魔法訓練。
「えいっ。」
ナナコが声をあげて魔力を操作する。声をあげる必要はない。
必要はないが、声が可愛いのでそのままに。
朝からナナコに癒され過ぎてる…。
今日の朝は、いつも通りに朝の鍛練して、畑で野菜収穫して、ご飯作って食べた。
そのどれにもナナコが付いてきた。
やはり相当鍛えられていたのだろう、俺の鍛練にも付いてきた(走って、剣をふったりするだけだが…)。
野菜の目利きも良い。
「これは?」
ちょうど良さそうな野菜をとって、上目遣いで聞いてくる。
「オッケーだよ。野菜の良いのも見分けられるようになったんだね。エライぞ!」
としか言えねえ。たとえ他にもっと良い出来の野菜があったとしても。いや、そんなのは無い。無いのだ!
ナナコが一番だから!
料理も上手だ。
卵焼きが少し焦げたが、これはこれで、良い味が出てるよ。苦味というエッセンスが加わってね!
「う、にがい。ごめんなさい。」
「いやいや、これはこれで、美味しいよ!」
「でも、きのうの、パパのやつ、おいしかった…。」
ん、パパのが良かった?
そうでしょう。そうでしょう。
朝から、幸せだなぁ。
それから、リゼに言われた通りに、ナナコの髪の毛を、貰った櫛でといてあげて、後ろで束ねてあげた。
うーん。リゼがやるようには出来ないか…。
ナナコも、なんかしっくり来てない感じがするみたい。
何度も鏡で確認してる。
「リゼママとおそろいじゃない…。」
「ごめ」
ごめんねって言おうとしたんだけど
「でも、パパのだからいい!」
おぃ、天使がおるぞ。ここに!
パンツも履かせてあげたし、問題ないだろう。
俺が履かせるのが問題か……。
今日は、ブラウスにスカートにしてみた。
学生さんみたいで、可愛いかなって思ったんだけど…。
ボタン留めるのチョーめんどくさかった。
なんか勝手が違うんだよ!
パンツは、明日から自分で履くように言おう。
うん、俺は、変態じゃないので…。
「えいっ」
可愛い声で、魔力の鍛練は続く。
リゼの時は、彼女自身もう少し大きかったけど、1日かかったから。ナナコだと今日中には無理かな。
体の中の魔力を感じて、魔力の流れが思い通りになると、魔法が効果的に使えるようになる。
「よしっ、じゃあ、もう一回な」
ナナコの頭を撫でて、魔力を注ぎ込む。
「うぅぅ。パパのあたたかいの、わかる。」
「そうだよ。それが魔力。魔力を感じる場所、動かせる?」
「やってみる。」
朝の訓練の時、馬と同じくらいの速さで走る俺に付いてきた。恐らく魔力で身体強化していたのだろう。
無意識で使うことを、訓練とやらで身に付けたんだろうな。魔力を使う事は、体が覚えているはず。
俺は、キチンと魔法を教えたいと思ってる
少し経つと
「うごいた…かな?」
お、出来たか
「動いた?どうだ?」
「うん、」
お日さまが高く上がっている。そろそろお昼だな。
「ナナコ。お腹空いてないか?」
「だ、だいじょうぶ。ななこ、がんばるの」
「まぁ、そう言わずに休憩しよう。家に戻ってお茶にするか?」
鍛練は庭でやってる。庭と行っても、勇者の家の庭、かなり広く戦闘訓練なんかもできる。
あ、そういえば、ここから南へ歩いて一時間くらいのところに、リチャードとアリスが協力して町作ってたっけ。建設中だし、屋台とか出てるかな?
歩いて一時間。走ったら10分くらいか…。
何か買って来るか、一緒に行くか。
とか考えていたら、
「ナナコちゃーん。お昼まだでしょ。」
赤い髪の女の子。リゼがやって来た。
「リゼママ。こんにちは。」
「どうした、リゼ?」
「エイトさんも。お昼どうぞ。」
サンドイッチを作ってきてくれたようだ。
「ちょうど良かったよ。ナナコ、休憩だ。」
「きゅうけい?まだ、」
「ナナコちゃん。休むことも上達のうちよ。」
「はいっ」
あれっ?リゼの言うことには素直に…。
「おいしい。」
ナナコは、リゼの作ってくれたサンドイッチを食べて言った。魔力の鍛練はお腹が減るのだ。
流石はリゼ、よくわかっている。
「エイトさん。ナナコちゃんの髪型…。」
「そうだよな。うまく出来なくてよ。」
「まぁ、しょうがないわね。ナナコちゃんいらっしゃい。」
ナナコは少し考えて言った。
「いい。パパがやってくれたから、このままでいい。」
おぉ、天使再来やー。でも、昨日、笑顔は見せなかったけど、リゼとおそろいだって、喜んでたよね。
「ナナコ。やってもらえ。俺も教えてもらおうと思う」
「…いいの?」
「あぁ、明日からまた俺が髪やってあげるからな」
「はい。」
なんだかんだ嬉しそうだ。本当にもう少しで笑ってくれそう。
「ここら辺まで、編んであげるのよ。」
「ほうほう。」
今日は、後ろで括ってあげただけ。
髪を編むなんて、めんどくさい?
とんでもない、ただでさえ可愛いナナコが、めっちゃ可愛くなるんだぜ。
だったら必要だろ!
まぁ、ナナコと話ながら髪の毛触ってあげられるなんて、なんの御褒美だよ。
ご褒美と言えば、俺、今まで良い事してきたもんな。戦争する悪い奴倒したし、村のために魔物退治したりしてるし!
遠慮なくご褒美、貰っちゃえ。
あ、魔物ってのは、狂暴な野性動物で、魔族とは違うよ。
お昼食べて、まったりして、3人して庭の大きな木の陰で昼寝した。
子どもには、お昼寝必要だよね。
ナナコの寝顔見てたら、俺もオチてた。
ゆっくりと時間がたっていい感じだ。
ナナコとリゼも、そう思ってくれていたらいいなぁ。
夕方、魔力の鍛練を再開したナナコは、リゼの助言もあり、アッサリと自らの魔力を操作できるようになった。
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