表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/79

レッドGグリズリー戦


レッドGグリズリー。


普通のグリズリー。これは魔物ではないと言われている。だが人を襲うこともあり、子育て中は特に危険である。普通の人間では、なすすべもなく、やられてしまうだろう。


大きい個体は、3mに達すると言われる。


レッドグリズリーになると、魔力を帯び、魔物と言われる生き物になる。パワー系の魔物で、Bランク冒険者でも、手こずる魔物になる。


このクラスの魔物は、たまに出没するので、ナナコにやられたベイス君のようなAランク冒険者が、町には常駐していて、対応している。


で、目の前にいるのは、レッドGグリズリー。

Gはグレイトとかジャイアントとかの意味で、デカイ。


体長で4m以上はあるだろうか?

対峙するナナコの4倍以上ある。


重量にすると、20倍以上になるかもしれない。

対峙する構図、絵にならないな。

リチャードなんかだと、サーガの一節に出てきそうな絵になるんだが。


レッドGグリズリーも殺気を、ナナコを無視して俺たちに向けているし。


戦いにならんだろ。

やっぱり、と思って前に出ようとするも、アリスに肩を止められる。


「いわば卒業試験じゃ。邪魔するでない。」

「けど、あの爪…。」

引っ掻かれたら、お嫁にやれないよ。

あ、俺がもらえば…。じゃねえ、俺は親だし、ダメだよ、俺には愛するリゼがいる!


「楽勝とはいかんが、十分に勝機はある!」

マジですか?



「セブは、パパのうしろ。」

ナナコが俺の後を指差して、幼竜のセブを下がらせる。


ナナコが魔力を解放して、殺気をレッドGグリズリーに向ける。流石は、勇者を消しに来た暗殺者。

凄い気が発せられる。


レッドGグリズリーが、ナナコの殺気に気づいた。

レッドGグリズリーには、ナナコの殺気により、ナナコの小さな体が、大きく見えているはずだ。


なぜ?気を消して近づき奇襲するのが上策と思うが。


レッドGグリズリーが向きを変え、ナナコと正対した瞬間。ナナコが動いた。


正面狙いか。悪くない。

熊の目は、顔の横についている。馬ほどではないが、正面の視界が、少し弱い。

そして熊の急所は、眉間。


目で追うのがやっとの高速で、ナナコが熊に近づく。


速い。いけるぞ!

眉間にナイフが刺さると一撃必殺もあり得る!


「グォッオォ!」

ナナコのナイフが刺さるその時、熊が咆哮して、口から魔力を飛ばす。


レッドGグリズリーにはこれがあった。レッドグリズリーまでなら殺れてた。


ナナコが軽かった事も災いした。

俺なら、咆哮の魔力を押さえつけて、行けたかもしれない。


吹き飛ばされたナナコと、熊が距離をとって相対する。


熊の眉間から血が吹き出す。致命傷ではないが、ダメージを与えている。


もう一度行くか?対策されると厳しいが。

「大丈夫じゃ。ナナコなら問題ない。」

アリスが呟く。それでも、少し声は震えている。アリスも心配なのだろう。


咆哮の魔力を、かわしながらかすっただけで、あそこまで飛ばされた。体格差によるパワーの差は圧倒的だ。


熊が突進する。ナナコが闘牛士よろしく攻撃をいなし、かわしていく。

完全にかわさずに、攻撃をナイフで受けて、いなして避ける。


手に汗がすごい。助けにいきたい、無理だってあんなにデカイし。

「エイト。落ち着け。」

「落ち着いてられるかよ。ナナコ避けれてないだろ。もういいよ。いk」

助けに行くぞと言う一言を、アリスが言わせてくれなかった。

「待て!己の娘を信じるのじゃ。あの娘は、まだ助けを呼んでいない。戦いを冷静によく見るのじゃ!」


くっ。冷静に見られるわけないだろ。


ナナコが、熊の攻撃を避ける。


ナナコが熊の爪をナイフで受け止めて避ける。


ん?完全に避けた時と、受けていなしたときと違う?


「気付いたか?」

「ああ、最初の攻撃もこの布石なのか?」

「そこまでは、考えてないじゃろうが、戦いのなかで考えておるのだろ。」

「ウチの娘は、天才なのか?」

「そうじゃな。その辺の戦略的思考は、天性のものなのかもしれん。儂が教えたのは切っ掛けにすぎん。」


この旅で魔物退治をアリスと行い、臨機応変に戦況に合わせて動くことを教わっていたようだ。


ナナコが、熊の攻撃を受けていなしたとき、熊から魔力が発散され、熊の攻撃に魔力が帯びる。ナナコは魔力のこもった攻撃は、しっかりかわしている。


そして、熊が魔力を込める度に、眉間につけた傷から、血が吹き出す。力が入るからだろうか?


眉間から出た血は、熊の目に入り、熊の視界を奪う。

もう少しだ。


しかもナナコは、絶妙にわざと隙を見せながら、熊と打ち合っている。熊が攻撃をやめられないように。


なんだコレ。本当に初等学校に入るかそこらの幼女の戦い方か?


ふと気付くと、逃げ回っていたはずのナナコではなく、攻撃を仕掛けて追いかけていたはずの、熊が岩を背に追い詰められている。


その辺の誘導も見事だ。


熊は、目が見えなくなり、ナナコの殺気を受ける。

恐怖でしかないだろう。


「ぐおぉぉぉぉぉー!」

やたら滅多に、腕を振り回す。流石に近付けないかな。


これで隙を作って逃げるつもりか?


しかし、そんな振り回しただけの攻撃がナナコに当たるわけがない。が、万が一もある、気を抜くなよ。


ウチの優秀な娘は、気を抜くこともなく、熊の振り回した腕をかい潜り、背後に回り首筋に登り。


脊髄に向けて、一撃!

あの必殺な、かんざし職人のように、一撃で決めた。


レッドGグリズリーの討伐に成功した!


「パパ。やったよ!」

返り血で血まみれの我が娘は、巨大な熊の上に立って、駆け寄ってきた幼竜のセブを抱き止めて、俺に向けて、笑顔を向けてくれた。


…やっぱ、可愛い。笑顔を取り戻してくれて本当に良かった。




一日一話。3日で3話。

3話あげては、2話…。


…2話どうする?


とりあえず、出来る限り、投稿続けます。


よろしくおねがいします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ