表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/53

08チュートリアルの基本は訓練所にあり

 20年4月2日改訂

 村長に薬草を届けた後、訓練所に行けと言われる。

 薬草を探すだけでもう疲れましたよ。

「ハルミ、元気出して!」

 サクラの応援で元気が出ました。さぁ行きましょう。



 訓練所に入ると、いくつかのテーブルがあり、受付カウンターが2か所ある。

「右奥のカウンターが道具屋さん、左奥がこれから行く訓練所の受付だよ」

 わかりました右奥ですね。

「違うよ!」

 道具屋に行こうと思ったら、サクラに止められました。


「なぜですか? 新しい町に来たら、まずは武器・防具・道具屋と練り歩き、必要なアイテムの金額を計算して、町の民家に侵入して勇者的行為(たんすあさり)、足りない分を町の周辺にいるモンスターを倒して合計金額を貯め、お店で買い物するのがRPGの醍醐味じゃないですか」

 RPGの基本を熱弁すると、サクラがあきれた表情になる。

「そんなのハルミぐらいだよ。弱い敵相手にお金集めしてたら、全然先に進めないじゃん」

 そうでしょうか? きっと私以外にもいるはずですよ。

 まぁ今日はサクラに従いましょう。サクラの部屋をお借りしているわけですし。

 さぁ訓練所ですか、そろそろチュートリアルも終わりますかね。



『よく来たな新人。ここでは冒険に必要な知識を教えてやる』

 訓練所にいた教官らしき人がとても偉そうです。

「この村にはまともな人がいないんですか。殴ってもいいですか?」

「村のNPCノンプレイヤーキャラクター(プレイヤーではなくコンピュータが動かしているキャラクター)には攻撃できないよ!」

 残念。後ほどサクラのお腹で代用しますか。

「なんか不穏な空気を感じる!?」

 様子のおかしいサクラは放っておいて先に進めましょう。


『まずは職業を選べ』

 唐突ですね。我が校はアルバイト禁止なのでお断りします。

「ゲームにリアルを持ち込まないで! 先に進まないし!」

 サクラは元気だねぇ。私はサクラのお嫁さんに就職希望です。

「お嫁さんは職業じゃありません! それに、わたしがハルミに養ってもらうの!」

 おやおや、サクラが私のお嫁さんですか、がんばって稼いでこなければ。

「いいから先に進める!」

 はいはい、サクラは照れ屋さんなんですから。照れ隠しに叫ばなくてもいいのですよ。

「はいは一回!」

 はーい。

「のばさない!」



 突然ですが、サクラの職業案内始まり始まり~!

 今回選べる職業は初級ジョブと呼ばれる「剣士」、「道士」、「僧侶」、「レンジャー」の4つ。

 剣士は物理攻撃と物理防御が優れる初級者向け。でも魔法を使えないよ。

 道士は攻撃魔法に秀でていて、僧侶は回復魔法に秀でているの。どちらも物理攻撃と物理防御が低いのは同じ。

 レンジャーは速度重視。トリッキーな攻撃手段をとれるのが魅力だけど、上級者向けだね。

 以上、サクラの職業案内でした!



 説明を聞いても、どれも一長一短があり悩ましいですね。サクラにオススメを聞いた方が早そうです。

「サクラはどれがいいと思う?」

 サクラは「うーん」と考え込む。

「ハルミは私以外の他の人と遊ぶ気はある?」

「ないですね」

 即答です。サクラ以外の人と遊ぶ予定はありません。

「なら僧侶がいいんじゃないかな」

 ほうほう。

「僧侶なら回復魔法が豊富だし、ソロでも十分やっていけるよ」

 ソロの予定もありませんけどね。

「回復役は重宝されるから、他の人と遊ぶ時も仲間に入れてもらいやすいし」

 はん! 知らない人と遊ぶなんて考えられませんね。

「そういうこともあるかもしれないってことだよ」

 まぁ、サクラがそこまでいうなら、そういう可能性も考慮に入れましょう。

「うん。ハルミはもっと他の人とも遊ぶ機会を増やさなきゃ」

「だが断る!」

「えぇぇぇ」


 サクラが心配してくれるのはありがたいですが、私にはサクラがいれば十分、充足、十手術です。

 それに、やっぱり私はオンラインゲームに対する忌避感を取り除くことができていません。ソロプレイならがんばれると思いますが、パーティープレイは考えたくもない。


 とりあえず、職業はサクラのお勧めである『僧侶』に決定っと。



『アイテムを支給するから受け取れ』

 短剣、薬草5個、ゲット。


「もっと早く薬草よこせよ」

 苦労して見つけた薬草を簡単に渡されたら、さすがに本気で怒りますよ。

「いいから短剣を装備するためにメニュー開いて」

 サクラに促されてメニューを開き、おっと、これは……。


「私のキャラですか?」

 メニュー画面には私のキャラクターの全身像が載っていました。いくつかのボタンを操作することで、拡大したり縮小したり動かしたりできます。


「そういえばランダム作成の後に確認してなかったの?」

 サクラが聞いてくる。

「してませんね」

「自分のキャラの姿や能力ぐらい確認しようよ」

 サクラがあきれた表情になりますが、メニュー画面を開いたのは今が初めてなので仕方ない。

 え? ランダム作成で作成した姿でいいかの確認画面で、自分のキャラが表示されて見れた?

 記憶にございません。



 ひとまずキャラを眺めて楽しみましょう。

 サクラが言っていた通り、ランダム作成なのによくできています。

 顔のつくりなんて写真を撮って加工したのかってぐらい似ている。隠し撮りでもされました?

 胸もない……いえ、小さいままです。決してないわけでは無いはず。

 髪の毛は希望通り長め。背中側で一本に束ねた黒髪が腰まで届いている。


 しかし納得いかない点が一か所……。


「背、小さくないですか?」

 たしかアンケートで155~160cmにチェックを入れたはずですが。

「150あるかな?」

 サクラが残念なものを見る目になる。

 人が身長の低さを気にしているのを知りながら!

「どんまい?」

 そうですね、気にしていても仕方ないですね。

「ちょろい」

「なにか言いました?」

「いいえ」

 サクラといちゃいちゃしていては先に進みませんね。次に行きましょう。

 メリケンサックを装備してっと。

「短剣だよ」

 そうでした。短剣を装備してっと。

「メリケンサックを装備できるのは拳系の装備ができるジョブだけだよ」

 メリケンサック、この世界にあるんですか。

「あるよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ