表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/53

09両手に狼

 キャラの外観を堪能し終え、次いで短剣を装備完了。

「さぁ、どんどん行きましょう」

 キャラが可愛かったので、少しテンションが上がってきました。

「訓練所のおじさんにクエストマークが出てるでしょ。もう一度話しかけて」

「わかりました」

 ぽちっとな。


『武器の装備ができたようだな。次は森に行って狼を5匹狩ってこい』

 てってれ~♪

 クエストを受領しました。


 訓練所のおじさんは可笑(おか)しなことを言いますね。

「狼を飼ってくるんですか。5匹もなんて両手で足りるでしょうか」

 私の独り言を聞き拾い、サクラが首を(かし)げる。

「うん? ……ま、いっか。とりあえず森に行こう」

 あ、とりあえず思考放棄したようですね。にやり。

 では、森に行きましょう。エサを持っていませんがなんとかなるでしょう。


「あ、サクラはちょっと後ろを向いていてください」

「うん? どうしたの?」

「いいからいいから」

 サクラは不思議そうに後ろを向いて、モニター(画面)から視線を外す。

 よし、今です。

 私はそっと装備から短剣を外して道具屋で売る。もちろん音でばれない様にゲーム音量を一瞬だけミュート(無音)にしました。

「もういいですよ。森にも着きました」

 サクラが体勢を戻して、疑わしそうに見てくる。

 やだなー、お菓子なことはなにもしてませんよ、お菓子なことは。



◆◆◆◆◆



 森に着き、先ほど石を集めた(決して薬草は探していない)場所も越え、いざ敵のいるフィールドへ。

「敵がいないってことは無いですよね?」

 私は心配になりサクラに確認する。

「さすがに大丈夫、ほら目の前にいるでしょ」


 このゲームはエンカウント制ではなく、フィールドにポップ(出現)するシステムのようです。幸先よく狼を発見できました。


「近づいて短剣で攻撃して」

 はい、近づいて右手を出して、

 ガブリっ!

 狼が噛みつきました。フィッシュ。


「はぁぁぁ!?」

 サクラが驚いて声を上げる。

「なんで? なんで短剣装備してないの?」

 装備してないからでしょうね。ほら、もう1匹見つけましたよ。

 ガブリっ!

 新たな狼が左腕に噛みつきました。これで両手に狼ゲットだぜ。モテモテです。


「なにしてんの!? 早く振りほどいて!」

 サクラは慌てますが、あと3匹必要ですよ。ほら、また2匹来ました。

 ガブ、ガブリっ!

 両足に2匹噛みついて、4匹ゲットだぜ。


「ハルミ、いったいなにを……」

 ようやくサクラも落ち着いてきた。

「あんたまさか……」

 えぇそうです。

「私は森で狼を4匹飼いました、クエスト達成まであと1匹ですよ」

 ようやくサクラは言葉の違いに気づいたようで、呆れた目で見てきます。

「訓練所で様子がおかしいと思ってたけど、『狩って』を『飼って』と間違えてたのかー」

(えぇ! そうだったんですか? 私は狼を殺すことなんて出来ないので、ペットとして飼うのだと思ってましたよ。)

「もちろん、わざとです」

 あ、いけない。心の声と言い訳を間違えました。

「……」

 サクラが冷たい目で見てくる。

「知ってたわ!」

 バシン!

 あいたっ。

 サクラに頭を平手で叩かれました。いいツッコミです。サクラは私が育てた。


「まぁ、待ってください、あと1匹でコンプリートですよ」

 私は作業を続けようとするが、サクラは首を左右に振る。

「右下をご覧ください」

 うん? なんだかゲージが2つあり、上の緑色のゲージが点滅しながら減っていっていますね。

「上のがライフゲージ、名前のとおり生命力のことで全て失うと死にます。下のがマジックゲージといって魔法や技を使うときに消費するゲージです」

 ふむふむ。

「そしてライフゲージが点滅している時は継続ダメージを受けています」

 ほうほう。

「さらにゲージが赤になるとピンチです」

 ゲージが赤になりましたよ。

「死にます」

 あ。


『ゲームオーバー』


 ……。

「で、死んだらどうなるんです?」

「切り替え早いわっ!」

 いやだって、まだ何もしてませんし。デスペナルティー(デスペナ)でもあります?

「ないけど、ないけどなんだか納得いかない」

 もー、サクラは細かいことを気にしすぎですよ。

「ハゲるよ?」

「ハゲんわ!」

 バシン!

 あいたっ。

 二度目のツッコミ。あと一回繰り返すのが定石ですか。……これ以上頭を叩かれたら私の方が先にハゲそうですね。ハゲたらサクラに責任を取ってもらい、サクラの髪の毛で(かつら)を作りましょう。



「それで、死んだら記憶を残したまま死に戻り?」

「記憶はプレイヤーの中に残り続けるよ」

 記憶力が良ければね。

「うるさいわ!」

 サクラの記憶力が悪いなんて一言も言ってませんよ?

「ううう」

 続きをどうぞ。

「むぅ。……デスぺナはチュートリアル中は無し! 先に進めばいくつかデスペナもあります。注意するのは対人戦で負けた時です。装備中のアイテムや所持アイテムの内から敵にひとつ奪われるの」

 ふむふむ。教官役のサクラも可愛いですね。

「うるさいわ!」

 さぁ、続けてください。

「うぅ……。それで、基本的にゲームオーバーしたら、直前に立ち寄った教会で目覚めます。今回は村の教会がリスポーン(復活)地点だけど、教会に立ち寄り忘れて先に進んだ時に死ぬと、すごく遠い教会で復活することになるから注意が必要だよ」

 なるほど。

「サクラはそれで失敗したことがある、と」

「うるさいわい」

 サクラの弱みゲットだぜ。

 20年4月2日改訂

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ