でき、たー!
それから、一週間がたち、2週間がたった。
俺たちの生活は、まずまず上手くいっている。
髪も上手く結えるようになったし。
リゼに教えてもらって、ツインテールにしたり、まとめて上でお団子つくってあげたり。
どんな髪型でも可愛いんだが…。
俺としては、初めて会ったときの、ボサボサの無造作な感じでも、全然可愛いと思う。
だって、ナナコだもんね。
リゼもお揃いっていって、ナナコの髪型に合わせたり。うん、それもまた良い!
「ナナコちゃんばっか見てないの!」
って、こつかれた。
「リゼサンモ、カワイイデス!」
「何よ、その口調!」
また、はたかれる。
いや、本心だから、照れ隠しで…。
ナナコの体洗ったりするのも、最初はぎこちなかったし、なんか、後ろめたい気持ちになったけど。
娘なんだし、最近は、普通かな。今は、何とも思わない。
汗かいてたから、ちゃんと洗ってあげようとか、あ、ここ汚れてるな。とか。
ここ数日は、自分でやるようになってきたから、寂しくもあり、でも、背中流してくれたりするんだよ。
天使じゃ、天使がおる。
幼女趣味の奴らだったら、泣いて喜ぶことも、羨ましがられる事があるかもしれないけど、日常の一部。
あ、パンツも忘れなく、ノーパンはイカンかった。
もう、自分ではけるよね!
洗濯も、最初は戸惑ったけど、今は、大丈夫。
家事は、ナナコが手伝ってくれるし。
ナナコは、初歩的な魔法を使うことが出来るようになってた。
…天才だよ。我が娘は!
親バカなんじゃないよ。凄いことだよ!
「じゃあ、風をおこそうか!」
火なんかは危ないからね‼️
ナナコは頷き
「ういんど!」
魔法の発音さえ可愛い。
「風を止めてみよう。魔法を止めるんじゃなくて、風をとめるんだ。」
停止魔法は、魔法で起きる事象を止める。
ナナコの体が、勝手に動くという事象を止める。
だから、魔法で起きた風を止める練習をする。
じゃあ、魔法全部を停止魔法させれば、無敵なんじゃん!と思うかもしれないけど、これけっこう難しいんだ。魔力消費も発動の桁違いだし。
解除魔法も同じだけど、魔法そのものの正体が分かっていると難易度が下がる。
だから、あまり実戦的な魔法じゃないんだけど、今のナナコには、一番必要な魔法だ。
「むずかしい…。」
「いや、できているよ。大丈夫だ」
「うん。でも、」
「大切なのは、繰り返しやることだ。できるよ!」
「リゼママも言ってた。わかった。」
…リゼの言うことはよく聞く。
いや、妬いている訳じゃなくて…。
なんか、悔しいんだよ。
お、そろそろ昼だな。
「やっほー!通い妻よー。」
最近は、リゼが毎日お弁当を持ってきてくれる。
「おまっ、妻って!」
あれ?自分で言って、照れてるリゼ。照れるくらいなら言うなって。
「あ、リゼママー!」
リゼが来るとお昼の合図。ナナコは、一杯頑張ってるので、お腹を空かしている。
「ふふふっ、餌付け成功かな!」
餌付けってなんだよ、リゼっ!
みんなで食べて、お昼寝して、幸せな感じ。
「いつも、ありがとうな。でも、無理せんでいいよ。」
「何?来ちゃダメなの?私から、この幸せな時間を奪う気なの!」
リゼも幸せって思ってるんだ。良かった。
ナナコの幸せそうな寝顔を見て思う。
これ、目開けたら、そのまま笑顔なんじゃ?
最近、笑おうと無理してる気がするけど…。
大丈夫。自然と笑えるようになるさ!
………………。
くぉ!
めっちゃ、寝てた。二人は?あ、起きてる!
リゼが、ナナコの練習を見てくれてた。
「そうよ!そのタイミングで、魔力を込めるの!」
「すとっぷー」
だから魔法の発音さえ可愛いんだって。
あ、風が、止まった。
「でき、たー!」
「やったね。ナナコちゃん。」
んー。悔しいけど、見れて良かった。
それにしてもリゼは、教えるのが上手いな。
小さい時は、先生になりたいとか言ってたっけ。
「あ、エイトさん。見てた!」
「ああ、やったな。ナナコ。」
「うん」
満足そうなナナコだけど、笑顔はない。
やっと一歩踏み出せた事をナナコ自信が一番良くわかっているようだ。
それにしても、いつも出来るようになるの昼寝のあとだな。お昼寝と効率について。って論文書けそう!
「あのさ、ご褒美兼ねて、明日はお出掛けしよう!」
提案した。
「おでかけ?」
「うん。近くに街が作られてるんだ。労働者用に市がたってるはずだから、お買い物とかいこう!」
「うん。わかった。」
あ、リゼが、なんとも言えない複雑な表情になってる。
「リゼは、明日朝からだと、忙しい?」
「えっ、あ、暇じゃないけど、行けるわ。」
「じゃあ、一緒に行こう!」
「うん。」
リゼが笑顔になった。やっぱ、一緒に行きたかったんだよな。
「リゼママ。笑ってる。良いことあった?」
「うん、明日のおでかけ、楽しみだね。」
リゼも、ナナコには素直になれるみたい。
「たのしみ?おでかけたのしいの?」
ナナコの成長は、リゼのおかげだよ。
置いていくなんて、あり得ないし、何か買ってあげないとだな!
ここまで読んで頂きありがとうございました。
ナナコはがんばりました。
私も…。
よろしくお願いいたします。




