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プロローグ1

何だか不自然に触れてない箇所があるんですよ。


僕には今体がない。ヤバい。反対側には(これは全身体の骨格が浮かせてあった)水槽があるのだがそれがうつしているのは顔の骨格を持った機械とむき出しの脳だ。

最初に見た時は恐怖で顔が引きつった。その顔も目を開いて驚愕の色をしていた。それが自分だと気づくのにあまり時間はかからなかった。


脳の部分は無数の電極が集まった透明なネットのようなもので覆われていて、それを透過して黄色い脳が見える。


血が抜かれているのかもしれない。あまりに色が黄色だ。それも透明に近い。


これが自分だと言われたら多分卒倒する。ぶっ倒れる体が無いので頭が転がるだけだと思うけど。


 水槽に映る骨格は僕が口をパクパクさせると同時に顎関節をがこがこやっている。以外と精巧に作られている。微妙な部分まで人の姿そっくりだ。


何か恐ろしい人体実験に自分は巻き込まれている気がする。臓器密売か何かの可能性もある。ただこうやって脳を加工されている時点でそれは無くなる。殺せばいいだけの話だ。

ただこうやって人を半殺しにしておく技術は誰が持っているのだろうか?


周りの状況をもう一度整理しよう。


まずはこの身からだ。

僕は今首だけだ。その下が無いからといって痛みは無い。機械でできた頭の見てくれは俺様的センスで76点だ。人間味を全面に出し過ぎている。曲線美はロボットにいらん。

仮にこの状況に痛みが伴っていたら発狂していたと思う。


首をちょっとずつずらしながら周りをみる。

似たような水槽が一定の感覚を持って並んでいる。よくみえないが部屋の面積的に六つくらいだと思った。


隣の水槽の片方は空でもう一方にはロボットが入っている。

今良く見てみると人を機械化したようだった。顔のあたりは金属骨格という感じではなく、骨だ。血色もある。髪も生えている。顔立ちはアジア人っぽい。だが目鼻立ちが濃く、日本人でない事は確実だった。


こういうのを強化外骨格と言うのだろうか。金属部品で覆われた中はもしかしたらタンパク質なのかもしれない。


この人物について特筆すべきは、性別が女だということだ。

ロン毛のヤンキーっぽかったから見逃していた。

それはさておきこの部屋について詳しく話そう。


この部屋は立方体で天井が高い。その中心部分を水槽群が突っ切っている。全ての水槽に上から複数本のパイプが繋がっていた。右側には透明なパネルとホワイトボードが並んでいる。そこには数字と、英語っぽい字が書いてあった。文字自体は英語を崩したようだが、綴りを見ても意味がわからない、適当なものに思えた。左側には人を載せるような台が二つある。その一つに研究員っぽい女が人型の機械を置き、こちらを見ている。


 目が合う。

すると女は驚いたように見返し、すぐ横のドアから外に出た。廊下があるようだった。



数十分後。

僕は今、体を手にした。

研究員の女は最初は意味のわからない言葉で喜ぶように僕の首をロボットにつけた。その十分ほどあとに軍服の男が部屋に入り、何かをこの腕の部分に埋め込むと、言葉がわかるようになった。


「これはなんだ?何の真似だ?」


「これはsimだな。ネットワークに接続される。言葉がわかるようになるだろう。それに…俺を見て、念じろ。何か見えるだろう。」


違う、そうじゃない。

「そういう意味じゃない。俺の体はどこだ?ここはどこだ?家族は?」

男の顔に?が浮かんだあと、何かわかったように語り出した。


「お前は…記録によると2000年代から冷凍されていた脳だ。正確な年号は知らん。今はグレゴリオ暦でも無いしな。直すと…2780年だ。」


「は?」

は?


「お前はただの機械だ。ここは我がサザーランド家の施設研究所。言いたいこと聞きたいことは沢山あるだろうが全部そこの女に聞け。俺は忙しいんだ。」


男はドアを開けると思い出したように立ち止まる。


「俺を凝視しろ。」

言う通りにすると男に半透明な輪郭が描かれ、名前が浮かび上がった。


【ローレル サザーランド】

共和国軍第一軍第七部隊特任大尉

本部隊から出向中


「便利だろ?上手く使え。」


今度こそ男はドアを足で開け、出て行った。

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