願いを叶えたい話
真っ白な世界だ。
私は夢を見ているのでしょう。
真っ白な世界をただただ真っ直ぐ歩いていくと、そこには2人の男性がいた。
1人は羽が生えていて、1人は……顔が見えない。
「俺の、願いは…」
ボソボソとしていて声が聞こえなかった。
「じゃあもう1つは?」
羽の生えた男が微笑みながらもう一人の男性に問いかける。
「………ふたつじゃ無くなるかもだけど…男女差別とか、人種差別とか………あと、そう、あの子みたいに虐待で死ぬ子が居なくなればいい、と…完全には無理があるか。」
平和主義の男性なのだろうか。だるそうな声のくせに。
「めんどくさいお願いだぁ。普段だったら断ってたけどね。命と別にめんどくさい料貰うからね。あと俺馬鹿だから、どんな方法でもいいなら。」
「あの子が助かればなんでもいい。」
「はいはい。じゃあめんどくさい料取るかんね。」
羽の男が、だるそうな声の男の額に手を持っていき、そのままデコピンをした。
めんどくさい料ってまさかデコピンだろうか。と思ったら弾かれるように、デコピンされた方の体が倒れていく。どれだけ重いデコピンだ。
「幸せになれよ。」
羽の男は………あぁ、きっと天使だ。天使はそれだけ言うともう一度微笑んだ。
次の瞬間、私は森の中に居た。
声がする。そちらを振り返ってみると、血塗れの、女だったであろうものが転がっていた。
その女の近くには潰された子猫が数匹。
そしてさらに少し向こうには、2人の少年と、1人の少女。
私は、直感的に彼の願いが叶ったんだ、と理解した。