魔法使いになる決心をした少女。
ナナコとよばれるのもなれてきた。
パパとよべるヒトがいて、いつもやさしくしてくれる。
まえとは、ぜんぶが、ちがう。
ななこの〈へや〉ができたけど、ひとりになると、あそこに、もどされるきもちになる。まえにいたばしょ。やさしいひとはいたけど、〈くんれん〉はつらかったし、いたかったし、かなしいこと、いっぱいあった。
ないていたら、パパがいっしょにねてくれた。
あたたかくて、あんしんする。
おしっこにも、ついてきてくれた。いまは、ひとりになるのが、こわい。
パパの〈たんれん〉にもついていった。ひとりはいやだから…。
ちょっと、おくれたら、まえだったらぶたれてたけど…。
やさしく、わらって、まっててくれた。
うれしい〈きもち〉でいっぱいになる。
パパのおともだちのモルドさんもやさしい。
パパをすきなおんなのヒト。リゼさんも、やさしい。
ここには、わたしをブツひとは、だれもいない。
あんしんするの。
まえいた〈こじいん〉に、たまにあそびにくる、おんなのこがいってた。〈いもん〉なんだっていってた。
「わたしは、すきなひととケッコンする」
「ケッコン?」
ケッコンってなにかわからない。
「うーんとねぇ。あ、パパとママみたくなることだよ。」
…わたしには、パパもママもいなかったから、そのときは、よくわからなかった。
とにかく、すきなヒトとケッコンして、パパとママになることが、しあわせなんだって。
だから、パパをすきなリゼさんを、リゼママっよんだらよろこんでくれた。
かってにうごいちゃうのを、とめてくれたリゼさん。
よろこんでくれたかおは、……わらってる。
パパは、ナナコの〈えがお〉がみたいって、いう。
わたしは、どうすればいいかわからない。
リゼママにきれいにしてもらって、かみをむすんでくれて、きれいなふくきせてくれて、パパにいっぱいほめられて。
うれしいこと、いっぱいあるのに。
ななこのわらうとこ、みせたいのに、うまくできない。
のろいのせい。いつかパパをころしちゃうかもしれないから…。
じゃあ、ななこは、まほうつかいになる。
リゼママみたく、かっこよく、まほうつかうの。
ななこが、まほうで、かってにうごくのなくせたら…。
うまく、わらえるかなぁ。
わらったかお、パパにみせたい。
パパも、わらってくれるとうれしいな。
くんれんは、つらくて、いやだったけど、いまパパにまほうをおしえてもらうのは、いやじゃない。
パパは、しっぱいしても、おこらない。
なんども、おしえてくれる。
まえは、しっぱいしたら、すごくいたかった。
ここには、ななこをブツひとはいない。
みんな、やさしい。
でも、パパはリゼママに、よくぶたれてる……。
スゴくいたそう。
でもパパ、ななこの〈つき〉より、ゆっくりで、すきだらけのリゼママのこうげきが、どうしてよけられないの?
「いてえ!」
とかいってるパパ。わらっているし、たのしそう。
やっぱり、わらわないとダメかなぁ。
そうだ、かがみ。かがみもらった。
かがみでじぶんをみてみる。
かがみにうつる、おんなのこ。わたし。
くらいかんじ。パパやリゼママは、あかるいかんじ。
わらう?
かおをうごかしてみる。うまくできない。
これも、れんしゅうかな。




