古代地竜。エイシェントグランドドラゴンのコダちゃん。
「湖で泳ぐの楽しかったよな!」
「うん。またきたいなー」
「そうじゃな。ワニ退治したし、観光地として復活するじゃろぅ」
3人で手を繋いで歩く。
旅っていうと、3人だと前衛、中衛、後衛に別れて、警戒しながら進むもの。
だけど、世界最強の俺。最強の魔道士で魔王のアリス。Aランク冒険者ナナコ。
隙がないし危険はない。手を繋いで、歌でも歌いながら、ゆっくり歩いていく。
子どもが歌うような歌を、教えながら歩いていく。
楽しいんだけど、これはナナコを成長させる旅なのに、なにか違う気がするな。
まぁ、良い。「迷ったら楽しい方を選べば良い」ってどっかの宗教が言ってたし。
楽な方だったかな。
あの、小惑星みたいな名前の宗教…。
アリスの胸にもパッドを!
…冗談です。
「イストの領主から、ドラゴンの情報聞いていたぞ。」
お、流石アリス。小さくても魔王陛下。
「ん。なにか言ったか?」
「いえ」
「もう、面倒じゃ。いい加減考えるのもやめぃ」
じゃあ、パットでも入れる?
「いれんわ!」
っえ。ボク何も言ってないよ。エスパーですか?
心を読める魔法はないはず。
「パパがかんがえてること、わかるよー。」
ん。ナナコ?
「なんのことだよ?」
「パパはねぇ。アリスおねえちゃんと、ななこのおむねがいっしょって、いいたいんだよね!」
一緒が嬉しいナナコだけど。
リゼとは違って、アリスと一緒って。
「ナナコ。言わないでおいてあげて。くく、わはははっー」
笑いが止まらん。
パコン。エイトしばき棒の登場。
「真面目な話じゃ。」
「「はい。」」
「センドル平原に巣作っているのは、古代地竜じゃな。」
「エイシェントグランドドラゴンか?」
「えいせんと、ぐらら…」
言えてないな。あだ名つけるべ。
エイ君だと俺と一緒になるか?じゃあ
「こだい君と呼ぼう。」
「グラちゃんで良いじゃろ?」
ナナコは少し考える。
「コダちゃんにするー。」
決まりだな。
「コダちゃんの強さは、半端ないらしい。」
アリスが続ける。
「リチャードの討伐隊が、失敗したらしいし。」
「つよいの?」
「うーん。リチャードの討伐隊ってのは騎士団だろ?」
「恐らくな。」
騎士団は、対人に強い部隊だからな。
「とはいえ、油断はできんか。」
「リチャードも参加していたって言うしの」
それじゃぁ、…ヤバイんじゃない?
「ナナコ。コダちゃん、めっちゃ強いかも。」
「いや、リチャードは退却戦に参加しただけらしいし。」
うーん。じゃあ、わからんか。
リチャードが参加したからだろうが、死人なしで退却できたらしい。
ってことは、動きは遅いのか?
「逃げる準備だけしておいて、まずやってみるべな!」
提案してみる。
「そうじゃな。儂とエイトがおるんじゃ。大丈夫じゃろ。」
「ななこはー?」
危険ではある。ナナコの戦闘スタイルだと、前に出るしなぁ。
「ナナコは今回は、見学かな。」
「そうじゃな。それが良いじゃろう」
「えー。ななこもたたかいたいな。」
ナナコの言うことは、これまで聞いてきたけど。
「パパとアリスの本気の戦いを見せてあげたいんだよ」
自分でパパって言うの照れるな。
「パパのほんき?みたい!」
「よし。良いコだ。」
頭ナデナデ。
センドル平原まで5日かかった。
端折るには勿体無い楽しい旅だったけど。
ナナコの魔物退治も様になってきた。
子どもが歌うような歌も、いっぱい歌った。
アリスも楽しかったようだ。
アリスは、ナナコに魔物の倒し方、解体のやり方なんかを教えてくれてた。
リゼもそうだが、ナナコには、良い先生がつくんだな。
良い先生がいるし、ナナコの成長が著しい。
ナナコの魔力の質なんだが。
呪いのせいで歪められてる気がするんだよな。
俺やリゼ、アリスも薄々感づいている。
俺が、気が進まないまでも、王都の聖女様に会いに行こうと思った理由。
今は、コダちゃんの討伐を考えよう。
イストと王都の真ん中。少し王都よりかな、広大なセンドル平原のど真ん中。
古代地竜、エイシェントグランドドラゴンのコダちゃんが寝そべっていた。
平原の中にも小高い丘があったりする。
「ななこは、ここで見ててね。」
「うん。パパがんばって!」
お、俄然やる気出てきたな。
「あの頃もこれくらいやる気だしてくれてたらな!」
アリスが言う。戦争も早く終わったってか。
でも、あの頃はナナコはいなかったよ!
「あの頃のお主がやる気になったのは、リゼのためじゃったな。」
そりゃあ、あんな可愛い女の子の母親が死んじゃったら、泣かせちゃったら、戦争ダメだっておもうじゃん?
ナナコが手をふる。
そうだな。いまの俺には、ナナコなんだよ。
このコの笑顔守るんだよ!
一つの試みとして、番外編の短編を投稿してみました。本編とは関係ない話なので短編で。
リゼの学校卒業パーティーで、リゼに嫌がらせしていた令嬢達に軽くざまぁする話です。
リゼのエイトさんへの愛があふれてます。
https://ncode.syosetu.com/n9783hf/
貴族の子息の皆様、私は勇者のお嫁さんになるので、ダンスに誘わなくても結構です。ご令嬢の皆様、そういうわけですので私にダンスの相手がいないからって、哀れんで頂くなくてもよろしくてよ。
ジャンルは異世界恋愛。
良かったら、こちらの方もよろしくお願いします。
今読み返すと、リゼの優しい性格が、全然書けてない。
私が性格悪いのがダメなのね。
失敗したかなぁ…。
良かったら、アリス編終了時にもやってみますね。




