しつけって難しい。
次の日。
少し、いや、大分寝不足なのだが。
なにより俺の数少ない友達がいなくならなくて良かった。
友情も深まった気がする。
地竜の去ったセンドル平原に、飛龍に乗った竜騎士の編隊が降り立った。
リチャードがあらかじめ手配していたらしい。
国王を迎えに来たとのこと。
「じゃあ、先に王都へ帰っているよ。」
王様を迎えに来ただけ。俺たちは歩いて追い掛ける。
歩いて3日程度だ。この旅は、歩いて行く。無駄な時間は無いはずだ。
「アリス。どうする?」
アリス一人くらいなら、乗せてくれるんじゃないかな。
「乗りかかった船じゃ。お主らと歩いて行くぞよ。」
リチャードと軽く口づけをする。
「あーちゃん。じゃあ、王都で」
「うん。リッ君、待ってて。」
だから、言葉~。
甘い口づけ。おっさんと初等学生の…。
…でも、アリス様は、魅力的だから問題ない。
難しい顔をしていたらしい。ナナコに声をかけられた。
「パパ。どうしたの?」
「いや、なんでもないよ。」
「アリスおねえちゃん。キレイ。ナナコもだれかと、するのかなぁ?」
ん?ナナコが誰かと口付け?
許さんよ。どうしてもするなら俺を倒してからだ!
世界最強の俺を倒せるなら。だけど。
ってか。リチャードとアリスは、一緒に帰らないで旅を続ける。そういう話で済んでいたみたいだな。
もの凄い風圧を立てて竜騎士達は、リチャードを乗せて飛び立ち去って行った。
「本当に良かったのか?」
アリスに聞いてみる。
「うむ。リッ君とは、また会える。じゃか、お主とナナコとの旅は、これきりかもしれん」
「ななこ。おねえちゃんといっしょがいい」
ナナコと微笑み会うアリス。そうだな。男だけが女の幸せ、楽しみじゃ無いってことだな。
3人と一匹で歩く。
この旅で、ナナコも小さな子どもが歌うような歌を覚えた。
歌歌ったり、お話ししたり…。
やっぱり楽しいよ。
「リッ君はな、優しいんじゃ!」
あ、お前もか…。
それからしばらくアリス様は、リチャードの事を褒め称え続けた。。
もう、吐きそうです。
でも、良いなあ。リゼも俺のことこれくらい思ってくれているのかなぁ?
俺は?
離れてみてわかった。婚約しておいて良かった。
なにもしなくて旅に出て、シグルド君あたりに取られてたら、後悔しかなかったな。
愛してるよ。マイハニー!
俺だって、リゼの魅力一晩で言い尽くせないぜ!
…大丈夫だよね?言い尽くせないよね。俺…。
セブちゃんは、たまに、一人で飛んでいきそうになるけど、ナナコがちゃんと注意して、一緒に歩いていく。
ん、注意。か、しつけというやつだな。
また、子どもに教わってしまうダメ親な俺。
あの、コダちゃん戦で、言うこと聞かずに飛び出していった事を、叱るべきか。
ブレスを回避するために、コダちゃんの弱点がわかって、自分で考えて行動したことを褒めるべきか。
難しい問題を思い出した。
今さら注意してもダメな気がする。でも、俺は親だから、このままには出来ない。
「ナナコさ。コダちゃんと戦っている時、勝手に動き出しただろ。」
ナナコは、少し考えて返答した。
「…ごめんなさい。」
あ、勝手に動いたこと、良くないと思ってたのかな。
じゃあ、俺が言うことも、叱ることも無いか。
「いや、何でかなって思って。」
「コダちゃんの、なにか、コダちゃんから、でるきがした。ここあぶないって、おもったの」
「そっか、それならナナコは正しいな。」
「それでね。コダちゃんのうろこが、ひかっているところがあって。」
「そこは、まず俺の方に来て欲しかったかな。」
「ごめんなさい。でも、コダちゃんがパパのほうむいてたから…。」
後ろから回れた?と言うことか。
「そっか、そういう判断ができるんだな。じゃあ、俺が言うこともないか…」
結局、俺は何が言いたかったんだろう。
「ななこね。ちゃんとパパのいうこと、きくよ。」
うぉ。俺が言いたいこと察してくれるのか?
やっぱ、ええコや!
「そうだね。でも、コダちゃんの時みたいなときは、自分で判断するのも、大事だな。」
「うん。わかった。」
「そうじゃな。その判断力を養うためにも、王都に着くまで、魔物退治を儂がみっちり教えるぞよ!」
「アリス先生。お願いいたしますね。」
先生というか、先輩だな。初等学校の…。
「おねえちゃん。よろしくおねがいします。」
「任せておけぃ!」
王都までは、歩いて3日。
もうすぐそこである。平原を抜けて、森にはいる。
森では、森の戦い方がある。
木や石、地面の起伏。自然の地形を活かして戦う。
体格で劣るナナコが、優位に戦うための知恵だな。
同じく体格の小さいアリスは、このような戦い方をよく知っている。
最大火力の魔法をぶっぱなすだけが、脳じゃないってことだ。
鹿や、猪型の魔物のを狩って、2日ほど。
ナナコの成長は著しい。もうどこへ出しても恥ずかしくないAランク冒険者だな。
森の出口付近、もう少しで王都というところに、熊の魔物がいた。
レッドGグリズリー。
Aランク討伐対象。
強敵である。
ほっておくと、王都が危ない。
「じゃあ、いきますか!」
アリスに合図するとアリスが首を横にふる。
「ナナコにやらせるんじゃ!」
えっ?まだ、危ないと思うよ。
あの爪で、ナナコが引っ掻かれたらどうすんの?
「うん。わたしが、やる!」
ナナコはやる気だ。
今週は、毎日投稿したい。
おらに元気を~。




