悲しいヌーボー
人間の失敗を
愛せずして
何が人間だろうか
あなたの言っている
道徳や倫理感は
人間をやっているという
ただのプロセスに過ぎない
人間をプロブラミングして
それをこなしているに過ぎないのだ
なんと矮小化した命であろうか
なんと悲しい姿であろうか
世界は美しいと
あなたは歌った
涙が出ると
あなたは宣わった
それの何処が綺麗なのか
僕は疑問に思った
別に人間じゃなくても
作れる世界だったからだ
僕は疑問に思った
その歌声は
結局は、一人一人が
自分に優位な世界を作ろうとしている
ただの集合体だったからだ
そんなことを
確定させ得る声だった
美しいのでは無く
自らの命を盾に
歌っているに過ぎなかったのだ
感覚の錯覚である
一番薄い虚像なのだ
人間は綺麗じゃないと
誰か一人の時間をもって
言い叫んだとするなら
何かに巻き込まれた
人間の時間と同じように
尊重できてしまう
それに
「何を馬鹿なことを」と
言い切ってしまう人が居るなら
「何も、そこまでしなくとも」と
事柄に対して
言い切ってしまう人と
同じ位置に居ることに
気がつくだろう
全ての事柄は
それを受け取った人間にとって
一番使い易い物に、意見に
集約されるのである
個体として違う
別の人間であるのは
その為である
人間は生まれながらにして
二枚舌なのだ
生き残る為の二枚舌なのである
裏表がある愛情を
裏表がある心で受け止めて
裏表がある涙を流し
裏表がある笑顔を向けて
裏表がある手を取り合う
「裏表がある」を見なければ
単純に良いことのように思う
だが、付いているのだ
何をもって納得する?
「あなただったら
そうであっても構わない」
もし、この言葉と気持ちがあるのなら
誰かが間違っていると言えることを
許しているではないか
それを赤の他人に向けられないのは
裏表があるからではないか
特定の誰かに向けられる感情を
赤の他人の誰かには向けられないのだ
何処かの誰かにとって
特定の誰かと同じかもしれない
それを想像できない
そして、それを取り繕う為に
集団化して納得していく
実に綺麗な光景だ
人間は、実に綺麗な行動が取れる
悲しい生き物である