2 仲間たちと共に
ベビート・レント2号のレベリングもかねて魔物でも小さめの爬虫類や昆虫タイプを探してうろついていると、イノシシっぽいのやら肉食の大型獣など今はとても勝てそうにない魔物ばかり遭遇する、擬態してやり過ごす、ウロウロ、擬態、ウロウロ、擬態、さっきまでいたのに、今はいないじゃないか魔物、夜明けと夕方の短い間だけ活動して、この時間帯は小型の魔物は隠れて寝ているんだろうか、しかしこっちは棒と木だし、できるだけ日の光が当たる時間帯に活動したい。
鑑定とか探索などいろいろ試していると、意識が森林の中に溶けて広がっていく、どんな植物は生えているのか比較的近くの生態系の情報が入ってくる、それに伴って植物以外の動物や魔物などが異物として認識される、まだごく近くの範囲がわかるだけだが。
移動しながら意識を森林に同化そして、落ち葉を掘り返す、樹の影をあさる、いたいた、狩る、探す、擬態、探す、狩る、の繰り返しで俺と1号はLV8に上がり、2号はLV5まで上がったところで、レベルアップは停滞気味にそろそろ次の格上の魔物ゴブリンにシフトチェンジするタイミングか。
冒険者の初心者でもザコ扱いのゴブリンだがまだまだ超低スペック俺達には強敵だ1匹だけでいるところを後ろから不意打ち作戦でいくしかないだろう、ワナでも作れればだいぶちがうのだろうがベビート・レント達の器用と知力が低すぎるのか、木の枝を武器にして振り回そうとするとすっぽ抜けるし、つる植物でロープを作ろうとしても細かい作業ができなくて細切れになってしまう。
単独でいたゴブリンを遠距離から木魔法(弱)でHPを削りつつ肉弾戦に入るなんとか撃破したものの、連戦は避け、休んでは探索、見つけたらそーと後ろから不意打ちを、繰り返す、まる1日かけて、俺と1号がついにLV10に到達、2号はLV9に木魔法LV3になり、成長が発生。
ベビート・レント1号がLV10/10になり、(成長させますか?)、と謎のアナウンスが、なるほどここで成長を使うのか、さっそく、成長、と念じてみる。
種族:リトル・トレント LV:1/20 に成長したステータス値もボーナスポイントが付いてそこそこ上がってる、これならゴブリン相手に正面から戦っても壁役はできそうだ、さらに発芽+成長の魔法をつかってみたら、3号がで誕生した、3号はLV8にボーナスポイントが42Pで生成してきた。
どのように育てたらいいのか、しばし迷っていると、「おーい、あんた、ひょっとして転生者だろ」と、あれ、どこからともなく声が、どこからいったい誰だろう、探していると石がゴロゴロと転がって来る、「わーぁ、転がりながら石がしゃべってる」、「あんただって木の棒なのに喋ってるだろ」言われてみれば確かに、喋れなかったはずなのにレベルアップしたおかげなのか、声は出てないみたいだし、これってテレパシーとか念話なのか。
そして石の後から、頭骸骨ドクロとスライムがガサガサと下草をかき分けて現れた。
トレントたちが戦闘モードに入ると石が「待った、待った、こいつらも転生者だよ」と止められた。
話を聞いてみるとどうやら俺と同じあの自称大賢者の召勇者召喚に巻き込まれた犠牲者らしい。
「ところがさぁ、石の俺は使える能力は転がるだけだし、スライムの能力は水撃だけど子供の水鉄砲くらいの威力だし、頭骸骨は鬼火がフワフワ漂ってるだけだから、3人そろっても何にもできなかったんだよね」どうやら初期値の能力が戦闘で全く使えない能力だったらしい、俺のスキル魔法が発芽だったのはそこそこの幸運だったのか。
石さんは土属性の魔法の転がるだけだし、スライムさんは水属性で魔法は水撃だけど威力は水鉄砲くらいだし、頭骸骨さんは、なんとか顎を使って跳ねてて移動できるけど闇属性の魔法は鬼火はただの火の玉だし3人とも実用性が全く無くて、この森林をウロウロ、するしかなかったらしい、そこに俺がトレントを引き連れて現れたからしばらく様子を見て、声をかけるタイミングをさぐってたらしい。
「棒さんあんたどこのだれか記憶残ってる?」と言われて「そんなの覚えてるに決まってるよ」と答えてみたが、あれ、俺ってどこの誰だっけ?自分はたしか男で地球の日本人に住んでた、ところまでははっきり覚えているけど日本のどこに住んでたのか名前はだれなのか何をしてたのか。
子供でも学生でもなく、大人で仕事をしてたようなあいまいな記憶しかない、まるでドット絵のように遠くからは何が書いてあるのかわかるけど、近くに寄って確認しようとすると何が書いてあるのかわからなくなってしまうような、大きな記憶ははっきりしてるのに、自分自身の細かい記憶がぼんやりしてしまう。
石さんいわく、3人とも同じ地球の日本から召喚されたらしいけど自分自身の記憶が抜け落ちているらしい「4人とも同じ症状ってことはやっぱりあの大賢者とか言う奴の影響ってことだよね」
とにかくこれからどうするにしても生き延びるためには、経験を積んでレベルアップしてこの森林から抜け出さないと、ここでこのまま終わりたくない。
トレント達を使って3人のパワーレベリングをしていくことになった。