聖女との思い出。
騒ぎを聞き付けて、屋敷から人が出てくる。
あの戦争で、優秀だった兵士達をそのまま雇ったんだよ。だから戦闘力は高い。
あっという間に、包囲された。
隙がないな。俺でも苦戦しそうだよ。
物凄い殺気だってたのに、俺たちと倒れた門番さんを見て、この男達が発していた殺気がスッと消えた。
「だから、こんなヤツ雇っちゃダメだって言ったのに。」
「仕方ないだろ。貴族の次男坊でごり押しされちゃ断れん。」
「エイト様がおれば、断ってくれるのにな。」
なんか好き勝手話し始めたぞ。
「なんか凄い美人連れだぞ。」
「可愛い女の子もいる。」
「珍しい。竜の子どもだ!」
「そう言う理由だから、許してほしいんだが…。」
「元はと言えば、ここにいない主が悪いのだし。」
なんか収拾がつかなくなってきたな。ギッと、皆を睨み付けてみる。
「「「サーセン!」」」
使用人達は、特に衛兵に関しては、戦友だ。
言葉遣いも、友人のままで良いとしてる。
すぐに俺だと気付いたけど、ずっと帰ってこない文句と謝罪を一緒にしたらしい。
まぁ、門番さんも気を失っているし、コイツらは許そう。
…これは、聖女編なんだから、聖女以外の人達との描写は最小限に留めること!
ん、なんか言ったか?天の声か?
と言うわけで、ナナコとセブがメイド達のマスコットになってしまったことも、メイド長のロッテさんとリゼが妙に仲良くなって、なんか、心地悪いのとかも。
それぞれに部屋を用意できたけど、結局、皆で一緒の部屋で泊まったことも。
「アリスおねーちゃんともいっしょにねたもんね。」
「なんですって!」
「アリスおねーちゃんとは、いっしょにはいったのに?」
「え?お風呂に?どういうこと!」
2回ほど、修羅場があり、土下座したことも、端折ろう。
円満にしてるよ。
ミュールと付き合ってた頃、いろんな話をした。
「エイトって、どういう意味?」
ミュールに聞かれたことがある。
「意味?意味なんて無いかな。ただの名前だし。」
俺の名前の意味なんて考えたこと無かった。
「私のいた世界では、8って意味なんだよ。」
末広がりで、めでたい数字らしい。
「だからエイトは、大丈夫。きっと上手く行くよ。」
3が縁起が良いとか、7がラッキーナンバーだとか。
他にも、異世界の言葉も色々教えてくれた。
空飛ぶ船や、馬より早い鉄の乗り物、街を一瞬で破壊しちゃう恐ろしい兵器のこと。
食物を保管できる箱や、暖かい敷物、いつまでも温かいお湯いれ。あ、それに、お尻を洗ってくれるトイレの話は面白かった。
「ちなみにミュールは、履き物の一種。何でだろ?」
履き物?なんだそれ。
「ぷっ、あ、でも、履き物ってことは俺達を、平和な世界に連れていってくれるってことかな?」
「…。そう考えると、まぁ良いかな。私の本当の名前はミウ。美しい海という意味。」
「美しい?ミュール、じゃなくてミウにピッタリな名前だな。」
「もうっ、でもお世辞でも嬉しいけど。ホントの美海はこんなんじゃ無いんだけどね…。」
ミュールが美しいのは事実。その頃の俺が、豊満な身体に溺れていたのも確か。
でも、ミュールが美海だったとして、姿形が違っても、飾らないその人柄が好きになってたから、問題なかったよ。同じように、恋に落ちてたと思う。
問題は、その美しすぎる姿形でも、飾らないけど慈悲深い性格でもなく、その性癖だったわけだが…。
なんだっけ?
「BLでNTRの腐女子よ!」
ビーえーでえんてーるのふじし?
何でも、彼氏が他の男に寝取られるのが堪らないらしい。
…無理だったよ。ちゃんとミュールのこと好きだったんだけどな。
思い出は、尽きないな。俺の青春だったから。
そんな今、まだ手を出していない婚約者リゼが隣で寝ている。そのとなりには最愛の娘ナナコ。
竜の子どもセブも寝ている。
リゼをみる。
可愛い寝顔だ。俺のことずっと好きだったんだよな。
喜びの感情が沸き上がる。
リゼがいる。ナナコがいる。
セブもいる。
幸せなんだよ。
「安心してくれ。アイツとはもう終わったことだ。今日あったけど、なんの感情も動かなかった。」
寝ているリゼに話しかけた。独り言みたいだけど、なんだか起きてると言いにくいし、わざとらしくて嘘っぽい気がした。
「信じてるよ。ちょっとイジワルしたかっただけ。」
リゼがパッチリ目を開けて答えた。
「おおっ」
ビックリした。起きてたのか?
「しー、ナナコちゃんが起きちゃう。」
そうだな。起きないうちに。
オデコにキスすると、リゼが目を閉じた。
唇をあわせて、鉄の自制心でリゼが眠るのを見守って。
俺は、眠れなくなった…。
ミュールの豊満なボデェを思い出してムラムラしてたところに、リゼとの口づけ。
でも、こんなのでリゼの初めてを貰うわけにはいかないよね。そもそも、寝ちゃったし…。
なにかで、発散しないと。
仕方ない、ミュールが教えてくれた方法を使うべな。
題は、難しいな。まだしっくりこないです。
良いの思い付いたら、また変えると思いますが、宜しくお願いします。




