都市ができておる!
建設中の街、いや、都市は、予想以上に大きかった。
街という規模じゃなかった。
国王と魔王は何を企んでいるんだ。
岡の上から、建設中の都市を見下ろしながら、考えてた。
俺たちが住んでいるトマール村から、歩いて1~2時間。距離にして十数キロのところ。
俺たちなら、軽く走って10分くらい。
こんなに近いなら、もっと来てれば良かったかな。
「ちょっとアンタ、ナナコちゃんもいるのにどう言うことよ!」
リゼがなぜか怒ってる。
「ん、だから聞いただろ。リゼは、馬くらいで走れるかって!」
「確かに、うんって言ったけれども。そうじゃなくてナナコちゃんは何で?」
「ナナコはいつも一緒に走ってるもんなー。」
ナナコに笑いかける。
「いつもいっしょ。」
うん。いつも一緒だよー。
「ま、冗談はおいておいて、ナナコは、身体強化だけ教えられてきたみたいなんだ。下手な大人、いや、騎士や冒険者より強いよ。」
「えっ、そうなの?確かに、あのときの動き…。」
「いつも襲われてる俺が言うんだ。間違いない。」
「ななこ。つよいの?」
「ああ、でも、ナナコは俺が守るからな。強くなくても大丈夫だよ。」
「ううん。つよいなら、パパをまもれるかなぁ?」
天使じゃ、いや、天使じゃない。それ以上の存在じゃ。この世に、ナナコを例える例えが無いぜよ!
パパはねぇ。ナナコに守って欲しいな!
って、違うよ。俺が守るよ!
建設中の街にも、市があり活気に溢れている。
二つの大きな国の境界のこの地域は、確かに、交易やなんかで発展するだろう。
3人で、屋台で買った串焼きを食べる。
多分、魔物の肉。なんの肉かは聞かない方が良い場合がある。
「これ美味しいね。」
「うん、おいしい。」
二人とも満足げだ。来て良かったな。
市には、アクセサリーや服なんかも売ってた。
「ナナコに何着か買おうかな」
「ふく、もらったから、だいじょうぶ。」
「いやいや、ご褒美だよ。皆で選ぼ!」
「そうね。私も選びたいわ。」
服も何着か買った。ナナコが着てくれるのが楽しみでしょうがない。
リゼが、アクセサリー屋さんを敢えて見ないようにしているような。
「いいよ。お礼に俺が買ってやるよ!選べよ」
「いや、悪いよ。」
「どうせ、見たら欲しくなるとかで、見ないようにしているんだろうけど、ナナコとお揃いのヤツ選んでくれよ。」
髪型揃えたり、おなじが良いんだよな!
結局、控えめなデザインの安物のネックレスを2つ買いました。
二人とも、喜んでくれている。
このまま3人ってのも悪くないかなって思った。
思ったんだけど。
一際大きな建物が建設中だった。
何だろう?運動場みたいなスペースもある。学校かな?眺めていると
「あの、リゼ・ミタール嬢では?」
振り替えると、少し年配の男性が立っていた。
「アピスト先生っ!お久しぶりです。」
「久しぶりだね。そうか、君の実家この近くだったね。」
「はい。十キロほど北にあります。」
「そうか。じゃあ、うん。…あ、そちらの方は、もしかして勇者エイト様。」
あ、不味い。ナナコと繋いでいた手に力を入れて、動きを止め、解除魔法する。
この間、数秒。もう手慣れたものである。
「ごめんなさい。」
「だから、ナナコが悪いんじゃないって!」
頭をポンポンしておく。
リゼが、アピストとよばれた先生に耳打ちしている。上手く説明してくれたら良いのだけど。
「そうか。そういうことか、なら…。…あ、そうでした。私は、アピスト・グラナルと申します。魔法学園の校長をしていました。」
思い出した。多分、面識あるな。
「いえ、以前お会いしたことありますね。エイトです。」
「リゼ嬢は、学校に残っての研究者や、宮廷魔術師の就職先を蹴って、実家に戻っていると聞いていたが。」
「はい。その節は、失礼しました。父が心配だったもので。」
「それでな、この街に王都の魔法学校以上の学校ができるのだ。魔法学校始まって以来の天才にも関わってほしいと思うのだが。」
へぇー、魔法学校始まって以来の天才。誰だろう。
「そのような方が、関わってくれたら、魔法学校も上手くいきそうですね!」
リゼが言うと、アピスト先生が
「何を言っておるのだ。魔法学校始まって以来の天才とは、リゼ・ミタールのことじゃよ!」
「「えー?!、」」
「リゼママはすごいから、とうぜんだよ。」
俺とリゼが仰天してるのに、ナナコは平然としてる。
リゼの凄さを、ナナコだけが理解してたんだな。
「まだ建物もできとらん。とはいえ、できれば開校前から手伝ってほしいのだ。考えてみてほしい。」
アピスト先生はそう言って、建設途中の校舎を見つめていた。
とりあえず、今日中にあと2話投稿して、今週中にもう数話で、一段落する予定。
あくまで予定ですが…。
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