表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/53

37ログアウトは安全地帯で

 アレンに借りているベッドに罠を仕掛けた後、家から抜け出してオオグロ村周辺の探索を行う。

 第一印象は今までの大陸よりも緑が少ない気がする。……夜だからか!?

 明日は陽が高いうちに探索した方がよさそうですね。


 一通り探索し終わったので、途中で見つけた山の中腹(ちゅうふく)に横穴を掘る。教会のあった山とは違う山です。同じ山だと教会に来た人が迷い込みそうで怖いですからね。

 周りに木や草があまり生えていない、山肌が裸になっているのが特徴。木々の多い山は村人が採集にくる可能性があるので候補から外す。

 更にあまり土が硬すぎず、乾いていない場所を探す。土が硬いと掘れず、乾いていると崩れやすいので注意が必要です。

 はじめの森でプレイヤーの方々からアイテムをいっぱい頂き、手に入れた鉄装備を分解して鉄製スコップを作ったので、掘削(くっさく)作業が以前より早く進められるようになった。さらば石器時代、おはよう鉄文明。青銅文化はワープ進化でさようなら。そのうち銅と鉄が合体進化できるかな。



 1時間ほど作業して目的の隠し部屋が完成。

 もちろん入口は偽装済み。道の途中に支道をいくつか作成して迷路を作る。更に色々な罠も設置。隠し部屋もその名の通り入口を偽装して簡単に見つからないようにしている。

 これで隠し部屋に金庫を作ってアイテムを保存できる。そろそろ持ち運びが厳しいものがあったので、いくらか減らせると助かる。私の筋力値では嵩張るレアアイテムをあまり持てないのが難点。

 本当は最初の村に作った隠し倉庫に使えないアイテムを全部置いてきたかったが、森を燃やされたことを考えると心配になり、いいアイテムは置いてこれなかった。

 いつ作ったかって? いくらでも作る時間はありましたよ、ニヤリ。

 夜は薬草集めが難しかったので、明かりが少なくてもできた掘削作業が捗りました。

 まぁ、複数の場所に分散して保管できた方が安全度も増すので良しとしましょう。ゴブリン領に来るプレイヤーもあまりいないでしょうしね。


「さ、作業も終わったのでログアウトしましょう」

 今部屋に戻ると、村長と鉢合(はちあ)わせするかもしれませんね。

「ベッドを作ればここでログインやログアウトができますかね」

 ものは試しですね。やってみましょう。

 木箱を複数用意して一列に並べます。その上に狼皮を数枚重ねて敷きます。1枚では背中が痛くなりそうですからね。枕は狼皮を丸めて丁度良い大きさにして作る。掛け布団は狼皮をそのまま使用。布団(ベッド)完成(セット)

「なんだか狼臭くなりそうな布団ですね」

 狼皮シリーズのベッドとはいったい。そのうち狼シリーズで戦えそうですね。

「レアリティがなぁ」

 狼皮はレアリティが低いので持ち運びは大量にできますが、戦闘に使うとなると耐久力の低さが問題です。

 ……いや待てよ、

「狼耳がついた頭部防具を作ってサクラにつけさせれば、狼耳サクラに……」

 想像したら可愛すぎた。今度実際に作ってみましょうか。クリスマスプレゼントに……は間に合わないですね。

 ですがおかげで助かりました。サクラと潤へのプレゼントの準備を忘れてたので、今度用意しておきましょう。


「いざログアウト」

 明日どこでログインするかの実験開始。



◆◆◆◆◆



「ここはどこですか?」

 ログインしたら天井が土です。どこかに拉致されて監禁されているんでしょうか。

 キャラを起き上がらせて周囲を見てみると、四方が土に囲まれいる。鎖などで繋がれていないのが救いですね。

「って、私の部屋じゃないですか」

 ちょっと寝起きというかログイン直後が落ち着かない部屋ですね。天井にポスターでも貼りますか。……今あるのは狼皮か草兎皮、木の皮……皮しかないですね! とりあえず保留しよう。


 横穴から脱出。朝日が眩しいです。これぞ一日の始まり。



 アレンの家に戻り客室に入ると、掛け布団と鎧が床に落ちている。どちらもベッドに置いていたはずなのにベッドの上には何も無い。

 ひとまず怪しい鎧を叩いてみますか。鉄製スコップを取り出してっと、

 ガン、ガン、ガン、ゴン、ぐふっ!

 叩く音に(まぎ)れて変な音が混じる。鎧の内側から頭を打つような音がしてから(うめ)き声が聞こえました。

 中身は予想がつきますが、ひとまずアレンを呼んで来ましょう。



「……」

 床に落ちている物体を見て、アレンがなんとも言えない表情になる。

 私は何も言わずにもう1度スコップで叩く。

 ガン、ガン、ガン、ゴン、ぐふっ!

 また呻き声がしました。

 黙ったままアレンを見るとアレンは一度頷く。

 鎧の留め具を外して開けると、

「ぷはー、死ぬかと思ったど」

 不審人物、オオグロ村の村長が出てきました。


「誰じゃベッドの上に鎧を置いて中に石を敷き詰めとる奴は」

 鎧から出てきた村長が腰を叩きながら文句を言う。

 どうやら鎧だけでなく、中の石たちも活躍する機会が与えられたようですね。

 ……ちょっと、どうしてアレンは私をジト目で見るんですか、悪いのはどう見ても村長でしょう。

「とりあえずこれ、どうします?」

 私は村長を(あご)で示しながらアレンに確認する。

「おれんが仕置きしとくだ」

 アレンが村長を見ながら言う。

「当てになりませんね。犯人の家族に任せるなんて、逃がすのと同じですよ」

「はぁ……」

 アレンがため息を吐く。

「夕方まで村の広場に縛っとくべ」

 いったいいつの時代の罪人ですか。世紀末にもありましたかね。

「そこまで言うならアレンに任せますよ。縄は要りますか?」

 アレンは首を左右に振る。

「用意しとる」

 そう言うと、懐から縄を取り出す。

 あら、準備がいいですね。

「部屋に呼ばれた時から予想してだ」

 なるほど、あれの侵入はいつものことだと言ってましたものね。

「お、お主ら2人でいったい何を言っとる!」

 村長が私たちを見てなんか騒ぎ出す。

「1人で十分ですか?」

 アレンに尋ねると頷き、村長に襲い掛かった。



 アレンが村長を縛りあげる手際は見事でした。普段から縛り慣れているからでしょうか。私もサクラで練習しておきましょうかね。

「んじゃ、おれんは広場に飾ってくんで」

「では私は寝ますね」

「ああ、おやすみ」

「はい、おやすみなさい」

 挨拶を終えると、アレンが荷物を引きずって部屋から出て行く。

「待でぇぇぇ、放せぇぇぇ、放せばわかるぅぅぅ」

 何か聞こえますが荷物は喋りませんよね。


「さぁ、ベッドで寝てログアウトしますか」

 この部屋のベッドで一度寝ないと、後でログインした時に秘密部屋でインしそうですからね。

「おやすみなさい」

 ログアウトして学校へゴー。



◆◆◆◆◆



「おはようございます」

 ゲームにログインしたら、部屋のベッドからスタート。予定通り。


 客室から出ると、外の部屋でアレンが旅の準備を終えて待っていた。

「おう、遅かったな」

 客室のドアが開いたのに気づいたアレンが声をかけてくる。

「おはようございます。おかげ様でゆっくり眠れました」

「ん、おはようさん。あれのせいで夜に寝れんくてすまんかったな」

 あれとはもちろん村長のこと。

「いえ、お気になさらずに。一応余所でも一眠りしましたから」

 それを聞いてアレンが怪訝な目で見てくる。しかし教えませんよ、あそこは私の秘密基地なんですから!

「それで、あれはどうですか?」

 もちろんあれはあれ。

「ああ、出かける前に降ろしてから行かねぇとな」

 そう言ってアレンが家を出て行くので私もついて行く。


 村の広場に着くと、村長が縄で木の枝にぶら下げられている。

 子供たちが村長の周りで木の枝を振り回し、時たま村長の背中に当たっている。

「やめい、やめんが!」

 村長が子供たちを止めるが、子供たちは叩く回数を増やす。

「どこの三国志ですか」

 この村には張飛さんがいるんですかね。張飛さんは人を叩くの好きだからなぁ。

「あの通り、きっちり罰は与えておいだ」

 見れば分かります。

「さすがにやりすぎな気がしてきました」

 アレンが意外そうに見てくる。

「部屋に弓矢を仕込んでおけば一瞬で楽にしてあげられたんですけどね」

「やめぇ!」

 アレンが必死に止める。今の村長の方が辛そうに見えるのに不思議ですね。

「とりあえず降ろしますか?」

「んだな」

 アレンはそう言うと腰の剣を抜いて村長に向ける。

「なっ!? やめろ倅よ、気が狂ったが!?」

 村長が慌ててアレンを止める。さらに暴れて逃げようとして木の枝がギシギシと鳴る。

 動かない方が安全なのに、あれでは斬ってくれと言っているようなものですね。

 しかしアレンは慌てることなく、どさっ「痛っ」縄を斬った。途中で落ちた村長が悲鳴を上げたが誰も気にしない。

「それじゃあ行きますか」

「んだな」

 私とアレンは2人揃って村長に背を向けて歩き出す。

「待でぇぇぇ、縄を解いてから行げぇぇぇ」

 後ろから村長が騒いでいますが放っておきましょう。そのうち親切な人が縄を解いてくれるでしょうし、村の中なら野獣に襲われる心配もないでしょう。


「それで、首村(しゅそん)の場所を聞いてませんでしたね」

「ああ、そういえばそうだったな。首村はおれんらの村から南に行ったとこにあんだ」

 なるほど、南ですか。あっちゃん、私を首村に連れてって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ