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ナナコの笑顔。


ナナコが、ウチに来て、1ヶ月位がたった。


「俺の名を言ってみろ!」

やられキャラの、世紀末お兄ちゃん(出来損ないの三男)ではないが…。


何の話?

あれだよ。「北のこぶし」っていう昔、流行した漫画があるんだよ。

「きたかみけん」の継承をめぐる争いや「みなみほしけん」との闘いの話。


「………。」

ナナコが唖然としている。

「そうだ!俺の名は、ケンs…。」

パコン。


後ろから頭をはたかれる。

「バカなことやってないで。真面目にやりなさい!」

リゼ…。

あ、昔あの「北のこぶし」に俺がはまってたの、知ってたか?


丈夫な紙を重ねて、エイトはたき棒なるものを作ったんだって。


なんか王都の学校で、ツッコミに使うのに流行ってたんだって。ハリセンだろ。それって。


もう、直接はたくの手ぇ痛いんだって。


はたかなきゃ良いのにな。

暴力教師はイカンよ。と思うものの、ナナコへの教え方は、優しくて、根気よく、解りやすい。


やっぱ、先生になるべきだよな。


「パパ!いくね!」

決意した顔。可愛い顔がキリッっとする。


すると、さらに可愛くなる。


「おう、いつでも、良いよ!」

「うん………。」

「あ、リゼは手を出すなよ。」


実のところ、自爆魔法(ディストラクト)解除魔法(キャンセル)は、間違いなく成功する。


最初の攻撃指令の暗示が解けて、からだが自由になるから、魔力は使うものの、解除魔法(キャンセル)を使う制限も無い。


でも、俺を物理的に攻撃中に停止魔法(ストップ)するのは、難しい。

俺を攻撃するのに、体の自由が効かない中、身体強化の魔力を無意識に使っている。


その上で、高度な魔法を使用することは、俺でも難しい。

停止魔法(ストップ)が簡単な魔法だったら、魔法使い同士の戦いは、停止魔法の使い合いになる。


ナナコが、停止魔法(ストップ)が使えるようになったときの俺の喜びようを見てもわかると思う。



今にして思うと、解除魔法(キャンセル)だけ覚えさせる予定だったのだが。


あまりにも、ナナコが可愛くて…。じゃなくて、筋が良くて、両方を使えるように教えてしまった。



で、これから、実践練習。

ー俺の名を言ってみろ!


となったわけです。


リゼも心配そうに見守る。


「パパは、…。」

やはり怖いか…。

「大丈夫だ。来い!」


ーできるようになったら、わたしがパパをだれかっていうね。


そうナナコが、言ったんだ。個人的に呪いを克服したと実感したいのか。単に俺を【勇者エイト】と呼びたいのか。


小さな体で、何を考えているのかわからないが、可愛いので、何でも受け止めてやる!


「パパは、せかいをまもった【ゆうしゃエイト】。」


そっか、俺が世界を守った勇者だと自分の口から言いたかったのかな。


念のため武器は持たせていない。だから体術で攻撃してくる。


「ぐっ!」

腹に一発良いのを食らう。


今回は抵抗しないことにしている。ナナコが自分で止めてくれると信じて。


停止魔法(ストップ)が難しいことは、もう伝えたよね。でも、娘の力を信じるのは、親の務めだよ。


「ぐほっ!」

もう一発、腹に衝撃。

今度は体ごと頭から突っ込んできた。


流石に、体がくの字に降り曲がり、お腹を抱えた格好になる。


「エイトさん!」

リゼが魔法を使おうとする。

「いぃ!」

リゼを見て、手をパーにして待ての合図をみせて、制止させる。


それが、さらに隙になったようだ。


ナナコは、俺の後ろに回り込み首に手を回した。


スリーパーホールド!


…誰だよ。こんな技教えたの!

あ、俺たちか…。


なんか、つまらない事を俺が言って、リゼに首絞められて、マジで死にそうになった。

背中に柔らかい二つの感触感じて、本当に天国に行きそうになったよ。



今は、当然そんな感触もない。殺気が込もって、小さな細い腕が、首に食い込んでくる。


背中に二つの感触を感じない。だから、俺を天国へ送るには10年早いぜ。とか思うが、首筋が、絞まりながらも、少しずつ濡れていくのを感じる。意識が遠退いていくのと反対に、首に感じる冷たくも生暖かい感触は増えていく。


泣いているのか?

「とまらない、とめて~」

小さな声が聞こえる気がする。


後ろにしがみついて俺を絞めているナナコの頭になんとか手を伸ばして、


「大丈夫だよ!できるよ!」

と声にならないが、それでもなんとか、声を絞り出す。


オチても、リゼが助けてくれるかな?

そう思って、俺の最後の力を振り絞って、ナナコの頭を、やさしく撫でる。


もう、ダメかな。でも、愛する娘にオとされるなら本望だ。


その時、魔力の爆発を感じた。


魔法能力のブレイクスルー。


ナナコが俺の事を大切に想ってくれている。絶対に殺したくないと思ってくれているのが最低条件だったけど。


ナナコは、体の自由がない中、身体強化を全開にしながらも、停止魔法(ストップ)を展開させる。解除魔法(キャンセル)まで行ってる!


俺でも難しい事を、5才の少女が出来るようになったんだ。6才とか7才かもしれんけど、今はどうでも良い。


「凄い…。」

リゼが呟く。いや、キミも昔、同じようなやり方で、多重魔法使えるようになったんだけどね!



首を絞めていた力は弱まり、後ろから抱き付いた形になる。


踊り出したい気分だが、マジで首を絞められて、体が動かない。


ナナコが俺の前に回り込んで、俺の顔を心配そうに覗きこむ。

「パパ、へいき?」

なわけないだろ!うれしくて、嬉しすぎて頭おかしくなるよ!

「あぁ、良くやった。頑張ったな!」

ナナコの頭に手を当てる。


ナナコは、泣いている。が、笑ってる?


「えへへへえーん。」

笑いながら、笑顔で泣いてるよ!


「ナナコ!それが笑顔だよ!」

「うん!」

「それが、嬉しくて流す涙だよ!」

「うん!」


リゼも泣きながら抱きついて来て、それから、日が暮れるまで、三人でずっと泣き笑いしてたんだ。


これで、書きだめは終了です。


話の筋はできているので、明日から、不定期でボチボチやります。


ブクマとか評価とかあると、やる気でるから、更新早まったりするかもです。


よろしくお願いします。

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