リゼママは、魔法使い!
俯いてヘラヘラしてると
「パパは、わるくないよ」
と、いつの間にか家から出てきたナナコが庇ってくれた。
え、嬉しい。なにこのコ、天使さん?
まぁ、いくら未知の性癖に目覚めたとは言え、そろそり限界だったしね。
ナナコは、リゼのお古のワンピースを着て、髪をキレイに溶いてもらって、後ろでくくっている。
「髪型、似合ってるよ。」
誉めてあげないと。可愛いし。
「リゼママとおそろい。」
笑顔にはならないけど、喜んでいるようだ。
「リゼママ?」
「うん。リゼ、ぱp。」
「ナナコちゃん。それは…。」
ナナコが何を言おうとしたのに、リゼが邪魔をした。
「そうだ。エイトさん。あの、ナナコちゃんの事なんだけど…。」
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時は少しだけ遡る。
リゼ・ミタール視点。
ナナコちゃんと家に入り、小さい時の服が保管されている部屋にはいる。鏡もあるしちょうど良い。
「ナナコちゃん。いらっしゃい。」
「はい。」
「私のお古だけど、なんでも持っていって良いからね。」
表情の乏しいコ。昨日ウロウロしていた黒い服の男が連れていた子ども。エイトさんの娘だったなんて。
なんだろう?
母親に何かあって連れてこられたってこと?
「まさか【勇者エイト】に娘がいたなんてね。」
窓の外で、お父さんと話しているエイトさんを見て言った。
えっ、これ?
ナナコちゃんの雰囲気が変わる。
マズイ感じがする。
「高速思考」
高速思考の魔法で、どうにか対処できるかな?
何かの呪い?ナナコちゃんの体の中の魔力を探る。
そんなの出来るの?って。
伊達に王都の魔法学校を首席で卒業してないわよ。
呪い?
エイトさんに向かっている?
「解析………。」
エイトさんを暗殺する呪い?
できなければ自爆する?
呪いのキーワードが、対象に向かって【勇者エイト】か…。
ナナコちゃんがエイトさんに向かって走り出す。
「停止」
停止魔法が間に合った。
で、自爆魔法が作動するのでしょ。これは
「解除魔法」
で、解除っと。ふう、なんとかできたわ。
「また、からだがかってにうごく…。」
呆然と涙を流しているナナコちゃん。
抱きしめてあげて、頭を撫でて
「大丈夫だからね。ナナコちゃん。」
と声をかけてあげた。
「リゼ、さんが、とめてくれたの?」
「うん。私の魔法は、エイトさん直伝なのよ。」
「ありがとう、ございます。」
…でもこれ、解呪は、無理だ
わ……。
呪いをかけた本人のパスワード?がいる。または、呪いをかけた本人が、この世からいなくなるか。
でも、とりあえずは【勇者エイト】と言わなければ大丈夫のはず。
ナナコちゃんの髪を溶かしてあげながら、話をした。
エイトさんとナナコちゃんは、他人だってこと教えてくれた。施設にいた事、呪いの話。
「まったく、自分の命を狙っているコを娘にするなんて。優しいにも程があるわよね。」
でも、私の大好きな人は、そういう人。
「パパ、やさしい。」
「そうなのよね。そこが好きなんだけど。ってなに言ってるのかしら。」
「リゼ。パパのこと、すきなの?」
「はははっ、まぁ、ナナコちゃんに誤魔化してもしょうがないんだけど」
「すきなひととは、けっこんするってきいた。」
なに言ってるのこのコは
「はははっ、まぁ、でもっ、相手がね。あんなだし…。」
「パパ、リゼのこと、しんらいしてるっていってた。」
信頼かぁ。親愛ならなー。
「リゼが、パパとけっこんしたら、ママになるの?」
ん?確かにちょっと考えたけどー。
「え、そうねぇ。もし、そうなったら私がママになっても良い?」
「うん、リゼママだね。」
あまり表情も変えずに言うんだけど、髪を溶かして、後ろに束ねた姿の可愛らしさも相まって、凄い破壊力。そりゃエイトさんもパパって言われてヘラヘラするよね。
で、着替えさせようと、服を脱がしてあげたら……。
ボロボロのワンピースの下はなにも着てなくて裸…。
あの馬鹿、下着くらい履かせなさいよー。
ってことになったの
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リゼが、ナナコの呪いのことを聞いてきた。
家の中で発動してしまったらしい。
リゼが抑えたらしいけど…。
強くなったなリゼ。でも、優秀だったからって、リゼに抑えられる程度の呪いってことか?
リゼがただ優秀ではなくて、魔法学校始まって以来の天才と呼ばれていることは、この時は、まだ知らなかった。
「わかった。ちゃんと話す。モルドさんも来てくれ。」
二人には、ナナコが来たいきさつを話した。
「昨日いってくれていたら、協力したのに!」
モルドさんが言ってくれた。
「心配かけたくなかったからね。」
今後のプランも話した。
「そうね。意識もあるみたいだから、自力で解除魔法もできるかもね。」
リゼが賛成してくれた。
「まほう、がんばる。」
ナナコ。聞いちゃってたか。
「呪いのせいだ。ナナコは悪くないからね!」
「呪いは、かけた本人しか解けないけれど、聖女様なら、もしかしたら…。」
「うん。ちょっと会うの気が引けるんだけどね…。」
ちょっとした事情がある。
まぁ、その日は、服を入れたタンスや子ども用のベットなんかを貰って帰りました。
ちょっと寂しさを感じつつ、空いている部屋にベットとタンスを置いて、ナナコの部屋を作って、その日は終わった。
ナナコを部屋に入れて横になったこと確認して、自室でまったりしていると、扉に影が…。
「ナナコか?」
「うん。いっしょにトイレにいってほしいの……それと。」
「どうした?」
「いまも、いっしょに…ねたい…。」
ズキュン。なんかの魔法で心臓を撃ち抜かれた!
「だめ?」
「なわけないだろ!俺も一緒が良いな!」
リゼには、怒られるかもしれんが……。
初ブックマーク確認しました。
ありがとうございます。
やっぱ、何らかのアクションがあるって嬉しいものです。
これは、小さな2ポイントだが、偉大な2ポイントである。
…4ポイントありました。
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