も帰っていった。
「ダイチくん。ありがとうね。」
一応、礼を言っておこうか。
「いえ、あの…。」
何かあるのか?でも、ここは大人としての余裕だな。
「流石は、ミュールの、そしてレグスさんの息子さんだな。頼りになるよ。これからも宜しくな。」
握手を求めた。ダイチくんも笑顔で握手してくれた。
「はい。ナナコ、さんは友達だから。」
小さな手だ。よく見ると可愛い男の子だ。
そ、トモダチ。だよ。ダイチくん、そこのとこ宜しくね。
それから帰り道。ナナコと手を繋いで帰る。
幸せな時間だけど、ナナコがダイチくんの事ばかり言うのが、ちょっとなー。
どうしても聖女サマの影が薄くなってしまう。バデーはダイナマイトですがっっ
聖女サマのボデーに埋もれたい方もそうでない方もブックマークと評価お願いします。




